0102a園芸蘭科植物
オルキス属
ユーラシア大陸の温帯に約35種分布する地生ランです。
地下に塊根状の丸い球が2〜3個あり,地上部は冬枯れます。
葉は無毛で,多くは花茎の基部にロゼット状に集まります。
花茎は直立し,多数の美花が総状に咲きます。苞葉は膜質,萼片と側花弁は後ろに反
りほぼ同長,唇弁は3裂が多く,基部に長さ8〜25oの距があります。花粉塊は棍棒
状のものが2個で,粉状です。
ダクティロリザ属と花の形が似るが,地下部,苞葉の質,葉の付き方などが異なり,
それらがよく纏まっていますので,普通別種とされます(日本の図鑑類では大抵同属
にしている)。
オンシディウム(オンキディウム)属
熱帯及び亜熱帯アメリカに400種以上知られ,形態の変異に富み,普通樹木に着生,稀
に巻き付き,やや低地性です。
偽鱗茎があり,頂に1〜2葉があります。
唇弁は蘂柱とほぼ直角に出て,基部の側裂片が目立ち,中裂片は2裂です。蘂柱は短
く,頂部両側に目立った1対の耳状翼があります。
[カ]
カタセツム属
熱帯アメリカに約50種分布し,普通樹上に着生します。
新しい偽鱗茎から2方向に出る葉は縦皺型で,乾期は基部の節から落葉します。
花序は偽鱗茎の基部から出て,雌雄異花序のものと同花序のものがあります。雄花は
一般に形態の変異に富み,種類の特徴をよく表し,圧力に敏感な2個の触角状の小嘴
体があるものが多い。
近縁種のキクノケス属は花序が偽鱗茎の上部の節から出ます。またクロウェシア属は
花が両性で,モルモデス属も花が両性花ですが,花序は偽鱗茎の中程の節から出ます。
カトレヤ属
熱帯アメリカに約30種分布し,樹上又は岩上に着生する常緑の多年草です。
頂に1〜2枚の厚い葉が付く偽鱗茎があります。
花は頂生で1〜数花が総状に咲きます。花は一般に大型で美しく,唇弁は後部或いは
側裂片が蘂柱を囲み,基部は狭くなって蘂柱の下と繋がります。外見はレリア属とよ
く似ますが,花粉塊は硬く4個で,各々に細い柄があります。
カランテ属(エビネ属) 例 ニオイエビネ・キエビネ
日本では北海道以南,主として世界の熱帯に約150種分布しますが,新大陸にはメキシ
コ,中央アメリカ,西インド諸島に1種(別属とされる場合もある)を産するに過ぎ
ません。
地生で,偽鱗茎のある種類とない種類があります。葉は比較的大型で,縦皺があり,
明瞭な葉柄ヨウヘイがあります。
類似の属とは粘着体に直接くっ付いた8個の硬い棍棒状の花粉塊,唇弁基部とほぼ全
長で癒着した蘂柱などで区別できます。
本属には,東洋ランとしてのエビネ類があり,多くの品種があります。
キシス属
メキシコ以南の熱帯アメリカに6種知られ,樹上や岩上に着生します。
乾期に休眠し落葉します。偽鱗茎は紡錘形で分岐し,葉は上半分に集まり2方向に出
ます。葉は縦皺があるが,若いときは巻いており,よく生長したものは偽鱗茎毎垂れ
ます。
花序は古い偽鱗茎の途中から短く伸び,大型で美しい。この姿はラン科の中でも似た
ものがないので,花がなくても属の見当はつきます。唇弁は3裂し,側花弁は立ち,
内側の基部に肉質の隆起条があります。蘂柱の脚部が長く,花粉塊は硬く,4個です。
キルホペタルム属(シコウラン属)
本州南部以南,主として東南アジア,少数がアフリカ,太平洋諸島,オーストラリア
北部にかけて分布し,約150種が知られています。
ブルボフィルム属と明瞭には区別できないので,分類上は同属とする場合が普通です。
植物体ではブルボフィルム属と区別できません。
花は一般に細長い(短いものもある)花茎の先端に集まり,扇状(散形状)になりま
すが,1花のものや,上部で総状に付く種も少数ながらあります。両側萼片が特に長
く,基部でひっくり返って,元来の外側の縁ヘリ同士が接着します。
この属名は園芸上便宜的に用いられていると考えてよいでしょう。
グッディエラ属(シュスラン属) 例 カゴメラン
北半球の温帯から南は太平洋諸島,オーストラリア,マダガスカル,メキシコに分布
しますが,アフリカと南アメリカには知られていません。分布の中心地は東南アジア
です。
地生で,殆どが日陰を好み,横に這う茎(根茎)の節から根を下ろし,分枝し,立ち
上がって葉を付け,先に総状花序が出ます。幼葉は巻いており,花は比較的小さく,
屡々同方向を向いて咲きます。
ゼウクシネ(キヌラン)属やヘタエリア(シロスジカゲロウラン)属に比べますと,
唇弁が分裂せず,内面に毛が生える点や蘂柱の前方の柱頭部分が大きいことなどで区
別できます。
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