[神職奉務心得]
 
六、貞永式目御成敗式条
 
                 参考:神社本庁発行「神職奉務心得(資料集)」
 
               貞永元年(1232)八月、鎌倉幕府は、初代将軍源頼朝
              以来の幕府政治の原則を法令化して『貞永式目』を定め
              た。(『群書類集』所収)
               ここに見られるやうに、神社の修理、社領の保護、祭
              祀の厳修は、幕府政治の根本方針であった。そのことは
              歴代将軍・執権の鶴岡八幡宮をはじめとする諸社への篤
              い崇敬を見ても明らかであらう。
               同式目の精神は、室町幕府、江戸幕府にも引継がれた。
 
一、神社を修理し祭祀を専にすべきこと
 右、神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添ふ。しかれば則ち恒例
の祭祀は陵夷リョウイいたさず、如在の礼典は怠慢せしむるなかれ。これによりて、関東御
分ゴブンの国々ならびに庄園においては、地頭神主等おのおのその趣を有し、精誠いたす
べきなり。かねてまた、有封の社にありては、代々の符にまかせ、小破の時はよろしく
修理を加へ、もし大破に及べば仔細を言上せしめ、その左右にしたがひ、その沙汰ある
べきなり。
一、寺塔を修造し仏事等を勤行すべきこと
 右、寺社異なるといへども崇敬これ同じ。よって修造の功、恒例の勤ゴンは、先条に准
じて後勘コウカンを招くことなかるべし。但しほしいままに寺用を貪りつとめざるの輩は、
早く彼の職を改易カイイせしむべきなり。(以下略)
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