02l 野菜「葉菜類-葉」
 
◎食用タンポポ
 和名:蒲公英,ダンデリオン キク科 原産地:ヨーロッパ,日本
 プロフィール:タンポポは若葉や花を食用にし,仄かな苦味が特徴で,高い利尿作用
があるほか,血液の浄化作用,健胃,強肝の効果もあります。学名のタラクサクムはギ
リシャ語で,薬効を意味する言葉に由来します。
 国内における栽培が少ないので,西洋タンポポの改良種を輸入しています。また根を
炒って乾燥させて粉末にしたものは,コーヒーの代用にします。
 
 △食べ方と効能
 タンポポは,欧米においては専らサラダやオードブルに使います。食用部分は若芽,
若葉,花,根で,花が咲くと葉の苦味が強くなるので,開花前のものを収穫します。
 栽培ものはアクや苦味が少なく,生のままサラダなどしても美味しく食べられます。
それでも風味が気になるときは,天麩羅にしますと苦味がぐっと弱まります。油による
炒め物や炒め煮にしても苦味が弱まります。塩湯でさっと茹でて和え物やお浸しにして
も良く,苦味の度合いによって,水に晒す時間を調節して下さい。
 
◎ムスクラン
 プロフィール:ムスクランとは,北イタリアにおいて始まった栽培法のことで,イタ
リア語「混ぜ合わせる」を意味するミスティカンツァのフランス語読みです。野菜の少
ない春先に数種類の葉菜の種子を混ぜて蒔き,それぞれの葉が数枚で揃ったところを収
穫します。
 数種の味や香りを同時に楽しめるのが利点で,ヨーロッパ版「春の七草」とでも云い
ましょうか。蒔かれる主な品種は,広葉のエンダイブ(エスカロール)とエンダイブ,
レタス,トレビス,コーンサラダ,食用タンポポ,ロケットサラダなどです。これらの
野菜は,種子の発芽率が良く,生長の早さほぼ同じなので,フランスの野菜管理局が定
義しましたが,これ以外でも構いません。
 
 △食べ方と効能
 ムスクランは,七つの味がミックスされたサラダが出来ますので,ドレッシングはあ
っさりとフレンチスタイルにします。また,さっと茹でて和風の和え物やお浸しにして
も美味しい。スープの具や魚の蒸し煮,バターソテーにして肉料理の付け合わせにもし
ます。
 数種の野菜が混ざっているので,ビタミンA効力を保つカロチン,ビタミンC,鉄,
カルシウムが豊富で,食物繊維もたっぷりです。
 
◎ツルナ 蔓菜
 和名:蕃杏,浜萵苣ハマヂシャ,浜菜,磯萵苣 ツルナ科 原産地:日本,中国,オース
 トラリア,南アメリカ
 プロフィール:ツルナは太平洋岸の砂地に自生する野草で,茎がよく分かれ地を這う
ように伸びるために,ツルナと名付けられました。芽先を摘んでも直ぐに次の芽が出て
くるため,初夏から晩秋まで収穫出来ます。江戸時代から栽培され,その頃から重宝な
野菜として知られていました。
 若芽や若葉を摘んで利用,葉や茎を煎じて飲むと胃炎に効くと云われています。
 
 △食べ方と効能
 ツルナの旬は夏の終わりから秋にかけて,肉厚の葉や茎を摘み取って食用にします。
風味はホウレンソウに似て,特に若いうちは柔らかで癖クセも少なく食べやすい。
 熱湯で茹でて水に晒し,汁物の青実やお浸し,和え物にします。堅い葉は,十分に茹
でないと,口当たりが良くありません。
 特にビタミンA効力を持つカロチンと鉄は豊富に含まれ,またビタミンCも多い。カ
ルシウムも含まれていますが,溶解性が低いので,体内における利用には期待出来ませ
ん。
 
◎スイゼンジナ 水前寺菜
 和名:金時菜キンジソウ キク科 原産地:熱帯アジア
 プロフィール:スイゼンジナは柔らかな若芽と葉を食用にし,春から晩秋まで収穫出
来ますが,5~6月のものが最も美味しい。癖のない味で,茹でるとぬめりが出るのが
特徴です。1795年中国から伝えられ,熊本県水前寺において栽培されたため,スイゼン
ジソウとも呼ばれ,鹿児島においてはハンダマ,ハルタマとも呼ばれます。
 栽培ものは少ないので,奄美大島や九州南部において半野性的に自生するを利用し,
このような暖地においては一年中若葉が出ます。
 
 △食べ方と効能
 スイゼンジナの葉は柔らかく,葉の表は緑色,裏は紫色です。葉や若芽は火を通すと
ぬめりが出て,矢張り水前寺地方特産の海草スイゼンジノリのようになります。
 熱湯で茹でて三杯酢で和えたり,お浸しや吸物の具,炒め物,天麩羅などにします。
美しい紫色を活かして,豆腐を崩しての和え物や白和えにもします。また生のまま千切
りキャベツとの合わせサラダにもします。
 ビタミンA効力を持つカロチンやビタミンC,カリウム,カルシウム,鉄などのミネ
ラル類も豊富に含まれた栄養価の高い食品です。

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