こ 講
〈こう〉
講
講コウ(トッコ)とは、信仰集団の一つである。講と云う名称は仏教に起源を持ち、仏
典・教義を講ずることから、その集会や集まる人々の組織まで総称するに至った。これが
神社や民間信仰にも受容され、強固な信仰集団を形成し多様化した。
推古天皇十四年(606)に聖徳太子が講経されたこと、また『大鏡』上に「雲林院の菩
提講に詣で侍りしに」とあるように、平安時代には天台宗・古京六宗系の諸寺院で行われ
た最勝講・仁王講・法華八講・同十講・同三十講・因明講などが代表的であり、公家を中心に
したのが特色である。
鎌倉時代以降になると、民衆的な講が盛行し始めたが、これには古い仏教寺院を対象
にしたものと、民間で観音講・地蔵講・阿弥陀講・念仏講・報恩講・大師講などの地域的集団
行事として発達したものとがある。現在は前者が法会とか講話として、後者が民間信仰
的講として継続されている。
仏教的起源を持つ講は、鎌倉以降に村落社会の組織を基盤にしたり再構成したりしな
がら、神道的講が受容・成立して来る。中でも伊勢・熊野の二大社は御師オンシ・オシなどの師
職によって、地方民と師檀関係を結び、その活動が伊勢講・熊野講として組織された。
続いて近江の日吉社に礼拝講、大和の春日神社に春日講などが現れて来るが、地方的
分布を持つものに、東北地方では出羽三山講・金華山講、越後に飯豊講、関東地方に古峰
・榛名・三峰・大山・二荒山・笠間などの諸講、中部地方に戸隠・秋葉・富士・立山メ御岳・白山
の諸講、関西地方に伊勢・熊野・春日・稲荷・愛宕・日吉・多賀・三輪・津島などの講、中国地
方や四国地方に大社・大山・金刀比羅・石槌などの講、九州地方に太宰府(天神)・霧島・彦
山・鵜戸などの講が続出して現在に至っている。
以上の中で、山岳信仰を背景にした修験系の講の多いことは、修験者の活躍だけでな
く、日本人の他界観や人生儀礼とも深く関わることが注目される。
講成立の信仰的基盤を視軸にしながら、信仰的講を次のように分類されると云う。
@田の神、山の神、日待、月待など、いわゆる日本民族の原始信仰を母体として結成さ
れたもの
A広義の氏神を中心に、その氏子集団が結成しているもの
B観音講・地蔵講などと呼ばれるもので、村内にある観音堂とか地蔵堂とか云った所に集
まるか、又は講中の家を宿として、信仰的行事を行うもの
C代参講として村外にある他郷の霊社名刹に参拝するもの
関連リンク [松舘村講宿の旨趣(天神講の由来)]
関連リンク [八幡平地区の神様を訪ねて「12 玉内老人クラブ区域内の神様(トッコ)」]
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