1982年 中日ドラゴンズVS西武ライオンズ(前編)
1982年のセ・リーグは近藤監督率いる中日がV2を目指した巨人を振り切り、ゲーム差なしで8年ぶりの優勝を果たした。シーズン最終戦で勝利しての優勝だった。打線には飛びぬけた存在はいなかったが、ベテラン・谷沢が打率は悪かったものの自己最多となる85打点。6年目の宇野が初の30本塁打。また新外国人のモッカが打率.311と奮闘した。2年目の中尾が18本塁打、打率.282で正捕手に定着したのも大きかった。投手では左腕の都が16勝して勝ち頭。エースと期待された小松は内転筋の故障で4勝に終わったが、終盤はストッパーとして9セーブをマークした。また、夏場にひじを痛めるまでストッパーとして活躍したのがマウンド度胸抜群の3年目・牛島で、17セーブを挙げた。
西武は前期を制し、日本ハムをプレーオフで破ってのリーグ優勝だった。主砲・田淵は打率.218ながらテリーと並ぶチーム最多の25本塁打。スティーブがチーム唯一の3割打者となる.307をマーク。石毛も2年目のジンクスに苦しんだが15本塁打、22盗塁をマークした。片平、大田のベテラン勢も持ち味を発揮した。投手陣では大勝ちした投手はいなかったが、4人が二桁勝利を達成。防御率も揃って2点台から3点台前半の数字を残した。またシーズン途中に広島から移籍した高橋直樹もパ・リーグの水が合っていたのか7勝2敗に防御率2.27の好成績でローテーションの谷間を見事に埋めた。
中日 | 西武 | |||
谷沢健一 | 21本塁打 85打点 打率.280 | 田淵幸一 | 25本塁打 59打点 打率.218 | |
モッカ | 23本塁打 76打点 打率.311 | テリー | 25本塁打 71打点 打率.272 | |
大島康徳 | 18本塁打 60打点 打率.269 | スティーブ | 11本塁打 46打点 打率.307 | |
宇野勝 | 30本塁打 69打点 打率.262 | 石毛宏典 | 15本塁打 54打点 打率.259 22盗塁 | |
田尾安志 | 14本塁打 41打点 打率.350 | 山崎裕之 | 7本塁打 34打点 打率.246 | |
中尾孝義 | 18本塁打 47打点 打率.282 | 片平晋作 | 14本塁打 47打点 打率.277 | |
平野謙 | 4本塁打 33打点 打率.288 20盗塁 | 大田卓司 | 17本塁打 58打点 打率.279 | |
上川誠二 | 2本塁打 17打点 打率.227 | 立花義家 | 1本塁打 25打点 打率.251 | |
田野倉正樹 | 6本塁打 19打点 打率.220 | 行沢久隆 | 5本塁打 20打点 打率.219 | |
都裕次郎 | 16勝5敗 防御率3.14 141奪三振 | 松沼雅之 | 11勝8敗 防御率2.76 110奪三振 | |
郭源治 | 9勝7敗 防御率3.48 132奪三振 | 松沼博久 | 10勝9敗 防御率2.83 152奪三振 | |
鈴木孝政 | 9勝7敗 防御率3.11 56奪三振 | 東尾修 | 10勝11敗1S 防御率3.28 59奪三振 | |
三沢淳 | 8勝7敗 防御率3.56 74奪三振 | 森繁和 | 10勝2敗10S 防御率3.18 46奪三振 | |
牛島和彦 | 7勝4敗17S 防御率1.40 75奪三振 | 杉本正 | 7勝12敗 防御率3.65 60奪三振 | |
小松辰雄 | 4勝4敗9S 防御率2.61 58奪三振 | 高橋直樹 | 7勝2敗1S 防御率2.27 36奪三振 |
10月23日の第1戦は西武が松沼兄、中日が小松の先発で始まった。西武は2回表に小松を捉えて5安打を集中、7番・黒田と2番・山崎がそれぞれ2点タイムリー放ち4点を先行した。西武は3回にも先頭のスティーブが1号ソロを放って小松をKO。2番手・堂上も攻めて黒田のタイムリーでさらに1点、合計6-0と大きくリードした。その裏の中日も田尾の犠牲フライと3番・モッカの2ランで3点を返したが、4回以降は2番手・東尾の前にゼロが続いた。
追加点のなかった西武も8回表に6番・大田がライトへソロ本塁打して駄目押し。東尾は4回から6イニングを5安打無四球無失点で投げ抜き勝利投手。プロ生活14年目でのシリーズ初登板を見事に飾った。中日は2回0/3で5失点の小松が大誤算。4番・谷沢も4打数ノーヒットとスタメン野手で唯一ヒットがなくブレーキとなった。
西武 | 0 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 7 | |
中日 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
勝ち 東尾 1勝 負け 小松 1敗
本塁打 スティーブ1号、モッカ1号、大田1号
翌24日の第2戦は西武が杉本、中日が都の先発で始まった。この日も西武が序盤から主導権を握った。初回先頭の石毛が都を強襲するヒットで出塁。この打球を左足に受けた都は打者1人で降板。代わって登板した2番手・藤沢は明らかに準備不足。一死から3番・スティーブ、4番・田淵を連続四球で歩かせ満塁とすると、5番・テリーに2点タイムリーさらに6番・大田にも2点タイムリーツーベースが出て西武は一気に4点を先制した。
攻撃の手を緩めない西武は2回表にもスティーブのタイムリーと田淵の犠飛で2点を追加した。しかし西武の先発・杉本も不安定。3回まで毎回被安打ながらゼロに抑えたものの、4回裏に一死1・2塁としたところで広岡監督は2番手・小林をマウンドに送った。小林は期待に応えて8回まで4回1/3を1安打の好投。西武は9回表に西岡が駄目押し1号ソロで追加点。その裏の中日も3番手・森から上川のタイムリーツーベースで一矢を報いたが、序盤の大量失点は如何ともし難く7-1で西武の連勝に終わった。
西武 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | |
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
勝ち 小林 1勝 負け 都 1敗
本塁打 西岡1号
1日置いた26日の第3戦は中日が都、西武が高橋の先発で始まった。第2戦で打球を左足に受けた都は2戦連続先発という奇策だったが、これが裏目。西武は初回にスティーブのタイムリーと都のエラーで2点を先取。結局都は2回途中で2番手・鈴木孝にマウンドを譲る事となった。またも立ち上がりに失点して苦しい中日だったが、この日は2番手・鈴木孝の粘り強い投球がチームに勇気を与えた。
6回まで2安打とベテラン・高橋の投球に翻弄された中日打線だったが、7回表に走者二人を置いて7番・上川が起死回生の逆転3ラン。好投を一球でふいにした高橋はこの回で降板。8回裏、先頭の石毛に二塁打を打たれて中日は好投の鈴木孝から切り札・牛島にリレー。しかし山崎のバントで三進した石毛は3番・スティーブの内野ゴロで生還し3-3の同点。試合の行方は混沌としてきたかと思われたが、9回表の中日は二死1・3塁からスティーブの失策で幸運な勝ち越し点を得た。その裏の西武の攻撃を牛島が無難に抑え、4-3で逃げ切った中日がシリーズ1勝目を挙げた。
中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 4 | |
西武 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
勝ち 牛島 1勝 負け 東尾 1勝1敗
本塁打 上川1号
(後編に続く)