04 自然の神などを詠める和歌
 
                       参考:吉川弘文館発行「古事類苑」
 
△草神
秋の野の花に心をそめしより くさかやひめもあはれとぞおもふ
                        (夫木和歌抄 十一秋 登蓮法師)
 
△木神
くゝのちの神もうらめしいかなれば あだに桜の花となりけん
                    (夫木和歌抄 三十四神祇 正三位季能卿)
 
△葉守神
かしは木にはもりの神のましけるを しらでぞをりしたゝりなさるな(大和物語 上)
 
ことならばならしの枝にならさなん はもりの神のゆるしありきと
                            (源氏物語 三十六柏木)
 
かしは木にはもりの神はまさずとも 人ならすべき宿の木末か(同)
 
さくら木のはもりの神はしらねども 春のかけたるはなのしらゆふ
                         (夫木和歌抄 四春 隆祐朝臣)
 
玉がしはしげりにけりなさみだれに はもりの神のしめはふるまで
                        (新古今和歌集 三夏 藤原基俊)
 
ちらすなよこのてがしはのうすもみぢ はもりの神もめでざらめやは
                    (夫木和歌抄 二十九雑 後徳大寺左大臣)
 
△柏の神
わぎもこをみもすそ川の岸におふる 人をみつのゝ柏とをしれ(祭主輔親卿集)
 
△食物神
幣ミテグラはわがにはあらずあめにます 豊をか姫の神のみてぐら神のみてぐら(神楽歌)
 
この杖はいづこの杖ぞあめにます 豊をかひめのかみの杖なりかみの杖なり(同)
 
この鉾ホコはいづこの鉾ぞあめにます 豊をか姫のみやのほこなりみやのみほこぞ(同)
 
△山神
やすみしゝ わが大王オホキミ 神カムながら 神カムさびせすと 芳野川ヨシノガハ たぎつ河内
カフチに 高殿タカドノを 高知りまして のぼりたつ、国見をすれば たたなはる 青垣山
アヲガキヤマの 山神ヤマヅミの まつる御調ミツギと 春べは 花かざし持ち 秋立てば 黄葉
モミヂかざせり ゆふ川の 神も 大御食オホミケに つかへまつると かみつ瀬に 鵜川ウカハ
をたて しもつ瀬に 小網サデさしわたし 山川も よりてつかふる 神の御代かも
                               (萬葉集 一雑歌)
 
△道神
めぐりあはんちぎりの末はなが道磐の 神のしるべをたのむばかりぞ
                     (夫木和歌抄 三十四神祇 参議為相卿)
 
△岐神フナドノカミ
ふなどさへゆふけの神にものとへば みちゆく人ようらまさしかれ
                             (簾中抄 下略頌附歌)
 
△ちぶりの神
わたつみのちぶりの神にたむけする ぬさのおひ風やまずふかなん(土佐日記)
 
ゆくけふもかへらん時も玉ぼこの ちぶりの神をいのれとぞおもふ(袖中抄 十九)
 
△たむけの神
玉かづらたえてもやまじゆく道の たむけの神もかけてちかはん(源氏物語 十五蓬生)
 
此のたびはぬさもとりあへず手向山タムケヤマ もみぢのにしき神のまにまに
                        (古今和歌集 九羇旅 菅原朝臣)
 
たむけにはつゞりの袖もきるべきに もみぢにあける神やかへさん(同 素性法師)
 
けづりこし心もありて玉かづら たむけの神になるがうれしさ(伊勢集 下)
 
もみぢばも花をもをれる心をば 手向の山の神ぞしるらん(紀貫之集 八)
 
玉ぼこの手向の神もわがごとく わがおもふことをおもへとぞおもふ(同)
 
風にしもつけつるぬさは道のべの 手向にあかぬ神なかれとぞ(権中納言兼輔卿集)
 
鳥居たつあふ坂山のさかひなる たむけの神にわれないさめそ
                         (夫木和歌抄 二十雑 源仲正)
 
そめたちていのれるぬさのおもひとは たむけの道の神やしるらん
                      (夫木和歌抄 三十二雑 よみ人不知)
 
君をおもふ我心しぞみえぬべき たむけの神もいかゞおもはん
                     (夫木和歌抄 三十四神祇 よみ人不知)
 
△河神
やすみしゝ わが大王オホキミ 神カムながら 神カムさびせすと 芳野川ヨシノガハ たぎつ河内
カフチに 高殿タカドノを 高知りまして のぼりたつ、国見をすれば たたなはる 青垣山
アヲガキヤマの 山神ヤマヅミの まつる御調ミツギと 春べは 花かざし持ち 秋立てば 黄葉
モミヂかざせり ゆふ川の 神も 大御食オホミケに つかへまつると かみつ瀬に 鵜川ウカハ
をたて しもつ瀬に 小網サデさしわたし 山川も よりてつかふる 神の御代かも
                               (萬葉集 一雑歌)
 
△海神
海神ワタツミの手にまきもたる玉ゆゑに 石イソの浦みにかづきするかも(萬葉集 七譬喩歌)
 
海神の もたる白玉シラタマ見まくほり 千遍チタビぞのりしかづきする海子アマ(同)
 
かづきする海子アマはのれども海神ワタツミの 心しえねば見ゆといはなくに(同)
 
春の日の 霞めるときに 中略 水江ミヅノエの 浦島の児コが 中略 わたつみの 神の
をとめに たまさかに いこぎはしりて あひかゞらひ ことなりしかば かきむすび
常代トコヨに至り わたつみ 神の宮の うちのへの たへなる殿に たづさはり 二人い
りゐて 老いもせず 死にもせずして 永世トコシヘに ありけるものを 下略
                                 (同 九雑歌)
 
△島神
さりともと身のうきことはおほ島の 神の心をたのむばかりぞ
                     (夫木和歌抄 二十三雑 左近中将具氏)
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