22b 岩石(地層)に生える苔とその友達〈シダ〉
 
〈シダ類の利用〉
 シダ類は昔からいろんなかたちで利用されてきました。山菜の一つとしてワラビはよ
く利用され,ウラジロは正月の飾り付けの材料として使われています。最近では,園芸
材料として重要な植物になっています。
 △食べられるシダ類と食べ方
 ・スギナ:山菜愛好家の間ではトウナ,ツギクサなどの名前もあります。主にツクシ
の状態である胞子茎を食べます。胞子嚢穂を切り取り,茎の部分を軽く湯でておひたし,
ごま和え,みそ和え,汁の実などにします。若いスギナの芽もよくゆがくと食べられま
す。
 ・ワラビ:春出る新芽を食べますが,木炭をまぶし熱湯をかけ,一晩置いてあく抜き
をし,そのとき,水に晒サラして調理します。おひたし,漬物など。塩を多めにまぶすと
保存できます。
 ・クサソテツ:コゴミという名もあり,東北地方では有名な山菜の一つです。春出る
若芽を利用します。ひとつまみの塩を入れた熱湯でよくゆがき,冷水の中で晒し,調理
します。ごま和え,油いため,煮物など。
 ・ゼンマイ:春出る若芽を利用します。重曹を入れた熱湯でしばらくゆで,一晩水に
ひたしあく抜きし,おひたし,煮物,油いためにします。あく抜きをしたものを天日で
干して,保存することができます。
 ・ヤマドリゼンマイ:ゼンマイとほとんど同じにして利用できます。干したものは,
水からゆっくりゆで,湯を数回取り替え,そのままさまして一晩置くとよいでしょう。
 ・ミヤマメシダ:ヤマコゴミ,ワラビナなどの名もあります。亜高山に見られるもの
です。山小屋などでよく利用されています。熱湯でゆがき,水に晒して調理します。お
ひたし,ごま和え,煮物,油いためなど。
 
〈園芸の利用されるシダ類〉
 ほとんどのシダ類が園芸に利用できます。
 輸入ものとしては,主として中南米などから,また木生シダなど温室用のシダ類も多
く輸入されています。
 日本国内に生えていて園芸目的のために利用される種類を列挙してみました。
 マツバラン(鉢植え),クラマゴケ(庭),トクサ(庭),ゼンマイ(庭),マツザ
カシダ(鉢植え,庭),ハコネシダ(庭),クジャクシダ(庭,鉢植え),イワガネゼ
ンマイ(庭),シノブ(庭),クサソテツ(庭),イワデシダ(庭,鉢植え),ジュウ
モンジシダ(庭),イノデ(庭),オニヤブソテツ(庭),ハカタシダ(鉢植え,庭),
ベニシダ(庭),ニシキシダ(鉢植え),イヌワラビ(庭),オオタニワタリ(鉢植え
),クルマシダ(庭),カリハラン(庭),ヒトツバ(庭),タマシダ(鉢植え)など
です。
 
〈シダ類の栽培〉
 ほとんどのシダ類は栽培に適しており,半日陰地で土の水はけがよいところがよいで
しょう。
 △庭や鉢に植える場合
 特別な地こしらえはいりません。表土はあまり平らにしないで,多少傾斜をつけてお
くようにします。土を一度掘り起こしてやわらかくし,腐植質が少ない場合は,多少の
腐葉土を混ぜておきます。日陰は庭木などで十分できますが,庭木がないときはすだれ
やよしずを張って下さい。
 植え付けるときは,シダ類の根茎がある程度かくれるように土をかぶせます。根茎が
地上に出て生えているようなものは,あまり土をかぶせてはいけません。
 鉢植えをする場合も庭植えと同じですが,排水と日陰に注意し,植え付け後は日陰で
活着するまで待ちます。
 △管理上の注意
 6〜8月頃はシダ類にとっても良い時季で,いっぱいに葉を広げて目を楽しませてく
れます。夏の暑いときには十分に葉に潅水してやる必要があります。また,風の吹きさ
らしのところでは,土が乾いてきますので,土の表面が多少の湿気を保つ程度にしてお
きます。
 肥料は特に必要ありません。適度の湿気で元気に育ちます。
 シダ類は虫に食べられることが多く,常に注意しておいて下さい。葉がやわらかいと
きはアオムシ,ヨトウムシなどの食害,またアリマキがつくこともあります。
 鉢植えの場合は,冬にはフレームとか室内に入れておきましょう。
 
                   参考 「原色コケ・シダ」家の光協会発行

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