03 森の中の可愛いコビト軍団〈形と特徴〉
森の中の可愛いコビト軍団〈形と特徴〉
〈キノコの形と特徴〉
キノコの形態は傘と柄に単純に分化する担子菌類のマツタケ(ハラタケ)類と,形が
複雑多岐にわたる子のう菌類では大変な違いがあります。しかし基本的には,いずれも
結実部に子実層(胞子)が形成される点では変わりがありません。そこで食タケともか
かわりのあるテングタケをモデルにキノコの形づくる部位の説明を加えますと次のよう
になります。
△傘
幼時の形,生長した形,色彩と変色性の有無、条線と粘性の有無,ササクレの有無,
匂いの有無などです。
△ヒダ
胞子はこの部分にできますが,イグチ類ではヒダに代わり管孔の内面に,ハリタケ類
では針の表面にできます。ヒダは普通刃状を呈し,柄に接する部分の形によって,@隔
生,A離生,B上生,C湾生,D直生,E垂生の六つのタイプに分類されますが,とき
にこれらの中間形を示すものがあります。また,形とともに色彩と変色性や,乳液の分
泌性も重要な特徴となります。なおイグチ類の管孔では表面に現れる孔口の形(円・楕
円・不正円形),大小,色彩,特に変色性などが観察上のポイントです。
△肉
傘と柄の部分に分かれますが,この二つの組織が異質か同質か,繊維質か,硬軟,色
彩,変色性,傘肉の厚さ,乳液の有無,味(辛い,苦い),匂いなどです。
△柄
形(上下同大,上に細い,根元が膨大,算盤珠状),色彩,ササクレ,条線,艶,内
部充実か中空,地中に根を引くか,菌核や昆虫に連なるか,ツバとツボの有無などです。
△ツバ(内被膜)
幼時胞子をつけるヒダや管孔を保護する被膜で,傘が開いたあと柄に取り残されたも
のをツバと呼びます。永存性か,早落性か,膜質綿毛状か,クモの巣状か,大小,色彩,
厚薄,上向か下向性か,可動性か,条線の有無などです。
△ツボ(外被膜)
柄の基部を包み込んでいるものをツボと呼びます。永存性か,消失性(痕跡的),膜
質か,粉質か粘液質,形の大小,色彩などです。
△発生状態
1本ずつ単生,群生性あるいは菌輪をつくるか,2本異常の株となり,束生するか,
その多少の差などです。
△発生場所
地上,地中(地下生菌),海浜の砂地,藁ワラ上,糞上,キノコ上,動物遺体の上,動
物の排泄物の汚染土の上,樹上(枯れ木,生木),広葉樹か針葉樹か,落葉樹か常緑樹
かなどです。
△発生時季
冬季を除き,季節と気温に見合った種類が発生,一般に9〜10月に種類が多く,春発
生のハルシメジ,アミガサタケ,夏のチチタケ,タマゴタケ,トンビマイタケ,晩秋・
初冬のシモフリシメジ,シモフリヌメリガサ,フユヤマタケ,エノキタケ,年間見られ
るものにサルノコシカケの類があります。
参考 「きのこ 見分け方 食べ方」家の光協会発行
[次へ進む] [バック]