52 国花・国鳥・国蝶
 
                         参考:岩波書店「広辞苑」ほか
 
〈国花コッカ〉
 国花とは、その国民に最も愛好され、その国の象徴とされる花。わが国の桜又は菊を
云う。
 なおわが国では、国花は桜の花の異称とされる。
 
〔桜サクラ〕
 桜とは、バラ科サクラ属の落葉高木又は低木の一部の総称を云う。同属でもウメ・モモ
・アンズなどを除く。中国大陸・ヒマラヤにも数種あるが、わが国に最も種類が多い。園
芸品種が非常に多く、春、白色・淡紅色から濃紅色の花を開く。八重咲きの品種もある。
古来、花王と称せられ、日本の国花とし、古くは「花」と言えば桜を指した。材は均質
で器具材・造船材などとし、また、古来、版木に最適とされる。樹皮は咳止薬(桜皮仁)
に用いるほか曲物マゲモノなどに作り、花の塩漬は桜湯、葉の塩漬は桜餅に使用。また桜桃
オウトウの果実は食用にする。ヤマザクラ・ソメイヨシノ・サトザクラ・ヒガンザクラなどが普
通である。
 
〔菊キク〕
 菊とは、キク科キク属の多年草。自生種のハマギク・ノジギクなどの総称。また、特に
観賞用に作られた園芸品種の総称。原産は中国大陸、わが国には奈良時代以後に渡来、
江戸時代に改良が進む。梅・竹・蘭と共に四君子の一。品種が非常に多く、花色は白・黄・
桃・紅など。園芸上は大菊・中菊・小菊に、花の形状により管物・厚物・平物などに分け、嵯
峨菊・伊勢菊・肥後菊・美濃菊・江戸菊・奥州菊などの系統がある。観賞用に世界各国で栽
培されている。
 
〈国鳥コクチョウ〉
 国鳥とは、その国を代表する鳥で、わが国では雉を云い、1947年、日本鳥学会におい
て国鳥に選定した。
 
〔雉・雉子キジ〕
 雉とは、キジ目キジ科の鳥。雄は顔が裸出し赤色。頸・胸・下面全体は暗緑色。背面の
色彩は甚だ複雑美麗。脚に距ケヅメを有し、尾は長く多数の黒帯がある。雌は淡褐色で、
黒斑があり、尾は短い。低木林や草原に棲む。わが国特産。今日では、大陸産で白い首
輪のあるものと同種に扱う。古称きぎす・きぎし。なお、キジ目には、キジ科(ウズラ・
シャコ・ヤマウズラ)・ライチョウ科・シチメンチョウ科・ホロホロチョウ科・ツカツクリ科
などがあり、地上性の雑食性鳥類である。
 
〈国蝶コクチョウ〉
 1957年、日本昆虫学会はわが国の国蝶として、大紫を選んだ。
 
〔大紫オオムラサキ〕
 大紫とは、タテハチョウ科の大形のチョウである。雄の翅ハネの表面は濃い紫色の輝き
を持っていて、裏面は淡黄色である。開張9p。わが国の特産種で、ほぼ全国の低地山林
に見られ、幼虫はエノキの葉を食する。大紫蝶とも。
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