10 美味しい野草 食べ方いろいろ
 
         美味しい野草と食用法(抜粋)    資料:自然食 山海の野草
                                       
クズ(葛) まめ科  分布 日本全国
 1 クズの根を細かく刻んで青竹に詰め,水を適当に入れ焚火で葛飯を炊く。普通は
  煮たり蒸したりして食べる。
 2 若葉は茹ユでて蔬菜ソサイに用い,老葉は干して糧カテ物とするが,特にテンプラにす
  ると美味しい。
 3 花は花梗とともに茹でて食べるか,塩漬けにしてもよい。
 4 クズ粉そうめんは,クズの根からとった純粋のクズ粉50gに水15dlを加えてよく溶
  かす。この中に砂糖100g塩少々を入れて溶かし,火にかけて半流動状になるまで煮
  てから器に流し入れ,厚さ3,4oにして10〜15分間強火で蒸す。蒸し上がった時に
  冷水をかけて冷やし,まな板に移して紐状に切り,氷水をくぐらせて器に盛り,胡
  麻と砂糖をふりかける。見た目にもすがすがしい夏の清涼菓子である。
                                       
 万葉集 山上憶良「はぎが花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花また藤袴 朝貌の花」
 紫式部 源氏物語総角アゲマキの巻き「見し人もなき山里の岩がきに こころながくも
  はへる葛かな」
                                       
テバコモミジガサ(手筥紅葉傘) きく科 分布 関東地方以西
モミジガサ(紅葉傘 シドケ,シドキ) きく科 分布 北海道〜九州
 1 若芽と若葉が柔らかくて最もよく,さっと茹でて和え物にする。いわゆるオヒタ
  シが最上の味である。
 2 漬物,煮物,混ぜ御飯,酢の物などと工夫を凝らし,貯蔵用として塩漬,砂糖漬,
  味醂漬なども試みるとよい。
                                       
ヤブレガサ(破傘) きく科 分布 本州〜九州
 1 茹でてオヒタシか煮てたべる。
                                       
ノカンゾウ(野萱草) ゆり科 分布 本州以南
ヤブカンゾウ ゆり科 分布 北海道から九州
 1 葉の根元近くの白色の部分数pを使うのが最も美味しい。タマネギの代わりにす
  き焼きに入れるほか,若葉は茹でて酢味噌和え,老葉は干してカテ物,また煎粉と
  して食べる。
 2 花は茎とともに茹でるが,茹でる前に干せばなおよい。塩漬にすることもできる。
 3 根は煮て食べ, また挽粉,浄粉にもする。浄粉は,根の硬い部分を洗い,臼で
  ついて布袋に入れ,水の中でよく振り洗い,澱粉が出たら袋を絞る。澱粉の水をた
  びたびかえてよくしめらし,日乾しをして貯える。
 ベニカンゾウ:同種
                                       
ノビル(野蒜) ゆり科 分布 日本全国
 1 葉,球根ともに汁の実によい。茹でてゴマ味噌で和えるか辛子酢味噌でヌタにし
  てもよく,ショウガ醤油で食べるのも美味しい。
 2 ご飯にその倍量の水,煮干粉,好みの味噌を入れて煮,沸騰したら,細かく切っ
  たノビルを加えて軟らかく煮あげた雑炊の味は格別である。
 3 球根は軟らかくて百合根をしのぐ美味しさである。
   酒の肴として,生の球根に味噌をつけて食べると絶品である(SYSOP)。
                                       
 古事記 応神天皇,髪長比売の巻「いざ子ども 野蒜摘みに 蒜(ニンニク ノ コト)摘みに
  我が行く道の 香ぐはし 花橘は 上枝は 鳥居枯らし 下枝は 人取り枯らし 
  中つ枝のほつもり 赤ら嬢子を いざささば 良らしな」
                                       
ウワバミソウ(蟒蛇草,ミズ,ミズナ) いらくさ科 分布 日本全国
 1 若葉若芽を茹で,菜としたり漬物にする。また若葉を擂スってトロロ汁とする。
 2 茎の下部約10pのところ400gを熱湯で2,3分間茹で,これをすりこ木で練りの
  出るまで軽くたたき,それを包丁で細かくたたいてきざみ,同時に味噌とショウガ
  (又はニンニク,サンショウの葉)を混ぜる。これに熱湯を注いで食べる。
 3 葉を取り除いたウワバミソウ200gを浅く茹でて皮を剥ぎ5p位に切る。キウリを
  浅く茹でて5oの厚さに切る。辛子粉をぬるま湯で練り,砂糖,醤油を加え,先の
  ウワバミソウとキウリを和える。蓋をして約30分間置き,味がよくしみ込み,辛子
  の風味がよくなった時に食べる。
 4 茎の下部と根茎をカラカラに乾燥し石臼で粉にし更に乾燥して保存する。冬期こ
  れを鴨,山鳥,鶏肉などの味噌汁に振りかけるとトロロ汁ができる。秋に茎の節が
  ふくれて小さなコブ状となり,ついに節から離れて落ちるムカゴ(零余子)も同様
  に粉末にして食べる。
 5 茎の下部と根茎を塩漬にする。
 6 8〜9月頃,茎の下部と根茎が硬質となったものを,さっと熱湯に入れて茹で糠
  と塩で漬け込む。春の柔らかいものを避け必ず秋の硬くなったものを使うのが美味
  しい。
 7 秋田県北部に伝わる小正月の料理「膾カイの汁(キャノ汁)」は,ウワバミソウ,
  ワラビ,ゼンマイ,フキ,ウドの塩漬を冬の小川で2,3日塩出しし,それに大根,
  人参,油揚げ,豆腐などを細かく切って入れて煮る醤油味の汁で,新鮮な山菜の味
  を舌に残す。
ヒメウワバミソウ・ミズ(水,ミズナ)・ミヤマミズ(深山水)・アオミズ(青水)・
 コケミズ(苔水)
  同上
                                       
イカリソウ(碇草) めぎ科 分布 北海道〜関東地方
  若葉を茹でて水に浸してアクを去り,油で炒める。また老葉は乾燥して,いりこに
 する。
ホザキイカリソウ(中国産)・オオバイカリソウ(本州中国地方産)・バイカイカリソ
 ウ(本州〜九州産)・ヤチマタイカリソウ(近畿地方〜四国地方産)・ヒゴイカリソ
 ウ(熊本県産)・クモイイカリソウ(尾瀬原産)・キバナイカリソウ(関東〜北海道
 産)・トキワイカリソウ(日本海沿岸中部地方以西)・ウラジロイカリソウ(日本海
 沿岸中部地方以西)・ソハヤキイカリソウ(近畿地方の中部)
                                       
ウド(独活) うこぎ科 分布 日本全国
   栽培種と野生種とは,植物学上,全く同一植物である。
 1 若芽は酢味噌和え,胡麻和え,三倍酢が美味しい。これにミツバの葉,タンポポ
  の花を混ぜると一層よい。
 2 若葉はてんぷらがよく,サンショウの若芽,ヨモギ,フキ,カタクリ,オケラの
  若葉,ツクシやシュンランの花などを混ぜると,山菜料理の絶品となる。
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