02a 薬膳粥その1
[ミント粥]
ミントとは薄荷ハッカのことです。古くからお菓子に用いられ,スペアミントやペパーミ
ント入りのガムや飲物は,老若男女に好まれております。
一寸熱っぽいとき,暑さによって食欲のないときなどには,白子シラス干しのさっぱりし
た塩味と,ミントの爽やかな香りをお粥を召し上がって下さい。ミントの主成分のメン
トールは,気分を爽やかにするほかに,健胃薬としての効能があり,また解熱や発汗作
用もあります。あまり大量に摂りますと,中枢神経の麻痺や血圧亢進作用がありますの
で注意して下さい。
材料:4人分/白米180g,ミント8g,白子干し40g,清酒30ml,塩少々,水1400ml
作り方:@よく洗った白米に分量の水・清酒・塩を入れてお粥に炊き上げます。
A炊きあがる直前に白子干しを入れる。
Bミントは両手でパンと叩き,食べる直前に入れる。
メモ:@ミントの香りが白子干しの臭みを打ち消してくれます。
A三色スミレなどの花をあしらっても戴くのも良いでしょう。
Bもう一品と云うときは,大根と紫蘇葉を千切りにして混ぜ合わせた付合せもよく
合います。
[バジル粥]
神経の疲れ・不眠症など,心をよく落ち着ける作用のあるバジルは,トマトと相性が
良く,イタリア料理に多く用いられる香辛料です。乾燥バジルの葉を熱湯によって抽出
したバジル湯にトマトジュースを加え,イタリアンテイストのお洒落なお粥にしてみま
しょう。健胃作用もありますので,一寸飲み過ぎて胃が凭れるときなどにお試し下さい。
バジルペーストを作って冷凍して置きますと,肉料理なども利用出来て便利です。
材料:4人分/白米180g,トマトジュース1缶,乾燥バジル葉3g,バジルペースト60
g,湯1200ml,清酒15ml,塩少々
作り方:@乾燥バジル葉3gに1,200mlの熱湯を注ぎ,香り付いたところで茶漉しで漉
してバジル湯を作る。
Aバジル湯にトマトジュース1缶を加え,白米・清酒・塩を入れて炊き上げる。
B炊きあがる直前にバジルペースト(冷凍のときもそのまま)を加える。
メモ:@肉料理などのソースに用いられるバジルペーストは,生のバジル葉300gをジ
ューサーに掛け粗く砕いたところへ,オリーブオイル100mlを加え,更によく混ぜ
て作ります。
A色よく保存するために塩一摘み(5g)を入れて掻き混ぜ,1回分ずつアルミカッ
プなどに入れて冷凍して置きます。
B季節の花をあしらって戴きます。
[ゆず粥]
酸味と香りが日本料理にぴったりの柚子ユズは,お吸物や焼物,煮物に珍重されて来ま
した。冬至には風邪の予防やひび・あかぎれの治療に柚子湯に入るなど,古くから私共
の生活と密接に結び付いて来た調味料です。
柚子の皮には蜜柑に比べて4倍ものビタミンCが含まれ,果実には口中の渇きを癒す
作用,果汁にはばい菌の増殖を抑える作用があると云われています。風邪を引いたとき
には柚子湯を飲みますと発汗し,咳も軽くなることが知られています。
風邪のため食欲のないときには,あっさり風味の柚子粥を召し上がって下さい。一年
を元気に乗り切る秘訣です。
材料:4人分/白米180g,柚子皮15g,清酒30ml,塩8g,水1400ml
作り方:@白米に分量の水・清酒・塩を入れ,白粥に炊き上げる。
A食べる直前に,夏場の青柚子は(苦味があるので)卸して,冬場の柚子は皮を極
薄く刻んで添える。
メモ:@昔から日本料理に欠かせないのが柚子です。香りを楽しみながら,美味しく
食べて健康になりましょう。
A風邪の初期症状に柚子粥をどうぞ。
[菊花キクカ粥]
杜仲トチュウ葉で煮込んだ茶粥に,焼き椎茸,菊花と絹莢キヌサヤを飾って,おもてなし料理
にもなる一品です。
杜仲は落葉高木で,樹皮や葉には利尿・血圧降下作用,腎臓の機能を高める働きがあ
ります。
菊花には解熱・解毒,沈痛・降圧・利尿作用があります。動脈硬化や高血圧,高コレ
ステロール症などの成人病予防に効果的な大人のお粥です。
材料:4人分/白米180g,杜仲葉5g,乾燥菊花5g,生椎茸4枚,絹莢12枚,昆布30
g,削り節10g,薄口醤油30ml,味醂10ml,清酒45ml,塩少々,水1400ml
作り方:@分量の水に昆布・削り節を入れて一煮立ちさせて布で漉す。
A漉した出汁が熱いうちに杜仲葉を入れ,再び布で漉して杜仲茶を作る。
B杜仲茶に白米・薄口醤油・味醂・清酒・塩を入れて茶粥に炊き上げる。生椎茸は
焼いて,炊き上がる直前に入れる。
C乾燥菊花は酢湯で戻し,食べる直前に上に載せる。また,絹莢をさっと茹がいて
彩りに添える。
メモ:乾燥菊花は,一寸した和え物,酢の物などに用います。酢を少し垂らした熱湯
に2〜3分入れただけで戻ります。風邪を引いて口が不味いマズイときなどに,解
熱・解毒作用を持つ菊花を上手に料理に活かして下さい。
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