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2003年7月20日号

6月定例市議会報告その3

砂田喜昭議員による農業問題の一般質問の内容をお知らせします。

 

自民党農政 農産物輸入自由化、国の価格政策の放棄

これに未来があるか

砂田市議「小矢部市農業にてらして検証を」

 

1995年の米輸入自由化と食管制度の廃止、新食糧法に基づく農業政策によって、日本の農業とともに、BSEや雪印問題など安全な食糧確保が危機に陥っています。その最大の原因がWTO農業交渉後の輸入自由化と、国による価格施策の放棄です。しかし、小泉内閣は現在も、「米政策改革大綱」を推し進めて、農産物の自由化と国の責任放棄をいっそう徹底しようとしています。

この方向に農業を守る見通しがあるのか、この間の小矢部市農業の実際にてらして、農業政策を総点検する必要があります。

(ア)    米輸入自由化による市の農業、米作りへの影響は?

池田産業経済部長

年度 米の生産量 米の生産額
1993年 16,800t 29億9600万円
1994年 13,900t 26億7400万円
2002年 14,200t 16億2100万円

生産額が14億円も減少

1993年から2002年にかけて、米生産は2,100t減少し、生産額は14億円も少なくなった。

(イ) ウルグアイラウンド対策で使った市の農業予算は?

池田産業経済部長

1994年から2000年まで

農業機械 92000万円(うち国庫補助44千万円)

農業施設(道路、排水など)25億円(うち国庫補助131千万円)

国庫補助の合計は175千万円

() ミニマムアクセス米の輸入以降、減反の拡大、米価の下落は?

3割減反しても1俵5500円も値下がり

池田産業経済部長

転作面積

1994年 2003年
11.01% 31.20%

 約3倍の増加

米価 60Kg

米価60Kg 1994年 2002年
全国 21,367 15,998
富山県 22,411 16,889

5500円の値下げ

() 農業は市場原理のもとコスト削減で生き延びられるのか?

@大規模農家と集落営農への農地の集約はどの程度すすんだか

池田産業経済部長

農地の集積率は51

A大規模農家の収入はどのように変化したか(砂田の試算による)

95年と01年の販売高比較(10aあたり8俵として)。

農家の規模 生産数量 1995年販売額 2001年販売額 差し引き減収額
1.25ha農家 100俵 213万6700円 161万3500円 52万3200円
20ha農家 1600俵 3418万7200円 2581万6000円 837万1200円

米価が下がり続けると、規模拡大農家ほど打撃を受けている

今年1月から3月にかけて全国農業会議所が認定農家39059戸を対象にアンケートを行った。

それによると72%が農業所得が減ったと答え、88%が価格低迷が問題と答えている。

国が育成しようとしている認定農家が一番困っている。

B米価の採算ラインをどれだけか(コストはいくらか)

池田産業経済部長

2001年の生産コスト

農家の規模 60Kgあたり生産費
0.5ha未満 20,967円
1〜1.5ha 15,131円
1.5ha以上 10,214円

1俵2万円の米価は必要

したがって60キロあたり2万円の米価は必要。

 

WTO農業交渉

アメリカ言いなりの自由化では農業は存続できない

 WTO農業交渉では、アメリカなどの要求によっていっそうの自由化が迫られている。それがいかに深刻な影響を農業と安心、安全な食糧確保に与えるか、具体的に余り語られていない。

211日のハービンソン議長の第1次案では、関税率が90%を超える米などは5年間で平均60%最低でも45%削減を求めており、5年後には精米10kg2245円で売られる。「後発発展途上国には無関税、無制限に市場開放」との条項が入ると10kg370円で入ってくることになる。

EU案でも3260円となり、いずれの案でも日本農業に深刻な打撃となる。(国産米は4000円前後で売られている。)

 

(オ) WTO協定の現在の枠内でもできることは何かを積極的に明らかにし、農家、市民に次の三点を語ってほしい。現在のWTO協定の枠内でも、日本農業を守る手だてがあるということは余り語られていません。

@WTO農業協定で価格保障ができる国内助成枠があり、それで米12万円を保障してもその助成枠にはまだ残りがある。

A地方自治体が行う価格保障は、政府はWTOに報告しないと言っている。小矢部市として農家所得保障のために、どんな対策をとっているのか。その拡大のために努力してほしい。

Bミニマムアクセス米についても、穀物全体では大豆、トウモロコシなどで大量に輸入しているので、穀類全体で輸入量を計算するようにすれば、米の輸入をしなくてもすむようになる。EUでは肉類全体で輸入枠を決めている。

池田産業経済部長

 米価2万円台まで回復しないと、農業経営に大きな影響があると懸念される。

県や農協と連携しながら、日本提案(農業の多面的機能の重視、食糧安全保障など)の実現に向けて最大限の努力をするよう国に働きかけていきたい。

市としては、今後とも国、県の動向を十分に見極めながら対応していきたい。

砂田市議

 市当局も、14億円も収入減となり、米価2万円が必要だと認められた。「コスト削減、規模拡大だけではやっていけない。農業交渉で自由化を野放しにしてはならない」ことをもっと訴えるべきだ。

 国や、県に訴えるだけでなく、農家にも、市民にも語るべきだ。そうすれば小矢部市も本気でいまの農業政策をかえようと考えていることが映る。

池田産業経済部長

農協の座談会でも啓発に努めたい。

価格保障については検討させてほしい。



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