07b 森林機能保全:防災林造成
U 防風林
1 防風工
防風工には防風垣,防風ネット,鋼製防風柵,小径木利用の防風柵がある。防風林の
補助施設として効用,経費を勘案し,目的に応じて用いる。
これらは防風林に平行に設けられる。
(1)防風垣
砂地造林の静砂垣に準じて作られる。
(2)防風ネット
一般に防風ネットとして寒冷沙が用いられる。遮蔽率30%程で,風速比60〜70%
域が風下へネット高の7倍までにできる。
遮蔽率と風速比(観測点風速/基準風速)はほぼ直線的な関係にあり,遮蔽率を
増すと減風率が大きくなる。そのため,ネットを重ねたり,二列にして用いると,
防風効果は大きく,範囲も拡大する。
(3)鋼製防風柵
鋼製有孔板の遮蔽率を60〜80%にしたものが多い。風下へ柵高20倍までは効果的
な減風域ができる。
(4)小径木を利用した防風柵
間伐材などの小径木を縦,横,合掌等いろいろ組合せ,遮蔽率を変え防風効果を
あげる。効果域が風下へ柵高16倍までできる。
2 植 栽
防風林の樹種は土地の気象,土壌に適し,樹高が高く,生長が早く,樹冠の発達がよ
く,枝葉が蜜で,耐風力の強いのが適している。更に,病虫害に強く,有用樹種であり,
更新が容易であるのが望ましい。落葉樹よりも常緑樹の方がよい。
防風林予定地に前生樹があるときは,既存の樹木を保残し,その改良を図るのが有利
である。
防風林適樹
亜熱帯 モクマオウ,リュウキュウマツ,テリハボク,フクギ,ソウシジュ,オオハマ
ボウ,ハスノハギリ,サワフタギ(後の3者は湿地)
暖帯 クロマツ,イヌマキ,コウヨウザン,マダケ,モウソウチク,アラカシ,シラ
カシ,ウラジロガシ,イチイガシ,アカガシ,シイノキ,クスノキ,タブノキ,
ヤブニッケイ,ヤブツバキ,マサキ
暖温帯 モミ,ツガ,アカマツ,コウヤマキ,アスナロ,イチョウ,ケヤキ,ムクノキ,
ハンノキ
冷温帯 スキ,ヒノキ,サワラ,ウラジロモミ,ヒノキアスナロ,ポプラ,カシワ,ミ
ズナラ,ネグンドカエデ
亜寒帯 エゾマツ,トドマツ,欧州トウヒ,カラマツ
3 林帯の幅
林帯の通風度は林の幅とともに変化する。そのため,林木を更新するときは,機能を
中断させないように,相当の幅の成林帯を残しておく必要がある。これらから,防風林
の幅を極度に狭くできない。幹線防風林の幅の基準を30m前後とし,支線防風林は10m程
にするのが妥当である。
4 林帯の横断面型
次のような,林帯横断面型がよい効果をあらわすものとされている。
@密な構成林帯では,風上がゆるい傾斜をもち,風下が急な三角形
A疎な構成林帯では,縦長の長方形
B吹き抜け構成林帯では,三角形で,下が卵形をしているもの
5 配 置
防風林は,その地区で最も有害な風向きに直角な向きに,樹高の25倍程の間隔に設定
する。強風が多方位からもある時は,これらに直交させて設ける。全体として網目に配
置する。そして,防風林面積の合計が総面積の10%以内に配置する。起伏の多い地形で
は,高所を結んで林帯を設けるのが有効である。林帯の切れ目は風が収束するので,切
れ目をくの字,S字にしたり,風下へ袖をつける。
[次へ進んで下さい]