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砂田喜昭 2010年6月13日更新  
生ゴミや家畜排泄物を
 堆肥やエネルギーにして活用

バイオマスタウン構想・視察報告

 砂田市議は今年3月議会で「バイオマスタウン構想をつくりエネルギーの地産地消を」と質問し、民生文教常任委員会は5月17日から19日に、その先進地北海道滝川市、三笠市を視察しました。いずれも生ゴミや家畜排泄物を堆肥やエネルギーにして活用しているケースです。砂田市議も参加しましたので、その概要を報告します。

滝川市


 全国屈指の栽培面積を誇る菜の花畑やジンギスカン発祥の地として知られている滝川市は北海道のほぼ真ん中にあり、人口4万5千人のまちです。


生ごみをガス化し発電も


 滝川市を含む3市2町でつくる中空知衛生施設組合が生ゴミからメタンガスを発生させて発電する「リサイクリーン」という施設を整備し、2003年度から稼働させています。
 建設費はゴミの中継施設、資源ゴミの分別・破砕を行う部分も含む全体で33億円、うち生ゴミ(年間3414トン)のバイオガス化(メタンガス発生)施設部分は16億円です。
 メタンガスを発生させる発酵槽では生ゴミを38度で20日間かけて発酵させ、メタンガスをガスホルダーに貯めます。処理能力は一日55トンの生ゴミですが、現在は生ゴミが少なく30トンの処理をしています。バイオガス発生量は日平均2596ノルマル立方メートル/日(摂氏0度、1気圧に換算して気体の体積を量る単位)、発電量は日平均4430KWh/日です。電力は施設で自家消費し、施設全体の6,7割をまかなっているそうです。ガス化した残りの汚泥は脱水乾燥させて肥料として活用しています。この肥料を使うことでの食品残渣(食品残さ。調理くずや食べ残しなど生ゴミ)に含まれる塩分による実害はないそうです。

植物油をディーゼル燃料に

 植物油をそのままディーゼル燃料に使う先行試験も行っていました。SVF方式(ストレート・ベジタブル・フューエル)で、不純物を除いた天ぷら油をそのままディーゼル車に使います。軽油との混合はダメで、自動車に特別な設備を必要とします。天ぷら油は軽油と発熱カロリーは同じですが、発火点が低いため、エンジンをかけて10分間は軽油で走り、その後は天ぷら油で走ります。エンジンを切る10分前にも、軽油に切り替えます。燃料パイプが、残った天ぷら油で詰まるのを防ぐためです。滝川市では現在、6台の車で利用しているとのことです。
 食用油の回収は、市民とガソリンスタンドの協力で行っています。市民はペットボトルに入れた廃食用油をガソリンスタンド(市内6カ所)へもっていって、そこでまとめて市が集めます。回収拠点の拡充を図り公民館など26カ所で、回収量は月300から400リットルとのことです。

市がバイオマスタウン構想をつくり、
 民間事業者が豚家畜糞堆肥化に取り組む


 滝川市がバイオマスタウン構想に豚家畜糞堆肥化を位置づけたことにより、民間事業者(ほくれん)が農水省のバイオマス利活用交付金を獲得しやすくできました。市がこの構想の見直しにかけた費用はゼロでした。

三笠市
  
 炭鉱のまちでしたが、閉山により人口が激減し現在1万人強で、高齢化が進んでいます。

民間事業者を誘致し、
     食品残渣を堆肥に


 市がバイオマスタウン構想をつくり、民間事業者を誘致して食品残渣(2009年度、年間740トン)を堆肥にする事業に取り組みました。ここではゴミの焼却は行わず埋め立てをしています。そのため広域圏のゴミ焼却事業には参加せず、独自に堆肥化を進めることになりました。
 民間事業者はFAリサイクルという会社で、4社が出資してつくりました。その中心が沖縄でEM菌を活用した事業をしている会社だそうです。
 ゴミの分別に協力してもらうために、市は一般ゴミの収集手数料とは別に、生ゴミの収集手数料を無料としました。生ゴミを分けて一般ゴミを減らせば市民負担が軽減します。これまで一般ゴミを週2回収集していましたが、そのうち1回を一般ゴミ、もう1回を生ゴミと分けました。生ゴミを1週間も家に置くと臭いがするということで、EM活性液を5000世帯に無料で配りました。臭いがなくなったそうです。
 食品残渣堆肥の成分を分析した結果、心配された塩分については1・30%であり、基準値5%をかなり下回っていました。FAリサイクルでは、この肥料を使って栽培した野菜を道の駅で販売する事業にも乗り出そうとしています。

参考 小矢部市のゴミ量

 これらの市と比較する上で2008年度の小矢部市のゴミ量を紹介します。
  
可燃ゴミ 6220トン、不燃ゴミ 439トン、資源ゴミ561トン。
   可燃ゴミのうち家庭系が4363トン、事業系が1857トン。
   不燃ゴミのうち家庭系が254トン、事業系が185トン。
 高岡クリーン工場でのゴミの種類組成を2005年度から2008年度の平均で見ると次の通りです。生ゴミは全体の4・5%とのことです。
  
紙・布類 54・6%。ビニール、ゴム等 18・7%。木、竹、わら類 16・8%。
  厨芥類(生ゴミ) 4・5%。不燃物 1・0%。その他 4・5%。

 このデータを見る限り、ゴミの分別を徹底することでもっと燃えるゴミを減らすことが可能ではないでしょうか。
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