21a 椿・山茶花
○チャ
チャ(茶)は原産地は東南アジアで,日本への渡来は古く,鎌倉時代若しくはそれ以
前まで遡るといわれています。常緑低木で,枝は細く良く分枝し,高さ1〜6mになりま
す。葉は長さ4〜10p,幅2〜3pの長楕円形で,鋸歯があり濃緑色,葉脈部が窪んで
います。花期は10〜12月,花は白色,径2pで,下向きに雄蘂を包み込むように咲きま
す。果実は球形,径3〜4pで3〜4種子を含み,種子は暗褐色で径1pです。新芽や
若葉から茶を作り,カフェインやタンニン,ビタミンCなどの成分を含みます。緑茶用
の代表品種にヤブキタがあり,全国に普及しています。
栽培:繁殖は実生または挿し木によります。栽培は容易で生け垣,庭園用に広く使わ
れ,刈り込みにも強いです。
○ロゼフローラ
ロゼフローラは,原産地は中国中部湖北省とされていますが正確な分布は不明で,昭
和46年に渡来しました。高さ数mの常緑低木で,多数の枝を地際より生じ,叢生ソウセイしま
す。枝は細く長く伸びます。葉は長さ4.5〜8p,幅2〜3p,長円形で質が薄く濃緑色
です。花期は1〜3月,花は濃桃色,ラッパ状で径3.5〜4p,雄蘂は筒状で花弁ととも
に脱落します。全体としてヤブツバキの花を極ゴク小さくした印象を与えます。
栽培:繁殖は挿し木により,栽培は容易で生育も早いです。ただし潮風や寒風には極
めて弱く,防風,防寒が大切です。培養土は鹿沼土や赤玉土を主とした,保水と排水の
よいものを用います。小型種のため,鉢植えでもよく花が咲き,愛らしい。売店でのベ
ストセラーです。
○その他の原種ツバキ
中国には標本でのみ知られる原種が多いですが,次の種は,日本でも普及しています。
ユチャは油料作物として中国では広く栽培され,花は白色でサザンカに似ますが,多
くの系統があります。
ホンコンツバキは暗色の特有な葉を有し,紅色の筒状花をつけます。
ピタルディー・ユンナニカは感じがトウツバキに似ていますが,花,葉ともに小さい
です。
シラハトツバキは細い枝に白の小輪花を多数つける美種です。類似の小型種には,中
国中部産のクスピダータやトガリバサザンカ,台湾産のウスバヒメツバキなどがありま
す。
[ツバキの園芸品種]
ツバキの品種解説を行う場合,花形による区分を抜きには考えられません。花形は非
常に変化に富みますが,一般に一重,八重,唐子カラコ,牡丹ボタン,獅子シシ,千重センエと大
別し,更にこれらを一重の抱え咲き,八重の蓮華レンゲ咲きというように細分するのが常
です。以下に花形区分とその代表品種を示します。
○ツバキの園芸品種の花形区分
一重咲き 猪口咲き − 侘助,白侘助,数寄屋
筒咲き − 西王母,黒侘助,秋の山,一楽,チューリップ・タイム
抱え咲き − 大日の曙,玉霞,白玉
椀咲き − 曙,加茂本阿弥
ラッパ咲き − 玉の浦,新月見車,百合絞,ワーリンガ・ベル,蜀紅
平開咲き − 匂吹雪,肥後紅葉狩,王冠,炉開き,雪明り,大二字
八重咲き 八重咲き − 岩根絞り,唐錦,繻子重,五色八重散椿,日暮,江戸錦,
不如帰,グランド・スラム,グランプリ,ジュリオ・ヌッチオ,チャイナレディー,
タイニー・プリンセス,モーチャン,サウスシーズ,フランシー・エル,ドリーム・ガール,
仏陀
蓮華咲き − 春の台,都鳥,羽衣,孔雀椿,見驚
抱え咲き − 袖隠,花富貴,本村白
唐子咲き 唐子カラコ咲き − 卜伴,式部,白唐子,グエネス・モーリー,紅獅子
大唐子咲き − 大唐子,エレガンス・シャンペン,エレガンス・スプレンダー,エレガンス・シュー
プリーム
牡丹咲き − 光源氏,酒中花,雪小国,三宝の舞,マーガレット・デービス,
ブティー・シェフィールド・シュープリーム,ティファニー,グランド・スラム,フラグラ
ント・ピンク,アックセント,ショウタイム,早牡丹,大瑪瑙
獅子咲き − 荒獅子,白太神楽,カーネーション椿,ドクター・クリフォード・パークス
千重咲き 千重咲き − 乙女椿,菊冬至,限り,星車,紀州司,絞り乙女,ヌッチオス
・パール,ピンク・フロスト,紫抱,菊弁,松子鱗,バレンタイン・デー,
ウォーター・リリー
宝珠咲き − 崑崙黒,宝珠
列弁咲き − 蓮見白,あやとり
二段咲き − 花車,相合傘,デミタス
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