24b 植物を詠める和歌[草/稲〜茅〜慈姑ヲモダカ]
△薄ススキ・ミクサ・ヲバナ
金野アキノヌのみ草苅り葺きやどれりし うぢのみやこのかりいほし念ほゆ
(萬葉集 一雑歌 額田王)
吾妹児にあふ坂山のはたすすき 穂にはさきでず恋ひ渡るかも(萬葉集 十秋相聞)
いもがりと我が通路カヨヒヂのしぬすすき 我れし通はばなびけしぬ原(萬葉集 七雑歌)
あはづ野のすぐろのすゝきつのくめば ふゆたちなづむ駒ぞいはゆる(袖中抄 十九)
しなのなるほやのすゝきも風ふけば そよそよさこそいはまほしけれ(同)
秋風になびくをばなは昔見し 袂ににてぞ恋しかりける
ごかへし
袂ともしのばざらまし秋風を なびく尾花のおどろかさずば(以上、大和物語 上)
今よりはうゑてだに見じ花薄 ほにいづる秋はわびしかりけり
(古今和歌集 四秋 平貞文)
秋の野の草のたもとか花すゝき ほに出てまねく袖とみゆらん
(同 ありはらのむねやな)
△菰コモ
三島江ミシマエの玉江の菰をしめしより おのがとぞ念ふいまだ刈らねど
(萬葉集 七譬喩歌)
まこもかる淀のさは水雨ふれば 常よりことにまさる我こひ
(古今和歌集 十二恋 つらゆき)
△狗尾草エノコログサ
ゑのこ草おのがころころほに出て 秋置露の玉やどるらん
(倭訓栞 中編二十九恵(夫木集))
△角觝草スマフトリクサ・チカラクサ
すまひ草たふるゝかたに成ぬるか 心こはしくかつはみえつゝ
返し
何にかは心もとらんすまひ草 思ひうつるにかたこそあるらめ(以上、赤染衛門集)
ひくにはよはきすまひ草かな
とるてにははかなくうつる花なれど(金葉和歌集 十連歌 よみ人しらず)
△慈姑ヲモダカ・シロクワイ
くはゐ生る野沢の荒田打かへし いそげるしろは室の種かも
(堀川院御時百首和歌 春 阿闍梨隆源)
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