学名解説(属名)[D〜G]
G
Gagea f.<人名 イギリスの植物学者Thomas Gage の名に因んだもの。ユリ科
Gaillardia f.<人名 中世のフランスのアマチュア植物学者Gaillard de Charentonn-
eau の名を記念して付けられた名。キク科
Galarhoeus m.<g. gala(乳)+rhoeus(漏る)。茎を切ると乳が出るから。トウダ
イグサ科
Galaxaura f.<g. gala(乳)+auros(黄金)。体に沈殿している石灰を白い金と洒
落シャレたものか。ガラガラ科
Galeola f.<1. galea(兜カブト)の縮小形。花形からの連想。ラン科
Galeopsis f.<g. gale(鼬イタチ)+opsis(似)。花冠がイタチの頭に似ていると想像
されたため。シソ科
Galinsoga f.<人名 18世紀のスペインの植物学者でマドリッドの植物園長Mariano
Martinez de Galinsoga の名に因んだもの。キク科
Galium n.<g. ギリシャ古名 galion から。gala(乳)から出た語で,カワラマツバ
を元はチーズを作る際に牛乳を凝固させるのに使ったからである。アカネ科
Ganoderma f.<g. ganum(艶)+derma(皮)。傘の表に艶があるから。サルノコシカ
ケ科
Gardenia f.<人名 アメリカの博物学者A.Garden(1730〜1792)の名に因む。アカネ
科
Gastrochilus m.<g. gaster(胃又は腹)+chilos(唇)。大きく袋状をなした唇弁
の形から。ラン科
Gastrodia f.<g. gaster(胃)から出た語。花被全体が胃のように膨らんでいるか
ら。ラン科
Gaultheria f.<人名 カナダ Quebec の自然科学者であり裁判医であったJean Fran-
cois Gaulthier(1708〜1756)に因んだ名。ツツジ科
Gaura f.<g. gauros(立派な,華美な)から出た名。アカバナ科
Geastrum n.<g. geo(地)+astrum(星)。地上の星の意。菌蕾の外皮が裂けて反曲
し星形をなすため。キツネノチャブクロ科
Gelidium n.<1. gelu(粘質)。粘性のゼラチン状物質(寒天)を採るため。テング
サ科
Gentiana f.<人名 Illyria の王Gentius(B.C.500頃)の名から採ったもの。この植
物とその薬効の発見者Pliny により付けられたもの。リンドウ科
Geoglossum n.<g. geo(地)+glossum(舌)。地の舌を連想させる偏平なキノコで
あるため。テングノメシガイ科
Georgia f.<人名 ロシアの Georgi の名による。蘚類
Geranium n.<g. geranos(鶴)から出たギリシャ古名 geranion から。長い嘴クチバシ
状の果実を鶴の嘴に譬えた。フウロソウ科
Gerbera f.<人名 18世紀のドイツの医者Tr.Gerber の名に因む。キク科
Geum n.<1. Pliny により付けられた名で geuo は美味の意。バラ科
Gigartina f.<g. gigarton(葡萄の種子)。嚢果の形状がブドウの種子に類するもの
があるため。スギノリ科
Gilibertia f.<人名 フランスの植物学者Jean Em.Gilibert(1741〜1814)の名に因
む。ウコギ科
Ginkgo f.<jap. 銀杏ギンナンの誤った音読み(ギンキョウ)に基づく。Kaempfer が
Amoenitatum Exoticarrum に Ginkjo とするべきを Ginkgo と誤植されたのによる。
近年 kgo は kyo の誤りと云う外国学者の見方は誤っている。イチョウ科
Gladiolus m.<1. gladium(剣)の縮小形。剣状の葉に基づく。アヤメ科
Glaucidium n.<属名 Glaucium(ケシ科の属名)の縮小形。花の外観が多少似るため。
キンポウゲ科
Glechoma n.<g. ハッカの一種に付けられた古代ギリシャ名 glechon に由来する。シ
ソ科
Gleditschia f.<人名 Linne と同時代の植物学者でドイツの Johann Gottlieb Gle-
ditsch(1714〜1786)の名に因んだもの。マメ科
Glehnia f.<人名 ロシアの採集家でカラフト植物を研究した Glehn の名に因む。セ
リ科
Gleichenia f.<人名 ドイツの植物学者Frier.Wilh.von Gleichen-Russwurm(1717〜
1783)の名に因む。ウラジロ科
Glochidion n.<g. glochis(先が鈎カギの手になった刺)。トウダイグサ科
Gloiopeltis f.<g. gloios(粘質)+属名(Carpopeltis)の一部分。外形が Carpo-
peltis に似るが,粘質を出すことに基づく名。フノリ科
Gloiophloea f.<g. gloios(粘質)+phloios(皮層)。ガラガラ科
Gloxinia f.<人名 フランスのストラスブールの植物学者Benjamin Peter Gloxin の
名に因む。イワタバコ科
Glyceria f.<g. glyceros(甘い)。この属の G.fluitans の粒が甘いため。イネ科
Glycine f.<g. glycys(甘い)。ダイズの味から付いた。マメ科
Glycyrrhiza f.<g. glycys(甘い)+rhiza(根)。薬用にする根が甘いため。マメ
科
Glyphomitrium n.<g. glypho(掘る)+mitrion(帽子)。蘚帽に縦の溝が掘れてい
るため。蘚類
Glyptostrobus m.<g. glyptos(彫刻した)+strobos(球果)。球果の表面に種々の
突起が著しいから。スギ科
Gnaphalium n.<g. ある軟毛に覆われた植物の古代ギリシャ名で,gnaphallon(一握
りの尨毛ムクゲ,転じてフェルト)に由来する。キク科
Godetia f.<人名 スイスのC.H.Godet(1797〜1879)の名から採った名。アカバナ科
Gomphrena f.<g. Pliny が gromphaena(ケイトウの一種)を修正した語。ヒユ科
Gonocormus m.<g. gono(節)+cormus(枝)。コケシノブ科
Gonostegia f.<g. gono(節)+stegio(包皮,蓋)。節毎に開出した葉の拡がりを
蓋に譬えたものか。イラクサ科
Goodyera f.<人名 イギリスの植物学者John Goodyer(1592〜1664)の名に因む。ラ
ン科
Gossypium n.<1. 綿のラテン名。起こりは,はち切れるように膨らんだ果実の形を腫
れ物(gossum)に譬えたと云われる。アオイ科
Gracilaria f.<1. gracilis(細い)。細く糸状の外形に基づく。オゴノリ科
Gracilariopsis f.<人名 Gracilaria(属名)+opsis(似)。即ち Gracilaria 属に
似たもの。オゴノリ科
Graphis f.<g. graph(書く)。灰白色の薄い地衣体上に黒色線状の子器が,文字を
書いたように付くため。モジゴケ科
Grateloupia f.<人名 海藻学者J.P.Grateloup の名に因む。ムカデノリ科
Gratiola f.<1. gratia(恩恵,利益)の縮小形,その薬効を想像して付けられた。
ゴマノハグサ科
Grifola f.<g. Griffon(胴が獅子で,首と翼が鷲ワシの怪物)から。子実体の形を形
容したものか。サルノコシカケ科
Grimmia f.<人名 採集者Grimm の名に因む。蘚類
Gymnadenia f.<g. gymnos(裸の)+adenos(腺)。Orchis に似るが花粉塊の粘着体
が袋に入らず,裸になっているため。ラン科
Gymnaster <g. gymnos(裸の)+Aster(ノギク属)。Aster に似るが冠毛がない特
徴から。キク科
Gymnocarpium n.<g. gymnos(裸の)+carpos(果実)。胞子嚢に包膜がなく,裸出
しているため。ウラボシ科
Gymnogongrus m.<g. gymnos(裸)+gongros(節)。オキツノリ科
Gynandropsis f.<g. gyne(雌)+andros(雄)+opsis(似)。雌蘂上に雄蘂が付く
から。フウチョウソウ科
Gynostemma n.<g. gyne(雌蘂)+stemma(冠)。ウリ科
Gynura f.<g. gyne(雌蘂)+oura(尾)。柱頭が尾のように突出しているため。キ
ク科
Gypsophila f.<g. gypsos(石灰)+philein(好む)。石灰質の土地によく生える種
があるため。ナデシコ科
Gyrophora f.<g. gyros(環)+phore(有する)。円盤状の子器の表面に明らかな環
状の模様がある。イワタケ科
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