06c 野菜「根菜類−直根」
 
◎ビート カエンサイ・ガーデンビート・ビーツ・ウズマキダイコンとも
 アカザ科 原産地:地中海沿岸
 プロフィール:ロシア料理のボルシチに入っている赤い実にようなビートは,この料
理以外には日本人には馴染みの薄い野菜です。古代ローマ人は葉と根を食用にしていた
と考えられます。そこから地中海沿岸に広まり,現在のような赤いビートは16世紀にド
イツにおいて栽培されたと云われています。根がカブのように肥大し,紅色で輪切りに
しますと美しい輪紋があります。わが国には江戸時代の『大和本草』と云う書物にこの
記載があり,この頃に渡来,また明治時代初期になって再渡来しましたが,何れも普及
しませんでした。砂糖を採るシュガービート(甜菜テンサイ),葉を食べるリーフビート(
フダンソウ)とは同種です。
 
 △食べ方と効能
 ビートは仄かな甘味と特有の食感,鮮やかな真紅の色を楽しむ野菜です。あまり大き
なものより,直径7〜8pで丸いもの,凹凸のないものが良品です。髭ヒゲや泥の付いて
いるものの方が鮮度が良い。
 切ってから茹でると色が流れてしまいますので,皮付きのまま茹でます。塩湯を弱火
にして40〜50分茹で,茹で湯に浸けたまま冷まします。皮は手でつるりと剥けます。そ
のまま切ってサラダや酢漬けにします。マヨネーズで和えますと,鮮やかなピンク色に
なります。
 ビタミン,ミネラル共に少なく,糖質が主体です。
 
◎ルタバガ スウェーデンカブとも
 アブラナ科 原産地:アジア,ヨーロッパ北部
 プロフィール:ルタバガは,洋種ナタネから生じたと推定されています。寒冷地帯に
広く分布し,貯蔵性に秀でていますので,ヨーロッパにおいては冬場の重要な野菜であ
り,食用以外に家畜の飼料としても用いられています。わが国には明治初年に渡来しま
したが,当時は主として飼料用に用いられました。明治時代以前にも北海道や岩手にお
いて栽培されていたようです。
 現在北海道において少量生産されていますが,食用の大部分は輸入に頼っています。
食用となる根は,カブに似た球形,又は紡錘形に大きく膨らんでいますが,味はカブに
似ないで濃厚です。白皮白肉のほか,黄皮白肉,黄皮黄肉の品種もあります。
 
 △食べ方と効能
 ルタバガは皮が厚く,肉質は堅い,味はカブより濃厚で,ややカボチャに近い。料理
法はカブと同じと考えても良く,生のままサラダや酢漬けにしたり,バターとブイヨン
で煮てグラッセにしたりします。そのほか,柔らかく煮て熱いうちに裏漉しし,ブイヨ
ンで延ばしてスープにしても美味しい。また,茹でたものにホワイトソースとチーズを
掛けてグラタンにしても良いでしょう。

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