11 美味しい野草 因みに
 
          帰化植物考(抜粋)        資料:自然食 山海の野草
                                       
 現在(昭和50年春)約数百種類(この中のほとんどが食べられる)の帰化植物が日本
に生育しているが,地理上から見る下記植物に次の経路がある。
                                       
1 中国期限=朝鮮を経て渡来した植物でその種類は多様である。
   例 アワ,ダイズ,アズキ,ウメ,キク等
                                       
2 西アジア起源=絹の路に沿って中国に入り,それが日本に渡ったもの。
   例 オオムギ,コムギ,ニンニク,アサ,イチジク等
                                       
3 印度起源=印度支那,東南中国を経由して日本に移った植物である。
   例 イネ,ヒエ,サトイモ,トウガラシ等
                                       
4 印度起源=ビルマから西南中国経由で日本に渡った植物である。
   例 イネ,キビ,キウリ,チョウセンアサガオ等
                                       
5 印度起源=印度のカシミールから中国,朝鮮を経て日本に渡ったもの。
   例 イネ,ザクロ,ナスビ,アイ等
                                       
6 南洋諸島起源=スンダ諸島やマレー半島の植物が東南中国に入り,日本に渡来した
 もの。
   例 トウガラシ,ショウガ,ニガウリ等
                                       
7 地中海沿岸起源=絹の路に沿って中国に入り日本に渡った植物である。
   例 カブラ類,ダイコン類,ブドウ,チシャ,ニンジン等
                                       
8 ヨーロッパ起源=海路で印度経由して日本に輸入したもの。
   例 タマネギ,セイヨウナスビ,セイヨウキウリ,クロダイコン,シュンギク等
                                       
9 アメリカ起源=ヨーロッパ経由で日本に移入された植物である。これらの植物は日
 本における食生活に一大改革を引き起こした。勿論この経路で輸入されたのは,コロ
 ンブスのアメリカ大陸発見(1492年)以後のことである。
   例 サツマイモ,タバコ,トマト等
                                       
10 アメリカ起源=ヨーロッパに輸入され,海路で印度を経由して日本(特二長崎の出
 島)に渡ったもので,やはり1492年以後のことである。
   例 ジャガイモ,サボテン類,コスモス,ダリア,キクイモ等
                                       
11 アメリカ起源=太平洋航路で日本に渡来した植物である。
   例 ブタクサ,ヒメジヨン,オオアワダチソウ,カナダアキノキリンソウ等
                                       
12 シベリア起源=樺太,北海道から日本本土に渡ったもの。
   例 ライムギ,タカキビ,サトウダイコン等
                                       
                                       
                                       
        食用植物の進化系統樹(抜粋)     資料:自然食 山海の野草
                                       
                                       
               被子植物                    
                |                      
      裸子植物______|                      
             羊歯状種子植物                  
                |                      
               しだ類                     
       とくさ類_____|______ひかげのかずら類       
             古まつばらん類                   
 すぎごけ類 ぜにごけ類     |                      
           \____|                      
      原生族     つのごけ類                    
       |        |      擔子菌類 地衣類         
みどりむし類 緑色もなど類  原始蘚苔類     /              
   | 褐色鞭毛藻 硅藻     |    管藻 子嚢菌類 超微生菌       
   |/          ひびみどろ類 /                  
ほしみどろ類 ひざおり類 ____|__みどりげ類 ちりも類 ふしなしみどろ類
               原球藻                     
                |                      
               褐子類                     
      不動子類______|______円子類             
               原子褐藻                     
                |                      
              真正紅藻類                    
                |                   
              うしけのり類                    
                |                      
               真正藍藻                      
                |      原生動物状細菌         
              藻状細菌      /              
     真正細菌_______|_____菌状細菌             
            生命元体(微生菌)                 
                                       
                                       
           【食用植物の進化系統樹】
                                       
                                       
 上図は地球上に原子的な植物が発生してから,漸次に進化して現代の植物界となった
経過を示すものである。                            
 この進化の順の従って,目に見えない野草としての微生菌,海や川の野草としての藍
藻類,海藻類など,陸上のカビ類,キノコ類,コケ類から種子植物に至るまで食用とな
るものを述べる。
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