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石動駅南土地区画整理事業
果たして成功の見通しがあるのか
地権者などの同意率、わずか68.5%で組合設立を申請へ
日本共産党の砂田喜昭委員は3月13日の予算特別委員会で石動駅南土地区画整理事業について、厳しくただしました。
低すぎる同意率
市は富山県に組合設立を申請することにしていますが、3分の2の同意のボーダーラインをわずか数人の超えたに過ぎません。これで果たして成功する見通しがあるのでしょうか。
組合が設立されると、同意していない地権者にも減歩や換地、清算金、賦課金が強制力を持ってかけられます。滞納すると10.75%の延滞金も取られます。
このため福島県いわき市などでは、同意率90%以上というガイドラインを設けています。かつては富山県もそのようなガイドラインを持っていましたが、規制緩和で取り払われてしまいました。小矢部市でもこれまでの区画整理では、98%の同意で事業を実施していました。
区画整理の目的
駅南広場と道路
今回の区画整理は綾子、野端、町端の町内を中心に約14万uが対象です。5万4270uの公共用地を生みだし、このうち道路に約3万8千u、公園に4千u余を充てる計画です。(上段の棒グラフ参照)
このほか、売却して事業費に充てるための保留地に約1万3千uを生み出します。この中には新幹線用地に売却することも含んでいます。
これらの用地を生み出すために、平均34.11%の減歩が予定されています。地権者は所有地の3分の1以上を無償で提供するか、清算金を払わされます。
同じ都市計画事業でも、区画整理に依らないで道路を拡幅した社内・上野本線(石動町新富町から今石動1丁目まで)では、県が用地を買収したので、関係住民が土地を無償提供することはありませんでした。
地価値上がり
1.5倍を当て込む
“34.11%の減歩をしても、区画整理をすることによって土地の値打ちが上がるから、土地の価値は変わらない”これが土地区画整理の前提です。工事が完成する10年後には地価が1.5倍になっていないと事業が成り立ちません。
保留地の売却で
7億円を見込む
狂うと
新たに賦課金が
事業費に充てる保留地の売却で7億1400万円を見込んでいます。uあたり55、200円です。
この付近の路線価はuあたり2万円から3万円余りで、市内全域でここ10年ほど、地価は毎年下がるばかり、前年比で5%から10%も値下がりしており、1.5倍に値上がりする保障はどこにもありません。
この見通しが狂うと、事業費が不足し、組合員(同意しなかった人も含む)に新たな賦課金がかけられるおそれがあります。組合役員には、組合がする借金の連帯保証が求められます。小矢部市は昨年12月議会で、駅南第2土地区画整理の場合とは違い、売れ残った保留地を購入するつもりはないと断言しました。
住民に どんな
利益があるのか
「値上がりした保留地が果たして売れるか」と問われて、産業建設部理事は「これからどういうものを誘導するか、それによって環境が変わる、そういう方向で努力したい。組合のなかでどんなところに売却するか協議しなければならない」と答えました。砂田委員は「迷惑施設や商売敵が進出したら、かえって住民に迷惑ではないか」と指摘しました。
また、区画整理で地価が上がれば、固定資産税は間違いなく重くなります。
仮でない「仮換地」
組合が設立されますと、工事を始める前に各自の土地の所有権の移転や減歩などを決める「仮換地」が組合によって指定されます。仮といいますが、工事が行われていないだけで、この指定で減歩や所有権の移転が最終決定してしまいます。
同意しない人の仮換地も強制するため、争いが起き数年かかる場合もあります。愛知県春日井市で行った仮換地指定が7年後に裁判で取り消された事例もあります。
砂田委員は「仮換地の指定前に、換地計画をつくり、住民に縦覧し、意見を求め、計画を修正するように」と質問しました。産業建設部理事は「当然、そういう風に進んでいくものと考えている」と答えました。
市民負担増のおそれ
市はこの事業に40億円を見込み聖域扱いとし、市民の暮らしを支える予算には財源が足りないと市民負担を増大させています。
新年度に市はごみ袋の10円の値上げ、高齢者の寿永荘利用料を倍にし、医療費助成に所得制限を持ち込みました。今後ますます市民負担が懸念されます。
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