神名解説
〈二 国生み〉
天の神たちは、いざなきのみこと・いざなみのみことの二柱の神に、「あの地上の有
様を見ると、まだ脂アブラのように流れ漂っている。お前達は、あの地上をしっかりと
作り固め万物が住めるようにせよ」と、その任務の全てを委せられた。
そして、二柱の神は力を合わせて、まず国々を生むことになった。
淡道之穂之狭別島アハヂノホノサワケノシマ
現在の淡路島と云う。
伊予之二名島イヨノフタナノシマ(伊予国イヨノクニを愛比売エヒメ、讃岐国サヌキノクニを飯依比古イヒヨリヒコ、粟
国アハノクニを大宜都比売オホゲツヒメ、土左国トサノクニを建依別タケヨリワケと謂イふ)
この島は現在の四国のことで、愛比売とは立派な女と云い、飯依比古とは食物の霊が
依り憑ツく男と云い、大宜都比売とは穀物を掌ツカサドる女と云い、建依別とは健々しい
霊の依り憑く男と云う意味である。
隠岐之三子島オキノミツゴノシマ(亦名天之忍許呂別アメノオシコロワケ)
現在の隠岐の島のことで、沖合にある三つの島と云い、また天之忍許呂別とは、より
固まった島と云う意味である。
筑紫島ツクシノシマ(筑紫国ツクシノクニを白日別シラヒワケ、豊国トヨノクニを豊日別トヨヒワケ、肥国ヒノクニを建日
向タケヒムカ日豊久士比泥別ヒトヨクジヒネワケ、熊曽国クマソノクニを建日別タケヒワケと謂ふ)
この島は現在の九州のことで、これら四つの国の別名は、何れも燦々サンサンと輝く太陽
に因んで名付けられたと云う。
伊伎島イキノシマ(亦名天比登都柱アメヒトツバシラ)
この島は現在の壱岐イキの島のことで、また天比登都柱とは、海中の離れ小島と云う意
味である。
津島ツシマ(亦名天之狭手依比売アメノサデヨリヒメ)
この島は現在の対馬ツシマのことである。
佐度島サドノシマ
この島は現在の佐渡島のことである。
大倭豊秋津島オホヤマトトヨアキツシマ(亦名天御虚空アマツミソラ豊秋津根別トヨアキツネワケ)
これは現在の本州のことで、穀物が豊かに稔る大和の島と云い、天御虚空豊秋津根別
とは、それを誉め称えたものである。
以上を総称して大八島国オホヤシマグニと呼んでいる。
吉備児島キビノコジマ(亦名建日方別タケヒカタワケ)
これは現在の岡山県児島半島である。
小豆島アヅキシマ(亦名大野手比売オホヌデヒメ)
この島は、現在の瀬戸内海にある小豆島ショウドシマのことである。
大島オホシマ(亦名大多麻流別オホタマルワケ)
この島は、現在の山口県の東方海上にある大島(屋代島)のことである。
女島ヒメジマ(亦名天一根アメヒトツネ)
この島は、現在の大分県国東クニサキ半島の東北海上にある姫島であると云い、天一根と
は、沖の孤島と云う意味である。
知訶島チカノシマ(亦名天之忍男アメノオシヲ)
この島は、現在の長崎県の五島列島のことで、天之忍男とは、多くの島々から成ると
云う意味である。
両児島フタゴノシマ(亦名天両屋アメフタヤ)
この島は、五島列島の南の方にある男島と女島のことで、天両屋とは、海中に家が二
つ並んでいるようだと云う意味である。
以上合わせて六島である。
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