02 樹陰に苔生す岩やその仲間〈身近な地質学〉
樹陰に苔生す岩やその仲間〈身近な地質学〉
参考 「やさしい地質学」築地書館株式会社発行
森林土壌の下には,土壌の母材となる岩石などいろ
いろな地層があります。森林に親しみをもっていた
だくために,地質を取り上げてみました。
この地質シリーズは,築地書館株式会社発行 現場
技術者のための「やさしい地質学」を抜粋,編集し
たものです。 SYSOP
〈身近な地質学〉
今から数百年前の濃尾平野(愛知県)はヨシやアシが茂り,水鳥が羽ばたく大湿原で,
毎年雨期になれば長良ナガラ川,木曾川及び揖斐イビ川などの氾濫による洪水に,ほしい
ままに蹂躙されていました。川によって運ばれた土砂は,海岸から次第に沖に向かって
沈積し低い湿地帯をつくりながら伸びていきますが,その形状からそのような湿地帯を
三角洲と呼んでいます。このような平野の地盤を構成する地質は,軟弱なシルト,粘土,
細砂及び表層部に見られる砂礫サレキ(川砂利)などからなっています。いわゆる軟弱地
盤が深さ30mぐらいまであります。
このことを歴史的にみると,次のようにまとめられます。
@かつて,現在の伊勢湾より広い湾が濃尾平野の一帯に広がっていた。
A木曾,長良,揖斐川などによって運ばれた土砂のうち,沖合の深いところにシルト,
粘土などの細粒土が堆積していた。
B海底が浅くなる。つまり海岸線が沖に伸びていくと,岸に近いところは次第に砂な
どの粗粒の物質が多くなっていく。
C陸地ができあがっていくと,川が氾濫するたびに,粒の荒い砂や礫があちらこちら
にばらまかれ,不規則な地層をつくっていく。
D海に堆積した地層には貝殻が見られ,陸地で生成した地層には腐植物が多い。
このように海岸平野の発達しているところは,ほとんど軟弱地盤が発達しているとい
っても過言ではありません。
今まで人里離れた山奥でつくられるダム工事は,どんなに大規模なものでも,一般大
衆はなかなかじかに目にする機会に恵まれませんでした。しかし,新幹線や高速道路工
事をまのあたりに見ることができるようになってからは,いわゆる「地質」に対する一
般の認識が高まってきています。
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