中世は教会の権威が社会を支配し、幻想と欲望が人々を狂気に駆り立てた  


中世の社会は、キリスト教会が支配階級と結びつき富と権威を握っていたのである。イスラムに対抗するために十字軍をおこし、遠征して聖地を取り返そうとしたのである。その抗争のなかで生まれたのがプレスター・ジョンの国である。

 その国はすべて空想上の物語である。現代人には信じられないが、中世の人々には実在すると信じられており、この国を発見することがイスラムを倒し、同時に莫大な富を得る道であったのである。命を賭けて宣教師がハーンの国を目指した。(マルコ・ポーロを参照)

 その狂気が冒険家たちの情熱を掻き立て、命をかけて未知の世界に乗り出した大きな動機なのである。それも一部の人間ではなく、ヨーロッパ全体が狂気のごとく動き出したのである。大航海時代の幕開けは狂気と共に始まったのである。

別な言い方をするならば、略奪の歴史の始まりでもある。その証拠として、大航海時代のスペインは南アメリカの国々から金と銀とを母国に送った。その中でも南アメリカのトポシ銀山の銀がヨーロッパに運ばれて、後のイギリス産業革命の産業資本になった事は歴史的な事実である。それまでのヨーロッパには貧弱な銀の流通しかなかったのである。 この時代背景に登場したのが下記の伝説である。

それが現実を動かし、ヨーロッパ人が「黄金の国ジパング発見」と「香辛料の産地発見」の東方探検に乗り出したのである。

ボタン 《プレスタージョンの伝説について》


東方には「プレスタージョンの教国」がある。その国には「黄金の河」が流れている。東方のどこかに「アトランティス大陸」がある。最初の記述は12世紀、オットーの『二国年代記』である。

東方には黄金の豊かな島がある。(黄金の国ジパング伝説)
特に「プレスター・ジョンの教国の探求は、共に手を取り合って、異教徒(イスラム)に対抗しようとする教会の希望もあり大きな目標になった。実際にポルトガルのエンリケ航海王子は、この国の発見を終生の目標としたのである。また、ジパング伝説はコロンブスの大西洋横断とアメリカ大陸発見を生みだしたのである。

   ●十字軍兵士の甲冑姿
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