歌題 「ひでんわざ」 桜桃子 詠
―――老ストライクの一人静かに佇むを詠める
今はただあらぶるあとぞいかめしき銀の刃は凛としづまる
歌意:古武士のごとき風格を漂わせるストライク。あちこちに残る古傷はかつての鬼神のごとき働きのなごりなのだろうか。
日本刀のような鋭い気魄をいまだ宿しながらも、あくまでも静かにたたずんでいる。
―――レンジャーを背に乗せ救援に飛びたたんとするチルタリスを詠める
空荒れて雷雲厚く覆うとも疾き翼にて無事を運ばむ
歌意:悪天候を突き、救助のために力強く飛び立つレンジャーのチルタリス。
その翼で主人を助け、遭難者の無事な便りを運んでほしいものだ。
―――滝を跳び越えんと挑むコイキングを詠める
立ち向ふ厳しき滝を乗り越へし誉(ほまれ)得たれば龍と成りなむ
歌意:急流に抗(あらが)い滝を越えようとするコイキングよ、見事その試練に打ち勝ったならば、
あの伝説の龍門の滝を飛び越えた鯉のように龍となって天に舞うことだろう。
―――夕星の下家路を急ぐ幼子とプリンを詠める
ふたりしてらくがきやめてつないだ手しぶしぶかえる夕暮れの道
歌意:仲良く手をつないだ子どもとプリン。空に星が輝き始め、家々には明かりがともり始めたというのに、
まだ遊び足りないのか、名残惜しそうに家へ帰っていく様子はまことに可愛らしい。
……ハイ? 確かにそれっぽい情景は詠まれているけど、ひでんわざの言葉自体は出てこない、ですと?
ちゃーんと入っておりますよ、これこのとおり。
いまはただ
あらぶるあとぞ
いかめしき
ぎんのやいばは
りんとしづまる
そらあれて
らいうんあつく
おおうとも
ときつばさにて
ぶじをはこばむ
たちむかふ
きびしきたきを
のりこへし
ほまれえたれば
りゅうとなりなむ
ふたりして
らくがきやめて
つないだて
しぶしぶかえる
ゆうぐれのみち
さあ、縦に読んでみよう!(^^)
他の方がすでに短歌を投稿しておられまして、出遅れた分「折句」と呼ばれる技巧をこらしてみました(^^)。
……昔は「フラッシュ」もひでんわざだったんだ〜い(^^;)
ちなみに、「桜桃子」でむりやり「サトチ」と読ませてみたり(笑)
(以上の作品は、マサラのポケモン図書館で開催中の企画、ポケモンストーリーズ!2010/10/29「ひでんわざ」のお題で参加した作品に加筆したものです)