18 母核のこと
 
              母核のこと
                                        
                参考 農薬研究1993 Vol.40 No.1(西内魚州氏)
 
〈母核のこと〉
 真珠は,広辞苑によりますと,「貝殻を作る外套膜が異物によって刺激され,そのま
わりに真珠質(主として炭酸カルシウムから成り,少量の有機物を含む)の薄層を分泌
することによって作られる。わが国ではアコヤガイを母貝として養殖し,それに核(真
珠の芯になるもの)を入れる手術を施し,人為的につくる。」ものです。
 真珠は生物が作り出す作品ですが,このようなものを無生物が作り出すこともありま
す。さざれ石というのがあります。東京都内の日枝ヒエ神社境内にさざれ石が二つ据えら
れています。大きさは大人が跼んだほどのものです。由来の立札に,「この石は学名を
石灰質角礫岩と云う/石灰石が雨水に溶解してその石灰分を含んだ水が時には粘着力の
強い乳状態となり地下で小石を集結して大きくなる。やがて地上に出て国歌に詠まれて
いるように千代,八千代 年を過てさざれ石巌となりて苔のむすと景観実に目出度い石
である。」と認められています。
 また,マンガン団塊というのがあります。現代用語の基礎知識1993によりますと,「
深さ4000〜5000mの海底を薄くおおう黒褐色の塊で,直径は1〜15p程度のものが多い
が中には1o程度のものもあるし,数十pのものもある。太平洋に多く,大西洋やイン
ド洋には少ない。また,大陸の近くには少ない。その成因はまだよくわからない。約15
〜30%のマンガンを含む。」と書かれています。このマンガン団塊(マンガン粒ともい
う)は,その筋の人に聞いてみたことがありますが,サメの歯とか小石なんかがその母
核になるのだといいます。母核となる何かがなければマンガンは団塊にはならないとい
います。
[次へ進む] [バック]