18a 大久保老人クラブ区域内の神様
 
名  称    所在地    故事来歴
 
「もうす(モウシとも)」
 秋の刈り入れ熟コナしが終わって、暫くすると十一月から十二月にかけて、農家の楽し
みである「モウシ(講)」が始まる。
 部落単位に青年男女が割当ての米などを持ち寄り、魚や酒を仕入れ、当番の家に屯タムロ
して数日間、食い飲み遊び、慰安会であると同時に反省会の意味もあり、若者を戒める
行事を含んでおり、若者組の秩序、統制に活を入れる機会である。
 昔は農作業が終わると男達は山に入り、木伐り、炭焼きなど山子ヤマゴをしたものであ
り、冬期間の山仕事の安全、無事を「山の神」に祈願したことが「申す」の始まりとも
云われ、山の神に「お願い申し奉る」の意味の申すであるらしい。
 
 男モウシと女モウシとがあり、モウシが始まると部落はにわかに活気付いたものであ
るが、今では男女一緒のモウシが一般的に行われている。
 各部落においてモウシの趣が多少異なるが、青年会の行事として定着して来ており、
宿は青年会長若しくは会員の家で行い、昔からの飲み食い、罰則、垢離コリ執りなどより、
親睦レクリエーションに主体が置かれて来ている。
 大久保部落だけは、今だに青年会員の居る居ないに関係なく、全戸を対象に各家々を
当番宿として廻っている。
 会費の他に米一升、糯米五合、小豆三合を持ち寄り、二日目(最終日)には、来年の
当番宿の主人から同席して貰い、簡単に宿引き継ぎ(引き渡し)の儀を行っている。
 また同部落には、大正初期からの「もうす帳」なるものがあり、その年の参加者、宿、
魚酒の買い出しまでもが詳細に書き残されており、今でも一年毎に書き綴っている。
 
 近年モウシは若者達だけに限らず、部落によっては二十代、三十代、四十代など年代
別のモウシや親戚モウシ、夫婦揃ってのモウシなど、部落の連携と和を深める意味で、
再び盛り上がりの傾向がある。

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