02 ごまを食べて若返る
 
〈蛋白質タンパクシツが豊富で,肝臓を守る〉
 ごまの蛋白質は100g当たり20.3gと大変に豊富です。アミノ酸スコアは50で,リジンが少ないた
め数値的には良くないですが,トリプトファンやメチオニンが多いので,植物性蛋白質の中では極め
て優れた食品の一つと云えます。
 トリプトファンやメチオニンは肝臓に大切なアミノ酸で,特にアルコールを多く飲む人や肝臓の弱い人に必
要不可欠な成分です。
 ただしごまの皮は硬くて不消化なので,炒ったごまをすりつぶして利用して下さい。
 
〈体内の老化促進物質を除去する働きがある〉
 脂肪は100g中54.2gと非常に多く含まれていますが,コレステロールは含まず,不飽和脂肪酸
のリノール酸やオレイン酸などを約85%含んでいます。これらの不飽和脂肪酸は血中のコレステロールを
正常に保ち,動脈硬化を防ぎます。
 また,ごまの脂肪は不飽和脂肪酸が多いにも拘わらず,非常に安定して変敗しにくい
のは,オレイン酸を多く含むことと,ビタミンEやリグナン系(セサミン,セサモリンなど)の抗酸化物質を
含むためと云われています。またこのリグナン類の仲間には,腫瘍やウィルスの活性化を抑える
働きがあると云う研究報告がされています。
 この他ごまは,老化と深い関わりのある過酸化物質の活性の高いものを消す働きや,
老化色素の元になるリポフチンの抑制作用など,ごまには種々の老化促進物質を除去する働
きのあることが解明されてきています。
 成人病や癌ガン,老化予防にごまの常食は大いに効果があると云えるでしょう。
 
〈多種類のビタミン,ミネラルを豊富に含む〉
 炒りごまではビタミンB1は100g中0.49mg,ビタミンB2は0.23mg,ナイアシンは5.3mgなどビタミンB
群が豊富です。カロチンは17μgと微量,ビタミンE効力は1.4mgです。
 ミネラルはカルシウムが非常に多く1200mgを含み,この量は牛乳の12倍に当たりますが,ごまの
1回の摂取量は10g位なので,1回に摂れるカルシウムは120mgです。1日のカルシウムの所要量は
600mgですから,たったの10gのごまで1日のカルシウムの摂取量の1/5が補えると云うこと
は,大変価値があります。またごまのカルシウムはリンとの比が良好なので,体内利用度の高い
カルシウムと云えます。従って骨粗鬆症コツソショウショウの予防にも役立ちます。
 鉄は9.9mg,マグネシウム350mg,亜鉛7100μg,銅1500μgと大変豊富に含んでいます。
 加工食品中心の食生活をしていると,マグネシウムや亜鉛などの微量成分が不足して,味覚
・嗅覚機能の低下を招きます。
 また鉄や銅は貧血予防に大切なミネラルであり,銅不足は骨の異常や神経障害を起こしま
す。
 更に抗酸化作用の高いセレニウムなどの微量元素も含みます。
 このようなごまの種々の成分の相乗効果によって,高い抗酸化性を生み,老化促進物
質(フリーラジカル = 活性の高い遊離基)を除く働きがあると云えるでしょう。
 昔から「仙人の食べ物」とか「若返りの秘薬」と云われてきたのもうなづける理由が
あた訳です。
 日頃からもっともっとごまを活用して,老化を予防し,無病息災を願いたいものです。
 
〈小皺コジワを防いで,艶ツヤやかなお肌を保つ〉
 女性の多くは,肌の老化を防ぐためなら,高価な化粧品でも惜しみなく購入します。
しかし,肌は化粧品によって創られているのではなく,化粧品はあくまでも皮膚ヒフを保
護するためのものであって,皮膚は毎日の食事によって新旧の交替を繰り返し,新皮が
創られて行くのです。
 従って日々の食事の摂り方が,皮膚の老化を促進させるか,或いは老化を防いで艶や
かな美しい皮膚を保つかに関わってきます。
 皮膚の健康維持には,まず良質の蛋白質が必要ですが,前述の通りごまは蛋白質の宝
庫です。特にクリーム状にすりつぶしたものは吸収が非常に良いので,皮膚の栄養補給に適
します。また皮膚の潤ウルオいを保つには,必須脂肪酸やビタミンA,ビタミンEが必要です。ご
まはビタミンAだけが微量ですが,必須脂肪酸やビタミンEが豊富です。ビタミンAが豊富な小松
菜や春菊,ホウレンソウなどの菜っぱ類をごま和えにすれば,ビタミンA,ビタミンE,必須脂肪酸,
更にビタミンCも摂れて,艶やかで抵抗力のある皮膚が創られます。
 また,皮膚を創るビタミンはB2,ナイアシン,B6,葉酸,パテトテン酸などですが,ごまにはこ
れらが豊富に含まれています。皮膚の染みを防ぐ抗酸化物質も含まれていますので,ご
まをたっぷり摂って体の中から美しい肌を養って行きましょう。
 
〈枝毛,抜け毛,白髪を防いで美しい髪を保つ〉
 「髪の毛には海草が良い」と云われていますが,海草よりも髪に大切な食品は[ごま
]です。
 髪の毛の主成分は蛋白質で,特にメチオニンやシスチンなどの含硫アミノ酸が大事です。ごまの含
硫アミノ酸含量は100g中1200mgと大変多く,種実類の中ではトップです。
 髪の色艶を美しく保つには,鉄や銅,必須脂肪酸が大事です。白髪予防にはメチオニンや
鉄,銅,ビタミンCが不可欠で,枝毛の予防には蛋白質,必須脂肪酸,ビタミンEが必要です。
抜け毛の予防には蛋白質,カルシウム,鉄,銅,亜鉛,ビタミンB1,ビタミンB2,ふけ防止には
ビタミンB2,カロチン,ビタミンCなどが大切です。
 さてごまにはこれらの成分のうち,カロチン,ビタミンCが不足しているだけであって,その
他の栄養素は豊富に含まれているのです。正に[ごま]は健康な髪を保つための不可欠
食品と云えます。
 日頃からごまを上手に摂って,何時までも美しい髪を保って下さい。
 
〈朝食にセサミハネー(ごまと蜂蜜のドレッシング)をどうぞ〉
 中国ではすりつぶしたクリーム状のごまに,蜂蜜を混ぜたものを「精神丸」と云って昔か
ら不老長寿に効くと珍重されてきました。
 そこで,純ねりごま3に対して蜂蜜1の割合で混ぜ,パンに付けて召し上がってみて下
さい。お味も大変美味しいです。蜂蜜との割合はお好みで良いですが,ごまの量を多く
した方がヘルシーになります。
 また,肥満,糖尿病,高脂血症の方のときは,蜂蜜の量を少なくし,或いはごまだけ
を塗っても香りがあり美味しいです。
 パンはどれでも良いですが,真っ白いパンより未精白粉のパン,胚芽やライ麦の入ったパン,
雑穀パンの方が不思議と合います。クラッカーやビスケットに塗っても美味しいです。

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