神様の戸籍調べ
三十三 住吉スミヨシの三神
住吉三神の事は、古事記に於て最も古く記されてあるが、三神とは底筒之男神ソコヅツノヲ
ノカミ、中筒之男神ナカヅツノヲノカミ、上筒之男神ウハヅツノヲノカミの三柱の神様であって、伊邪那岐イ
ザナギの大神オホカミの御子である。初めこの大神が、御妻にあらせられる伊邪那美神イザナミ
ノカミを黄泉国ヨモツクニに見給ひて、穢ケガけに穢れて是を清めむと、日向の阿波岐アハギが原に
て、御清めになると、先づ出来たのが禍ワザハイの神様で、その中に段々御洗ひになって、
水の底にて洗はれると、ピョコリ神様が出来たのが、底津綿津見神ソコツワタツミノカミと底筒之
男神ソコツツノヲノカミ、流れの中程で御滌オンソソぎになると、中津綿津見神ナカツワタツミノカミと中筒之男
神ナカヅツノヲノカミ、水上で御洗ひになると、上津綿津見神カミツワタツミノカミと上筒之男神ウハヅツノヲノ
カミの方々であって、この中の三綿津見の神様の子孫は、阿曇連アツミノムラジとなられてゐる
が、三筒之男神は住吉の三神と称せられる方となられた。
このやうに住吉様は、海の神様であるが、魚屋海産物の商人共がこれを信ずるには、
一寸奇異な感がある。と云ふのは、海産物商人は、海の神様の子供である鯛や鰹や鮪、
海苔や昆布などを殺ろすことによって生活し儲けるのであらう。そのものが、海の神様
である此住吉様に対して、「何卒、大に儲かりますやうに」と祈願するのは、「貴神の
御子供や、家来衆を殺ろして下さい」と云ふ矛盾に陥るのである。それ故海産物商人の
住吉詣での本旨は、是非謝罪の意味を含まねばならぬのである。
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