進化の時
最終更新日 :2010/08/17
――来た。
待ち焦がれていたその時が、ついに。
死闘を繰り広げていた相手を打ち倒し、興奮の絶頂で高らかに勝ち鬨を上げた瞬間。
はちきれんばかりに俺の中にみなぎった何かが、ついにはじけた。
――来た!
体中に抑えきれぬ震えが走り抜ける。
高まる鼓動と共に体中をアドレナリンが駆け巡り、細胞の一つ一つまでが沸き立つように震え出す。
魂の奥底から解放され、爆発するようにほとばしる熱いマグマは、小さな体にはもはや収まらない。
燃えたぎるエネルギーの奔流に、今までの俺の身体は微塵にまで粉々に砕かれ、火山の噴煙のように力強く、勢いのままに伸び広がり、新しい姿へと生まれ変わって行く。
俺は思い切り息を吸い込み、力の限りに歓喜の咆哮を……
「ほい、Bボタン、っと」
ぷしゅ〜ぅぅぅ。
…………
………………
………………えええぇぇええええーっ?!
またぁぁあ〜?!;;;
「『かえんほうしゃ』自力で覚えるまでは、まだまだキャンセルだな〜。
ま、しばらくがんばってくれよ、ヒノまる」
とっとと歩き出す主人の後ろで、すっかり燃え尽きて真っ白な灰になったヒノアラシは、滝のような涙を流したのだった。
以上は、現在マサラのポケモン図書館で開催中(投稿当時はNo.017さんのサイトピジョンエクスプレス内)の「気軽に小説を楽しもう!」という企画、ポケモンストーリーズ!に参加して、13拍手と『ひでえオチ』(笑)とのほめ言葉(?)をいただいた作品です。
お題は「待つ」。 トレーナーというか、プレイヤーとしてはやりがちなことですが(笑)、ちょっとポケモンの気持ちになって書いてみました。 ぷふっと吹きだしていただければ幸いです〜。
※ 以下は、某所でバトル相手パーティ募集していたときに応募した設定です。性格等は物語の雰囲気で適当に設定しました(笑)
【種族/ニックネーム】ヒノアラシ/ヒノまる
【性別/性格】♂/まじめ
【特性】もうか
【使用技】えんまく でんこうせっか かえんぐるま スピードスター
【備考】Bボタンが嫌いです……。