バナー2007年2月11日号本文へジャンプ
砂田喜昭 2007年2月10日更新  
疑問だらけ 38億円の石動駅南土地区画整理事業
市費負担が約半分、 これまでは約4分の1

ほんとに
市の活性化につながるのか ? 
市の財政は大丈夫なのか ?


 石動駅南土地区画整理事業に38億円が必要で、このうち市の負担が18億円にのぼります。3月議会で日本共産党の砂田喜昭市議の質問に、市は概算として答えました。砂田市議は「これが市の活性化に本当に役立つのか」「市の財政は大丈夫なのか」「教育・福祉など他にやるべきことがおざなりにされないか」と議論しました。

新幹線のすぐそばが 
住宅地として売れるのか


 土地区画整理事業の必要性について市は本会議で、「魅力ある都市空間の創出を目的として、駅南交通広場の整備、広場への幹線街路の整備、商業業務機能の強化、過去の土地区画整理の整備効果をあげるためにも重要な事業と考えている。」と答えました。
 予算特別委員会でも桜井市長は「都市間競争に勝つためにもスピードとタイミングを大事にしたい。新幹線が通るタイミングを逃すのは得策でない」と答えました。しかし、これだけの経費をかけて、本当に市の活性化につながるのでしょうか。破綻した場合、誰が責任を取るのでしょうか。
 また、新幹線が斜めに横切るこの地区へどんどん人が寄ってくるでしょうか。
 この周辺には、これまでの三つの土地区画整理事業で造成した宅地がまだまだ売れ残っています。土地区画整理組合が売却しようとしていた保留地(2557u)も結局売れず、市が1億円近くで肩代わりし購入しました。そこもいまだに遊休地のママです。(詳細は2面『週刊明るい小矢部』05年4月17日号再掲をごらんください。)

今度は 県 が手を引いた

 組合施行の土地区画整理事業の経費負担はこれまで、国50%、県25%、地元25%でした。ところが今回、国のまちづくり交付金(解説参照)を使うため、県は負担せず、国と市で負担することになります。
 この事情について市当局は新幹線対策・企業立地等特別委員会で、国が補助金行政から交付金行政へ重点を移している事情とともに、県がこの土地区画整理事業に負担できないといってきたことを明らかにしました。
 昨年市が関係住民に説明していたところによると、駅南の工場の移転は都市計画事業で国、県、市で負担するとしていました。しかし、その前提が崩れてしまいました。県が手を引いた事業費分を市で負担して、はたして市の財政は大丈夫なのでしょうか。

市の負担が
   これまでの2倍に


 その結果、小矢部市の負担が18億円です。これは、これまで石動駅南で行った三つの区画整理事業での市負担12億円を大幅に上回ります。総事業費に占める負担割合は、今回は47%で、これまでの24%の約2倍です。 (表参照)
今回の土地区画整理事業 これまでの三土地区画整理事業
億円 構成比 億円 構成比
国の負担 13 34% 29 57%
県の負担 0 0%
市の負担 18 47% 12 24%
保留地処分 7 18% 10 20%
合計 38 51
施行面積 約14.1ha 約44ha

解説 まちづくり交付金 とは


 国が市町村に出す「まちづくり交付金」は、個性あふれるまちづくりを目的に市町村の自主的な事業に充てるもので、その事業を実施すると来街者数・居住者数がどれだけ増えるかなど数値目標を立て、完成後にどうなったかを検証することを求めています。
 小矢部市は石動地区への「まちづくり交付金」を申請しています。2007年度予算では5、787万円です。申請時には、桜町遺跡の展示施設で少なくとも2万人以上、ふれあいサロン(駅前の空き店舗活用)1万1500人以上、歴史国道(埴生口)1万5300人以上の利用を見込んでいました。
 市は今後、石動駅南土地区画整理事業もこの中に含め、石動地区でのまちづくり計画の見直しをする予定です。

予定地区内住民への負担 
   減歩率約35%


 区画整理予定地区内に土地や借地権を持っている人には約35%の減歩が求められます。住宅地だけしか持たない人は組合に精算金を支払わねばなりません。組合はその費用で宅地造成などの工事をおこないます。これまでの減歩率が25%から30%でしたから、住民負担は一段と重くなります。
 減歩で生み出した土地(保留地)を新幹線用地に売り、その代金は個々の地主でなく組合が受け取り、事業費に充てます。
 予定地区内には、住宅用地しかない人を中心に、区画整理に同意しないという方がおられます。仮同意した人は82%とのことですから、5人に1人は同意していません。これまでは同意しない人を区画整理区域から除外して事業を進めてきました。(注、換地計画がない段階での仮同意には法的根拠はまったくありません。『週刊明るい小矢部』06年10月29日号参照)
 組合役員には、区画整理組合設立時に必要な経費を用立てするために、借金の連帯保証が求められます。

市民全体で
もう一度考え直しましょう


 市はこの事業を、10年を目安にすすめたいとしています。駅南の工場の移転についても会社との同意はまだ得られていません。工場移転費用も総事業費38億円に含まれているとのことで、今後、総事業費がどれだけふくらむか、わかりません。
 これだけの負担をして、本当に市の活性化に結びつくのでしょうか。現時点の見通しでも、市負担は毎年1億8千万円に上ります。このために教育や福祉の予算が圧迫され、市民サービスの水準が低下するなら、日本共産党は反対です。関係者だけでなく、市民全体で、もう一度よく検討することが必要ではないでしょうか。


 トップへ戻る
砂田喜昭(Yoshiaki Sunata)のホームページへ戻る