03b 神拝詞集 第二輯シュウ
十五 神徳報恩詞
掛けまくも綾アヤに尊タフトく 言イはまくも文アヤに畏カシコき
天津アマツ御祖ミオヤの大神の宇頭ウヅの大前オホマヘに 慎ツツシみ敬(ゐやま)い恐カシコみ恐みも礼
拝ヲロガミ奉りて 日ヒに異ケに称辞タタヘゴト竟ヲヘ奉る 吾ワガ大神はも 天地アメツチの未イマだ成
らざりし時に 天津アマツ御国ミクニに大坐オホマシ坐マシて 奇クシく尊タフトき大神徳オホミイツの具備ソナ
ハリ坐マす大神慮オホミココロより成ナし坐マセる大神業オホミワザと 天地を始め霊奇クシビに霊妙タヘな
る日月諸星モロホシをも造化ツクリナシ給ひて 八百万ヤホヨロヅノ神神カミガミ又マタ人民ヒトクサを始め 天
地アメツチの間に有情ココロアルも無情ココロナキも 有形カタチアルも無形カタチナキも 皆悉コトゴトく在アリと所
在アラユる物も事も 脱オツる事無く漏モルる事無く 造化ツクリ生育ナシ給ふ広大無辺ヒロキ至貴至尊
タフトキ大功徳オホミイサヲシの坐マシマすが中ナカにも 事更コトサラに仁愛ウツクシミ給ふ人民には 大神の奇
クシびなる大御心を副ソヘて 貴重タフトき霊魂タマシヒを授与サヅケ給ひ 銀杏チチノミの父命チチノミコト
と 柞葉ハハソハの母命ハハノミコトに産ウマしめ給ひて 是コレの現世ウツシヨに生アレ出でては 米具メグ
く愛惜ヲシマセ給ふ大御心より 天津教養ヲシヘを以モて神カム習ナラはしめ 真神道マコトノミチをば失
ウシナはじ 邪悪道アシキミチには面オモ向けじ 現身ウツセミの世に在る間ホドは 正き直き真人マコトノ
ヒトに成らしめて 入日イリヒなす幽世カクリヨに面向ムキては 貴タフトき功徳イサヲシき神に成してむ
と 御伝ミツタへ坐マセる斯コレの神道ミチは 即ヤガて天理アマツコトワリにし有れば 現世ウツシヨの人に
しも在らむ間ホドは 暫時シバシも不得離エハナレヌ大神道オホミミチにこそ有れ 斯カカる尊き神道ミチ
はも 頓ヤガて我物ワガモノとし有れば 朝夕アシタユフベに 慇懃ネモゴロに克ヨく阿佐里アサリ得て
之コレを保タモタむには 放ハフらし失ふ事無きも 我心ワガココロの味気アヂキ無く 如何に空蝉
ウツセミの世の人草ヒトクサ習ふ物にとて 己オノが欲心オモヒに霊魂タマシヒを暝眩クラマし 自然オノヅカラ
邪アシき道に狭迷サマヨヒて 善性マコトノサガをも弥イヤ放ハフりに放らし 年老トシオイ身死ミマカリては
自ミヅカら苦瀬ウキセに堕患オチクル難シマむ事の浅間敷アサマシキかも 阿波礼アハレ言イハまくも尊タフトき
天津御祖大神ミオヤノオホカミの 人民ヒトクサを愛憐アハレミ給ふ大御心の 不在アラヌ隈クマ無く不至イタラヌ
隈無く 我心ワガココロから霊魂タマシヒを暝眩クラマし 邪アシき道に狭迷サマヨヒて 善性マコトノサガを
放ハフラさん時には 大直日オホナホビ神直日カムナホビに直ナホし給ひ 或アルは過失アヤマチ有りて身死
ミマカリし後ノチにも 親族ウカラヤカラ子孫ウミノコ等ラが代カハりて誠マコトを竭ツクし 謝罪ツミヲワビ奉れば
宥恕ユルシ給ひ 或は罪ツミ穢ケガレ咎トガ過アヤマチ犯ヲカさむ時には 文アヤに尊き解除ハラヒの神法ノリ
に憑ヨリて 清き明き真実マコトの心に令還カヘラシメ給ふ 甚イトモ深微妙之タヘナミル御仁徳オホミメグミを
仰アフぎ奉りて 前過ヲカセルアヤマチを悔クイ改めて 蟹カニが如行ユクナス横狭ヨコサの道の 横狭なる邪
悪アシキ道には入イらじと 正道マサミチの正直マナホなる真神道マコトノミチに帰順マツロヒ奉り 大神の大
御心に違タガヒ奉らざれば 内外ウチトも清浄キヨラにして 神と等ヒトシき功徳イサヲシを具ソナへ 此
コノ身体ミは頓ヤガて朽腐クチぬとも 此コノ霊魂タマシヒは光ヒカリ儀花艶カガヤクく 浄キヨき明アカき元
モトの神霊ミタマと成りぬれば 台宇タカドノ玲瓏テリカガヤく 日若宮ヒノワカミヤに鎮シヅマり坐マサしめ
給ひて 明妙アカルタヘ照妙テルタヘに身を儀ヨソひ 瑞之ミヅノ八坂瓊ヤサカニの満賀玉マガタマを身に纏
マトひ 高橋タカハシ浮橋ウキハシに乗ノリては 天翔アマカケリ国翔クニカケリ 打橋ウチハシを渡ワタリては 天之
アメノ安河原ヤスノカハラの浄キヨき汀ナギサに身を滌ソソぎ 或アルは御祖ミオヤノ大神オホカミの玉座下ミモトに
侍サモラひ奉りて 奇クシき尊き神術カムワザを助け奉り 或は現世ウツシヨに残せる兄弟ハラカラ 親
族ウカラヤカラ 子孫等ウミノコラを 幸サキハへ守る事の功徳イサヲシを 授サヅけ給ふ尊き貴タカき大慈悲
オホミメグミを蒙カガフる事の尊さを 朝夕アシタユフベに歓喜ヨロコビ奉りて 掛けまくも畏き天津
アマツ御祖大神ミオヤノオホカミと 一向ヒタフルに御名を唱トナヘ奉る真心の底比ソコヒをば 真澄マスミの鏡
の真明マサヤカに 照覧ミソナハシ坐マシてなも宇武賀志ウムガシみ 愛メデ給ひ憐アハレみ給ひて 諸々
の願事ネギゴトをも宇部奈ウベナひ給ひ 阿那奈アナナひ給ひ 救助タスケ給ひ 言イはまくも貴
タフトき吾ワガ霊魂タマシヒは 即ヤガて御祖大神の分魂ワケミタマにし在れば 斯カカる神道ミチの尊き
を好まむ性サガとし令在アラシメ給ふも 真マコトの神道ミチを不知シラザリし程に 奈辺ナベて世の
人草習ふ物からに 私意シレゴコロ以モて 伝ツタハり来クる横狭ヨコサの説等コトドモに酔惑マドヒて
天理アマツコトワリとは天然之定理アマツミオヤノミココロノマニマニと云ふを誤認アヤマリミトめて 自然オノヅカラ有然
シカアルを天理と為シ 徒タダに安閑茫然ウトウトシク 大神慮オホミココロを褻涜ケガシ奉り 或は尊き深
き大深慮オホミハカリ以て 鎔造ツクリ成ナシ給ひし此コレの現世ウツシヨを穢土キタナキヨと為シて 徒然イタ
ヅラに世を厭イトふ浅間アサマしき我心ワガココロさへ 一度ヒトタビ真マコトノ神道ミチの理コトワリを聴キキ得
たらむには 於暮オボしき雲霧クモギリの晴ハレ行きて 此コノ身は即ち奇魂千憑彦命クシミタマチヨリ
ヒコノミコトに等ヒトシき功徳イサヲシの具備ソナハリ在る知識サトリを以て 和久良波ワクラハに人と生アレしめ
給ひたれば 我ワレとし我身を省カヘリミもし 我とし我身を責セメもして 為ナシと為ナす事毎コト
ゴトに 大神の照覧ミソナハシ坐マサむ事をし畏カシコみつつ 勤イソシみ勉ツトムるこそ 大御心に叶
カナヒたれ 阿波礼アハレ電光石火シバシの勤苦コトメは 永久無尽トコシヘの快楽タノシミと 反カヘし給ふ
大仁術オホミメグミを悦ヨロコび辱カタジケナみ 造次シマシも忘ワスレ奉らず 異日ヒニケに真実マコトノ信心
ココロ以て仕ツカヘ奉りてば 天津神アマツカミ八百万神ヤホヨロヅノカミ 国津神クニツカミ八百万神等タチ 其
ソニ従ひ給ふ百千万モモチヨロヅの神等 一神ヒトハシラとして 漏落モレオチ給ふ事無く 功徳イサヲシ坐
マサむ大直日神オホナホヒノカミの過失アヤマチを直ナホし給ひ 祓戸神ハラヘドノカミの罪穢ツミケガレを佐須良
サスラひ給ひ 大汝貴オホナムチ少汝貴神スクナムチノカミの疾病ヤマヒを療治イヤシ給ふが如く 功徳イサヲシ坐
マセるは 天津御祖大神の人民を最イトも愛惜ヲシマセ給ふ大御心の随マニマに 功徳坐る事にて
可信マコト宇都ウツ無ければ 吾ワガ大神の大御神慮オホミココロに奉順シタガヒマツリて 自今イマヨリ以後
ノチは大御神慮の随に 恪勤イソシミ奉仕ツカヘマツり 崇敬(かしづきゐやまひ)礼拝ヲロガミ奉り
ては 五百浜イホハマ 千浜チハマに限カギリ無き 真砂マサゴの数カズの其一ソノヒトツも 恩頼ミタマノフユ
に奉謝ムクイマツらまく欲ホリする真心の底ひ憐アハレミ給ひ 愛メデ給ひて 弥イヤ益々に真マコトノ神
道ミチに入イらしめ給ひ 弥益々に真マコトノ幸福サチを被カガフらしめ給へと 恐み恐みも申マヲす
小樽市 故住吉神社宮司星野十九七
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