07d 野菜「根菜類−塊茎根」
 
◎レンコン 蓮根
 スイレン科 原産地:中国説・エジプト説の両説あり
 プロフィール:ハスはスイレン科の多年生水生草本で,わが国には2000年以上前に伝
来しました。
 レンコンは,ハスの地下茎が泥の中に長く伸び,先端部分に養分を蓄えて肥大したと
ころを指します。肥大した部分には,葉柄に酸素を送る通気孔として平均10個程度の孔
があります。わが国において本格的に栽培されるようになったのは明治時代以降です。
古くからわが国に存在した品種は東海地方に残るのみです。主流は,地下茎の肥大性の
大きな中国からの導入種で,備中,杵島キシマなどです。
 
 △食べ方と効能
 レンコンの収穫は,冬から春先にかけてです。孔(穴)があるため「先が見通せる」
として,祝いの料理に用いられます。太くて真っ直ぐで,表面に艶があり,傷のないも
ので,切り口の孔が小さく,孔の周囲にアクが出ていないものを選びます。ラップに包
んで10℃以下の処に冷蔵保管します。
 空気に触れますと黒ずみますので,切り次第酢水に晒します。また酢湯で茹でますと
白く茹で上がります。梅肉和えやワイン漬け,酢レンコン,煮物,炒め物,揚げ物など
用途が広く,特有の歯触りが楽しめるように,火の通し過ぎに注意して下さい。
 
◎キクイモ 菊芋 トピナンプーとも
 キク科 原産地:北アメリカ東北部
 プロフィール:キクイモの名の由来は,キクのような花を付け,数本〜数十本の根の
先端が肥大して塊茎となることから名付けられました。
 原産地においては,白人が渡来する前から先住民が栽培し食用としていました。強健
な植物で荒れ地においても繁茂しますので,17世紀初頭にヨーロッパに伝わった後,飼
料用,食用,果糖・アルコール原料として世界各地に広まって行きました。わが国には
江戸時代末期に渡来したと云われますが,消化吸収も悪く栄養価も低いことから,食用
よりも飼料用とされて来ました。第二次世界大戦中の食糧難のときには栽培されました
が,現在は殆ど栽培されていません。一部において漬物にされます。
 
 △食べ方と効能
 キクイモの旬は秋です。ジャガイモの歯触りと,ゴボウの味をミックスした風味があ
ります。イヌリンを多く含み,煮ると特有の甘味が出ます。生のまま天麩羅にしたり,
醤油と味醂で甘辛く煮含めたり,味噌煮にしたりします。また漬物に加工されたり,イ
ヌリンを抽出して飴を作るほか,アルコールや果糖の原料にします。
 
◎セロリアック 根セロリ・セロリアークとも
 セリ科 原産地:不明
 プロフィール:セロリアックは,根セロリと呼ばれますようにセロリ同様,野生のセ
ロリの変種と推定されています。セロリアックの記録は,17世紀初めにイタリアに登場
しましたが品種分化は進まず,多くはフランスやドイツにおいて栽培されます。わが国
へは明治時代初期に導入され,現在長野において少量が生産されています。
 食用とするのは肥大してカブ状となった根で,淡い茶色で横に皺シワがあり,セロリと
同様の芳香があります。茎葉は濃緑色をしており,葉は小さく葉柄は細い。葉や茎はビ
タミンAやカリウムを多く含んでいますが,堅く苦いため,食用には向きません。
 
 △食べ方と効能
 セロリアックは,夏はオーストラリアやニュージーランドから,冬はヨーロッパから
輸入して年中出回っています。皮を剥くときは,厚めに削ぐようにして剥きます。特に
根の方は厚く切り落として下さい。セロリとは異なり,生食しません。サラダのときも
茹でてからドレッシングで和えます。アクが強いので,切ったら直ぐにレモン汁を振り
掛けるか,酢水に放して置きます。茹でたものを裏漉しし,バターや生クリーム,塩胡
椒で味付けしてマッシュポテトのように肉の付け合わせにすることもあります。その他
スープや煮込み料理にも適します。
 
◎チョロギ
 シソ科 原産地:中国
 プロフィール:チョロギは,わが国には江戸時代初期に中国から朝鮮半島経由で渡来
しました。ヨーロッパに伝わったのはその後で19世紀になってからです。一時フランス
において珍重され,アメリカにおいてもジャパニーズアーティチョークと云う名で栽培
されていたと云いますが,現在では余り栽培されていません。
 草丈は30〜60cm,葉は長円形で厚い。晩秋に地下茎が肥大し,長さ3〜6cmの,捻り
状の塊茎を作ります。塊茎の色は白ですが,梅酢に漬けて赤く着色し,お節オセチ料理や祝
い事に用いられます。これはチョロギに千代老木,長老芋,長老貴,松露花などの字を
当てるためです。
 
 △食べ方と効能
 チョロギは秋,地下茎の先が蚕によく似た形に肥大します。収穫は晩秋から冬にかけ
てです。最も有名な料理法は,チョロギを赤い梅酢に漬けてお正月の黒豆に添えます。
その他塩漬,粕漬,味噌漬などの漬物に加工します。また炒め物やシチューにも利用さ
れます。煮ますと,百合根に似た味がします。中国においては塩漬,醤油漬,酢漬にし
ます。わが国においては,特に東北地方で食されます。
 
◎ヤーコン アンデスポテトとも
 キク科 原産地:南米アンデス地方
 プロフィール:ヤーコンはキクイモに似た多年生草本で,アンデスポテトの別名を持ちま
す。現地においては,食用イモ類の一つとして利用されています。わが国にはニュージ
ーランド経由で昭和時代末期に導入されました。
 草姿はキクイモに似ており,草丈は1.5〜2m,黄色い花を付けます。地下に200g程度
の,サツマイモに似た塊根を数個付けます。外皮は褐色を帯びた白色で,内部も同系統
の色をしています。塊茎は多汁で甘味はありますが,多少のアクがあります。皮を薄く
剥きますと,ナシのような歯触りで,果物のようにそのまま生食します。
 
 △食べ方と効能
 ヤーコンは甘味とアクがあり,歯応えは良い。アクが強いので,切ったら直ぐに水に
晒します。生食できますが,煮物や炒め物などにして火を通した方が,アクが和らいで
食べやすくなります。
 粘りの成分であるイヌリンを含みます。サツマイモに比べて糖質の量が少ないので,
カロリーは半分以下です。

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