野村　謙二郎（のむら　けんじろう）　１９６６年９月１９日生まれ・右投げ左打ち

　大分・佐伯鶴城高から駒沢大を経て８８年ドラフト１位で広島カープに入団。駒大３年春に今も残るシーズン１８盗塁の東都大学記録を樹立。４年春にはリーグ最多の５本塁打と２位となる打率.４００をマークして最高殊勲選手に選ばれた。秋に行われたソウル五輪にも出場。大学通算で１０本塁打、リーグ新記録の５２盗塁、歴代６位タイの１０３安打をマークした。
　１年目は当時レギュラーとして実績を残していた高橋慶との兼合いもあり、主に外野で起用され８８試合で３９安打、打率.２５８。それでも三塁打５本、２１盗塁と俊足ぶりを見せた。
　この年のオフ、１２年間広島のショートを守った高橋がロッテにトレードで移籍。これは「野村でいける」という球団首脳の判断があったと言われている。

　その期待通りに２年目の９０年から遊撃のレギュラーに定着し、１２５試合で１４９安打、打率.２８７。３３盗塁で盗塁王を獲得。９１年は全試合出場し今も自己最高の打率.３２４（ベストテン４位）、さらに３１盗塁で２年連続盗塁王に輝き、チームの５年ぶり優勝の原動力となった。

　９２年は打率.２８８、２１盗塁。９３年も打率.２６６、１２盗塁と２シーズン不本意な成績が続いたが、９４年は３年ぶり３割となる打率.３０３（ベストテン８位）に自己最高の３７盗塁で３度目の盗塁王獲得。また、１６９安打でこの年から設けられた「最多安打」のタイトルも獲得。

　９５年には打率.３１５（ベストテン３位）、３２本塁打、３０盗塁で日本プロ野球史上６人目の「３割・３０本・３０盗塁」を記録。パーフェクト・プレーヤーの称号を得る。同年９月２２日に通算８５７試合目で１０００本安打を達成。当時で史上第５位のスピードであった。この年も自己最多、球団新記録のシーズン１７３安打で２年連続で最多安打のタイトルを獲得した。

　９９年５月１９日の阪神戦で１５００安打を達成。通算１２８９試合目の達成は歴代４位のスピード記録。この年はシドニー五輪アジア予選にも参加したが、１７打数２安打と期待外れの成績。また、公式戦においても１０年連続１００安打も達成したものの、股関節のケガ等でルーキー時代以来の規定打席不足に終わり、盗塁もわずか２個と自己ワーストの成績に終った。

　復活を期した００年も６１試合で５０安打と１年目以来の低調な成績に終り、打率.２４０も自己最低。左足の肉離れで４月に登録抹消になるなど体調不良で、オールスター後は戦列を離れて治療に専念した。
　０１年も出遅れ、４月はほとんどスタメンで出られない状態だったが、後半持ち直して２年ぶりの１００安打と３年ぶりの規定打席到達を果たした。０２年はまたも足の故障で開幕直後から登録抹消になるなど苦しいシーズンで、３７安打・打率.２１１とも自己ワースト。

　０３年は開幕直後に脇腹を痛めて登録抹消。しかし復帰後は好調に３割台のアベレージで健在ぶりを見せた。終盤は疲れからか打率を下げたが８５安打で.２７４とまずまずの数字でシーズンを終えた。０４年も３年ぶりとなる１００安打は惜しくも逃したが、９７安打を放ち打率２割７分台をキープ。
　２０００本にあと５５本でスタートした０５年は４月だけで２６安打を放つ好調な出足を見せる。そして６月のヤクルト戦でチーム史上３人目の２０００本安打を達成した。以後は代打での起用が中心となったが、００年以降では最高となる打率.２７６をマーク。健在ぶりを見せながらもこの年限りで静かにバットを置いた。

　９６年６月３０日の巨人戦で１試合３犠飛の日本タイ記録。０５年６月２３日のヤクルト戦で川島投手からレフト前ヒットして史上３３人目の２０００本安打達成。

　盗塁王３回（９０、９１、９４）、最多安打２回（９４、９５）。ベストナイン３度（９１、９５、９６）、ゴールデングラブ１度（９５）受賞。月間ＭＶＰ２回（９３年４月、９５年５月）。オールスター出場８度（９０、９１、９３〜９８）。日本シリーズで９１年に優秀選手賞受賞。