14[神社本庁憲章]
 
              [神社本庁憲章]
 
            参考:全国神社総代会編集発行「改訂神社役員、総代必携」
 
 神社本庁憲章は、神社祭祀の伝統と神社本庁の歩みをふまえ、多くは不文のまま実践
されてきた基本的な精神規範をあらためて明文化し、以て次の世代に道統を正しく伝え
るために昭和五十五年に制定されました。尚、憲章の他に、宗教法人としての規則とし
て神社本庁庁規が定められています。
 
[神社本庁憲章] 昭和五十五年五月二十一日 評議員会議決
 
 神祇を崇め、祭祀を重んずるわが民族の伝統は、高天原に事始まり、国史を貫いて不
易である。夙に大宝の令、延喜の式に皇朝の風儀は明らかであるが、明治の制もまた神
社を国家の宗祀と定めて、大道はいよいよ恢弘された。
 しかるに、昭和二十年、未曾有の変革に遭ひ、皇典講究所、大日本神祇会、神宮奉斎
会は、その対応を相議り、神祇院総裁もまた爾後の措置をこの三団体に委ねた。ここに
神社関係者の総意によって、全国神社を結集する神社本庁が設立され、神宮を本宗と仰
ぎ、道統の護持に努めることとなった。
 爾来、神社本庁は、全国神社の包括法人として、庁規を中心に運営されてきたが、今
日まで重要な懸案とされてきたのは、精神的統合の紐帯として、基本的規範を確立整備
することであった。
 よって、ここにその大綱を成文化して本憲章を制定し、以て神祇の祭祀を継承するに
遺憾なきを期するものである。
 
第一条 神社本庁は、伝統を重んじ、祭祀の振興と道義の昂揚を図り、以て大御代の彌
 栄を祈念し、併せて四海万邦の平安に寄与する。
第二条 神社本庁は、神宮を本宗と仰ぎ、奉賛の誠を捧げる。
 2 神社本庁は、神宮及び神社を包括して、その興隆と神徳の宣揚に努める。
第三条 神社本庁は、敬神尊皇の教学を興し、その実践綱領を掲げて、神職の養成、研
 修、及び氏子・崇敬者の教化育成に当る。
第四条 神社本庁は、総裁を推戴する。
 2 総裁は、神社本庁の名誉を象徴し、表彰を行ふ。
第五条 神社本庁に統理以下の役員、その他の機関を置く。
 2 統理は、神社本庁を総理し、これを代表する。
 3 第一項の役員、その他の機関については、規程で定める。
第六条 祭祀は、報本反始の誠を捧げ、古来の伝統と、別に定める制規に従って厳修す
 る。
第七条 神社本庁は、幣帛共進の伝統を重んじ、神社に本庁幣を献ずる。
第八条 神社は、神祇を奉斎し、祭祀を行ひ、祭神の神徳を広め、以て皇運の隆昌と氏
 子・崇敬者の繁栄を祈念することを本義とする。
 2 霊代の神聖は、厳に護持しなければならない。
 3 神符、守札等の取扱ひについては、信仰上の尊厳を汚してはならない。
 4 一社伝統の故実、慣習、由緒は、尊重するものとする。
第九条 神社は、祭神、社名、例祭日、鎮座地、その他神社存立の基本に関はる事項に
 ついては、統理の承認を受けなければならない。
第十条 神社の境内地等の管理は、その尊厳を保持するため次の各号に定めるところに
 よる。
 一 境内地は、常に清浄にして、その森厳なる風致を保持すること。
 二 境内地、社有地、施設、宝物、由緒に関はる物等は、確実に管理し、みだりに処
  分しないこと。
 三 境内地及び建物その他の施設は、古来の制式を重んずること。
 四 前号の施設は、神社の目的に反する活動に利用させないこと。
第十一条 神職は、ひたすら神明に奉仕し、祭祀を厳修し、常に神威の発揚に努め、氏
 子・崇敬者の教化育成に当ることを使命とする。
 2 神職は、古典を修め、礼式に習熟し、教養を深め、品性を陶冶して、社会の師表
 たるべきことを心掛けなければならない。
 3 神職は、使命遂行に当って、神典及び伝統的な信仰に則り、いやしくも恣意独斷
 を以てしてはならない。
第十二条 宮司は、一社の長として、祭祀に管掌し、社務をつかさどり、神社の信仰と
 伝統の護持に努める。
第十三条 神社総代は、神社の祭祀、信仰、伝統の保持振興について宮司に協力する。
第十四条 神社の氏子区域は、神社ごとに慣習的に定められた区域をいふものとする。
 2 氏子区域は、神社相互に尊重しなければならない。
第十五条 氏子区域に居住する者を伝統的に氏子とし、その他の信奉者を崇敬者とする。
 2 氏子・崇敬者は、神社護持の基盤であり、斯界発展の母体である。
第十六条 神社本庁の宗教法人法による規則を「庁規」といふ。
第十七条 庁規及び規程等は、この憲章に準拠しなければならない。
第十八条 この憲章の改廃については、統理の発議により、評議員会において、出席評
 議員の三分の二以上の賛成を必要とする。
第十九条 この憲章の施行に関し必要な事項は、庁規及び規程を以て定める。
 
   附 則
 1 この憲章は、昭和五十五年七月一日から施行する。
 2 宗教機能に関する規程(昭和二十七年一月二十七日規程第一号)は、廃止する。
 3 この憲章施行の際、庁規及び従前の規程等は、この憲章に基いて定めたものとみ
  なす。
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