49 完熟を味わう − 果物ドライブの秋
 
                 参考:JAF MATE社発行「JAF-MATE 10.」
 
〈秋の果物 − 美味しく味わうためのサムシング〉
 
 食欲の秋です。
 果樹園を渡る秋風に吹かれ,重たそうに揺れる果物。
 どれもみずみずしくて,見るからに甘くて美味しそう・・・・・・。
 旬の果物をより美味しく食べるための見分け方,保存のコツとは(以下,森田秀巳氏
=取材・文)。
 
△リンゴは重み,ブドウは張りで見分ける
 リンゴ,ブドウ,ナシ,カキ・・・・・・。9〜11月は,果物狩りの季節です。
 旬のものはどれもこれも美味しそうに見えます。果物狩りに出かけたときも,街のス
ーパーや果物店の店頭でも,その品定めには頭を悩ますに違いありません。
 美味しい果物の見分け方や保存法などを,果実生産に携わる人たちにうかがいした。
 
 まずは,リンゴ。より自然の状態に近付けた果物作りに拘コダワる,長野県須坂市「ふ
れあい農園・越果実園」の越信子さんはこう話します。
 「熟して美味しいものかどうかはお尻の色でも見分けられます。例えば,一番一般的
な品種の『ふじ』なら,青味がとれ黄色がかっているのが美味しいリンゴ。表面がつる
つるのものより一寸ザラッとしたものを選ぶのがコツ。また『サン○○』と呼ばれる無
袋リンゴは有袋リンゴより甘いものが多く,お勧めです」
 また,同じ大きさなら重い方,指で軽く弾ハジいて弾んだ音がするものが美味しいとの
ことです。
 
 次にブドウ。小粒の「デラウェア」,黒い大粒の「巨峰」,巨峰を品種改良した「ピ
オーネ」,温室ブドウの代表で緑色の「マスカット」,最近人気の「甲斐路」などが代
表的な品種です。
 美味しいブドウの見分け方を越さんが教えてくれました。
 「全体的に皮の色が濃い方が美味しい。特に『巨峰』の場合は,皮の色が黒く,粒に
張りがあって,ブルーム(白い粉)が付いているのがいいですね。粒の密度はぎっしり
過ぎず,すかすか過ぎず,1房20p程度の長さに35〜40粒前後。また,房の下方の実が
甘いものは上はもっと甘く,同じ木でも蔓の先端と南側の房がより美味しいんです。あ
と,店頭で選ぶ際には,新鮮度が高く,茎の青いものを選ぶこと」
 
 シャリシャリとした食感が魅力のナシ。このところの人気は「幸水」「豊水」と云っ
た品種です。
 さて,美味しい梨の見分け方。「まずは形が扁平で,より黄色味や褐色味を帯びたも
の。そして,触ってみて硬いものが水分も多く,サクサクした歯触りが楽しめます。大
きいものは軟らかくなりやすいですね(JA全農とっとり園芸畜産部小椋武さん)」
 
△冷蔵庫を上手に使いこなす保存法
 旬の果物狩り。お土産も,きっと産地の果物の筈です。沢山の果物を,どうすれば美
味しく保存出来るのでしょうか。
 
 リンゴの場合,「低温で湿度があると長持ちするので,ポリ袋などで密封して冷蔵庫
に入れます。『ふじ』は数カ月は持ちますますが,その他の品種は1週間程度と考えて
早く食べること(越さん)」
 未熟なリンゴは,キウイと一緒の袋に入れて冷蔵しておくと熟しやすくなります。
 また,甘くないリンゴは,リンゴ1sに対し500gの砂糖で煮て,よく冷ましてから天
日干しにしますと,美味しい干しリンゴになります,とのことです。
 
 ブドウの場合は,密封せずに新聞紙などにくるんで呼吸出来る状態にして冷蔵庫へ入
れます。
 「ブドウは取って直ぐか,1〜2日のうちに食べて下さい。食べる1時間〜30分程前
に冷蔵庫の入れて冷やすと美味しく戴けます(越さん)」
 
 ナシの場合はどうでしょうか。
 「ポリ袋などに密封して冷蔵庫に入れて置きます。常温のままですと,追熟して悪く
なりやすいんです。品種によって違いはありますが,『幸水』,『豊水』など1週間前
後,『二十世紀』で2週間前後の保存が可能です(小椋さん)」
 
△クリはじっくり茹でると甘くなる
 カキとクリも,秋の味覚としては忘れることが出来ません。
 美味しいカキ分け方は,全体に形が均等で,艶ツヤと張りがあるもの。色に斑ムラがなく
濃いものを選ぶといい。また,蔕ヘタがしっかりして,枝に繋がる軸が短く,太いものが
美味しい。
 保存法はポリ袋に密封して冷蔵庫で保存,1週間位は美味しく食べられる。常温です
と柔らかくなりますが,この柔らかくなったものを好む人も多い。
 
 「クリは,艶があってしっとりしているものを選んで下さい。鬼皮(表皮)に不自然
な染みや黒ずみがあるものは虫喰いや腐れの可能性があります」と,茨城県霞ヶ浦町「
栗農園・久利屋」の古渡勝さんからアドバイス。
 取ったばかりの新鮮なクリなら,乾燥しないようポリ袋に密封して冷蔵庫で1週間程
保存しますと,逆に甘味が増してきます。そのまま1ケ月位は美味しく食べられます。
 美味しい茹で方のコツは,たっぷりの水。沸騰したら1時間程弱火で茹でます。茹で
上がったら直ぐに笊ザルに揚げます。
 「クリに茹で過ぎはありません。最後の10分で甘味がぐんと増すんです(古渡さん)
」
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