05 暦 − 暦書その三
暦 − 暦書その三
参考:雄山閣発行渡邊敏夫著「暦入門」
〈暦注〉
暦とは,基本となる月・日,それに配当される干支,七曜,二十四節気,雑節,祝祭
日,年中行事などです。
暦注とは前述以外の,非科学的事項や,迷信的なものを指します。本来の暦書に中国
の陰陽五行説や,宿曜経スクヨウキョウや,易エキなどから発生して,日時に配させられるように
なった暦注は,やがて人間の一生の運命や日常生活にまでも干渉するようになり,暦書
に記載されるようになりました。
筆者は暦注の意義と選日法については,信ずるに足らないと考えています。
△暦注の配当
暦注の配当には主に次のような方法があります。
@節切セツギリ
二十四節気の節からの干支で決まる選日法,即ち節月セツゲツに従うもの。十二直チョク
はその一例で,この選日法を「節切」と呼び,多くの暦注は節切です。
A月切ツキギリ
各月(旧暦)の朔からの干支,又は日数で決まるもの。即ち暦月によるものです。
B不断フダン
節切・月切に関係なく,常に一定したもので,例えば「ちう日」という暦注は常に
巳ミと亥イの日に配当されます。
C日の宿と曜によって配当されるもの。
しかし同一の暦注でも,選日法が時と場所によって異なることがあり,日によっては
吉凶相反するようなことがあって,どちらを採用するか,返って人を迷わすようなこと
があります。
△十二直チョク
十二直は,旧暦時代に暦書の中段に記入されたので,暦中段の吉凶ともいわれ,日の
吉凶を判ずる暦注です。十二客カクともいいます。
十二直とは,建(たつ)・除(のぞく)・満(みつ)・平(たいら)・定(さたん)
・執(とる)・破(やぶる)・危(あやふ)・成(なる)・納(おさん)・開(ひらく
)・閉(とつ)の十二をいいます。
前述のように,方位には十二支を配して真北を子とし,順次に東廻りに丑・寅・卯・・
・・とします。毎月の節(二十四節気)の暮六つ時には,斗柄トヘイの指す方向の十二支を以
て月名とします。正月節には月は寅に建オザし,二月は卯,三月に辰以下順に十二月には
丑に建すとする夏正カショウを用いていました。これを月建ゲッケンといい,月建と十二直とを
組み合わせて,十二直を暦に記載するようになりました。ところが,日に配される十二
支と十二直は何れもその数は12ですので,もし寅の日が十二直の建(たつ)であれば,
何回循環しても寅の日に建が当たることになって,日の吉凶を占うには都合よくありま
せん。そこで考え出されたのが,次のような技巧を凝らした繰り方です。
即ち正月節の月建は寅ですので,正月節後の最初の寅の日の十二直に,最初の建タツを
当て,順次次の卯の日には除,辰の日には満を配当していきます。
二月卯月の節になりますと,その節後最初の卯の日に建,翌日辰の日には除と順を追
って配していきます。三月辰月の節後の最初の辰の日には十二直は建,同様に四月節後
の最初の巳の日には十二直は建,このようにしていきますと,十二直の方は各節毎に,
何処かで一つ遅らさなければなりません。其処で節の日にその前日と同じ十二直を配当
するのです。
正 二 三 四 五 六 七 八 九 十 十一 十二
子 開 収 成 危 破 執 定 平 満 除 建 閉
丑 閉 開 収 成 危 破 執 定 平 満 除 建
寅 建 閉 開 収 成 危 破 執 定 平 満 除
卯 除 建 閉 開 収 成 危 破 執 定 平 満
辰 満 除 建 閉 開 収 成 危 破 執 定 平
巳 平 満 除 建 閉 開 収 成 危 破 執 定
午 定 平 満 除 建 閉 開 収 成 危 破 執
未 執 定 平 満 除 建 閉 開 収 成 危 破
申 破 執 定 平 満 除 建 閉 開 収 成 危
酉 危 破 執 定 平 満 除 建 閉 開 収 成
戌 成 危 破 執 定 平 満 除 建 閉 開 収
亥 収 成 危 破 執 定 平 満 除 建 閉 開
十二直の各々には吉凶が附せられていて,この十二直の配当によって,日の吉凶が決
まることになります。
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