51 怨霊思想・御霊信仰
 
△怨霊オンリョウ思想
 怨恨を懐いて死んだ人の霊が祟りをなすと云う思想である。
 平安時代より盛んになった御霊信仰は、この考えに基づくものである。この時代にな
ると、政治上いろいろの葛藤があり、失意の人の怨霊が祟りをなすと云う考えが社会不
安となって現れた。(以下略) 参考:『国史大辞典』(吉川弘文館刊)
 
△御霊ゴリョウ信仰
 非業ヒゴウの死を遂げた者の霊を畏怖し、これを慰和イワしてその祟りを免れ、安穏を確
保しようとする信仰である。
 原始的な信仰心意にあっては死霊は全て畏怖の対象となったが、分けても怨みを飲ん
で死んだだ者の霊、その子孫によって祀られることのない霊は、人々に祟りをなすと信
ぜられ、疫病や飢饉その他の天災があると、その原因は多くそれら怨霊や祀られない亡
霊の祟りとされた。『日本書紀』崇神スジン天皇七年二月条に天皇が疫病流行の所由を卜
ボクして、神託により大物主神の児大田田根子オオタタネコを捜し求めて、彼をして大物主神を
祀らしめたところ、よく天下太平を得たと、あるのは厳密な意味では直ちに御霊信仰と
同一視し難いとは言え、その心意には共通するものがあり、御霊信仰の起源が極めて古
きにあったことを思わしめる。(以下略) 参考:『国史大辞典』(吉川弘文館刊)
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