03 わが家の年中行事
 
                        参考:神社本庁発行「年中行事」
 
△日本人の心のふるさと
 年間を通して行われる様々な行事の中で、日本古来(神道系)の行事と、その後外国
から伝わった(仏教・儒教系)行事とが習合シュウゴウし、外来行事があたかも古来より存
在するかのごとく認識されているものも少なくありません。
 そこで、日本人の神々・先祖センゾに対する信仰心と関わりの深い「年中行事ネンチュウギョウ
ジ」を再確認しましょう。
 
△お正月とお盆ボンの共通点
 古来日本人は、人が死に長い年月がたつと、先祖の霊レイは神となって近くの山(はや
ま=端山・羽山・葉山・麓山)に行き、子孫を守ってくれると考えられてきました。
 お正月は神となった祖霊神ソレイシンを迎える行事で、お盆はまだ死んでから年月が浅い精
霊ショウリョウを迎える行事なのです。
 
 因みに、祖霊神とは、人が亡くなってから五十年(若しくは三十三年)を経過し、神
になった魂タマシイことをいい、祖先神又は祖霊ソレイともいいます。また精霊とは、人が亡く
なってから日が浅く、まだこの世に未練ミレンなどがあり、神にならないでいる魂のことを
いいます。
 
△お正月 一月一日
 新しい年の初めにあたり、一年間の幸せを神々にお願いするために神社に詣モウでます。
 お正月には鏡餅カガミモチを供えその餅を食べますが、古来丸いものには神々が宿り、餅
には稲の霊が宿っているとされ、これを食べると特別の力が与えられるとされてきまし
た。
 因みに、三角のものは、悪霊を寄せつけないものとされてきました。また赤色は悪霊
を追い払う力があるとされます。古墳時代の埴輪ハニワの顔に赤い絵の具が塗られているも
のがあります。女性の付ける口紅が赤いのはここからきています。女性には子供を生む
力があり、女性をかたどったものは豊作祈願の象徴とされました。
 鏡餅には、橙ダイダイ(みかん)や譲葉ユズリハを添えますが、橙は「代々家が栄えるよう
」、譲葉は新しい葉が生長したしたあと古い葉が落ちる、世代交代の繰り返しによって
子孫が続くことにたとえられています。
 
△お盆(みたままつり) 八月十五日前後(もとは旧暦七月十五日前後)
 亡くなってから日が浅く神にならないでいる精霊ショウリョウを山から家々にお迎えし、お
祭りをする日です。山から花一輪(盆花ボンバナ)を切って、それに精霊を乗せて家にお
迎えします。家々には火を灯して精霊が帰ってくる家を間違えないよう目印とします。
これが、迎え火です。また、藁ワラ・胡瓜キュウリ・茄子ナスなどで馬や牛を作って精霊の乗り
物とするところもあります。
 子孫とともに過ごした精霊は、送り火によって十六日再び山々に帰って行きます。こ
の時期行われる「盆踊り」や「豊年踊り」は、精霊を和ナゴめ、豊作を祈るものです。
 
△歳神トシガミ迎えと大晦日オオミソカ 十二月末より
 十二月中頃から、お正月を迎える準備の始まりとして大掃除が行われます。
 そもそもお正月は、山々にいる祖霊神ソレイシンや歳神を松の枝、つまり門松カドマツに乗せ
て家々にお迎えする行事です。因みに、子供達が楽しみにしている「お年玉」は、歳神
様が配るものとされていました。
 大晦日は、一年間無事に過ごせたことに感謝し、神々を家々にお迎えするための「つ
ごもり」、精進潔斎ショウジンケッサイの日です。
 
△小正月コショウガツ 一月十五日
〈どんど焼き〉
 小正月は、お正月に家々で過ごした祖霊神や歳神がふたたび山に帰る日とされ、門松
を御神火ゴシンビで炊タき上げ、その煙に乗って神々が山に帰るとされています。
〈団子ダンゴさし〉
 団子さしは、米の粉で団子を作り、木に沢山つけて今年も豊作になるよう、あらかじ
め神様に約束してもらう行事です。
 
 そのほか鳥追い・成り木責ゼめ・泥棒除けなど様々な行事が小正月に集中しています。
小正月に行事が集中しているのは、暦がない時代、満月の旧暦一月十五日の日が元旦と
されていたからといわれております。
 
△節分セツブン 二月三日頃
 節分とは、寒く厳しい冬が終わり、暖かい春を迎えるという季節のかわりめの日(翌
日が立春)です。
 豆まきは、悪霊アクリョウ(鬼)を追い払って幸福を招く行事で、古くから行われていま
す。また豆には、霊力レイリョクが宿るものと考えられており、今年の天候や吉凶キッキョウの豆
占いも行われております。
 玄関の軒さきに、柊ヒイラギや鰯イワシの頭をさし、悪霊除けとするところがあります。
 
△ひな祭り(上巳ジョウシの節句セック)
 上巳の節句は本来、農作業の始まりの日とされ、悪霊を払う重要な行事の日でした。
後に、紙人形を作って、病気などにならないよう自分の身代わりとして、悪霊アクリョウ(罪
・けがれ)を川に流すようになりました。それが、豪華な人形を飾り女児の祭りの日と
なりました。
 ひな祭りは、桃の節句ともよばれ、「桃」は悪霊を追い払う果物の一つとされていま
す。
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