市議会での発言のページ
2003年2月20日

2003年2月議会一般質問

 

      介護保険料の改定について

(ア)   値上げを中止する抜本的な改善策と当面の対策について

介護保険料の見直しの年になりました。しかし、国の経済政策の失敗から、倒産、失業、所得の減少が続いています。それに追い打ちをかけるように小泉自民党・公明党政権は、年金の切り下げ、医療費の3割負担増など社会保障の切り捨てで、国民に4兆円もの負担増を押しつけようというひどい政治を行っています。

国民生活がこんなに厳しいもとで、少しでも国民の負担を軽減する努力が、政治に求められていると思います。介護保険料の値上げを押さえる対策は、国が第一義的に責任を持つべきです。

介護保険料の値上げを中止し、「介護で泣かない世の中」を目指すには、抜本的な改善策としては、介護保険給付費への国庫負担を現在の4分の1から2分の1に引き上げることです。

国に特別調整交付金の5%引き上げを求めること

当面、今年4月の介護保険料の見直しに当たっては、緊急の対策も必要です。厚生労働省の調査によると、全国的に介護保険料の負担増は2000億円です。

現在、介護保険への国の負担割合は給付費の25%です。このうちの5%が、後期高齢者の比率が高い自治体などに重点的に配分される調整交付金です。全国市長会、全国町村会なども、この調整交付金は25%の外枠にしてほしいと要望しています。国の負担を5%引き上げれば、約2400億円の財源が確保され、4月からの介護保険料の値上げをやめさせることができます。

砺波地方介護保険組合として、国にこのことを要求すべきではありませんか。

(イ)   これまでの努力で評価すべき点について

国に要求するとともに、それが実現するまで、砺波地方介護保険組合としても努力すべきであります。この点では、評価できることがありますので、最初に指摘しておきたいと思います。

第一は、介護補給付費準備基金という積立金6000万円全額を取り崩して、当初予定していた月基準介護保険料3651円を3550円にまで引き下げる努力をしました。さらに、介護報酬の引き下げ分を見込んで、保険料を50円引き下げる努力を重ねました。

第二は、砺波地方介護保険組合は、全国的にも先駆的に、低所得者への介護保険料の軽減措置を執ってきました。制度のスタート時点から組合独自で、所得段階が第一段階に相当する、生活保護世帯や老齢福祉年金受給世帯には、基準保険料の0.4に軽減しました。国の基準では0.5です。

今回の提案は、さらに第二段階、つまり世帯全員が住民税非課税の世帯を国基準0.75から0.7へと引き下げました。

第三は、世帯全員が住民税非課税である第二段階の人であって、生活保護基準以下の低所得者を対象に、保険料を第一段階並みに軽減する措置を創設しようとしていることです。ただ、資産があれば適用除外となる点は、再検討の必要があるように思います。砺波地方には農家が多く、居住用以外の資産として、農地を保有しているケースが考えられます。その場合に、一律に農地の売却を求めるというのは、問題ではないでしょうか。

(ウ)   介護保険組合として努力すべき点について

しかし、それにしても、本人が住民税非課税の人にも、月3500円、年間42000円も年金から天引きされるのです。この数字を知った人から、「こんなに引かれるのか」と驚きの声が出されました。年金が切り下げられた上、医療費負担も増やされ、その上介護保険料で天引きされるのですから、たまりません。

介護保険組合としてもっと努力が求められるゆえんがここにあります。そこで、三点を提案します。

@     低所得者対策のもっと拡充を

低所得者対策について、さらにいっそうの努力が必要であります。非課税世帯というのは、人間が生きていく上で欠かせない生計費には税金をかけない、生計費非課税という原則からです。税金をかけない人からも保険料を徴収するというのは酷です。

そこで第一に、生活保護基準以下の収入の人には、保険料を免除し、その他の生活困窮者には、保険料を半額に軽減することを提案します。

A     低所得者対策費を一般会計で

第二に、低所得者対策の財源は、65歳以上の高齢者の保険料で負担させるのではなく、介護保険組合の一般会計で負担することを提案します。

今度提案されている保険料には、低所得者対策費用として3年分で2400万円を見込んでいます。単年度では800万円ですが、これは介護保険組合の政策的判断で打ち出した対策ですから、一般会計で負担するのが筋であると思います。

B     第三に、国に特別調整交付金増額を要求する分を、国が支給するまで一部分でも、可能な限り一般会計で負担することです。

これも政策的判断にもとづく性格の経費であります。国に特別調整交付金の増額を、口先で要求するだけでなく、その強い姿勢を、保険料を軽減することで示していただきたい。

C     保険料減免制度に対する厚生労働省の「3原則」に対する対応について

厚生労働省は、@保険料全額免除は不適当、A資産状況等を把握しない一律減免は不適当、B一般財源の繰り入れは不適当という、いわゆる3原則なるものを振りかざして、圧力をかけているようですが、しかし、介護保険は本来国の権力的な関与が及ばない「自治事務」です。政府も「三原則」は「地方自治法上従う義務ではない」と国会答弁で認めています。

この点をふまえて、予算措置を具体化されるよう求めたいと思います。見解を求めます。

      介護認定について

(ア)   要介護度2と認定された人が、2回目の調査判定で1となり、苦情を申し立て、再調査したら3となった事例がある。

ある老老介護の方から相談がありました。奥さんがアルツハイマー型痴呆症で昨年1月に初めて介護認定を受け、要介護2となりました。その半年後ですか、2回目の介護認定では、要介護1と認定されました。アルツハイマー型痴呆症は@原因不明であり、A治療方法がなく、B症状が進んで中期が一番大変だというのです。そこでその家族の方は、なぜ要介護度が1と、軽くなったのか、その医学的証明を求め、介護認定審査会の議事録の開示を要求し、再認定を求めたそうです。そしたら、今度は要介護3になったそうです。

(イ)   認定審査会の1回あたりの時間が減ってきているが、実質的な審査が形骸化している懸念はないか

介護認定で、一番重要な役割を果たすのが、介護認定審査会です。調査員がコンピューターに調査結果を入力するわけですが、それだけでは介護の必要性を実態にあったように表すことはできません。たとえば、つかまらずに5メートル歩けるか、という質問項目がありますが、その方の家の構造によっては手助けが必要になる場合や、仮に6メートルは歩けても、コンビニまで買い物に行くには、100メートル外出しないと生活必需品を手にできないという場合もあります。多くの調査員は、その事情を特記事項に書いているわけですが、そこら辺を審査会で十分審議しなければ、実態にあったものにはなりません。

ところが、介護保険が始まってから3年間、毎年、1回の審査会にかける時間数が少なくなってきています。介護保険がスタートした2000年度は1回あたり90分の時間をかけて審査していたものが、2001年度は84分、2002年度は75分です。審査件数が2000年度は7241件、2001年度は8285件と、毎年増え続けているのに、1回あたりの審査時間が短くなっています。

審査会での実質的な審議が、形骸化してきているのではないかと、懸念するものです。

(ウ)   審査会の議事録を、本人や家族から希望がある場合、該当部分を公開すること。

そこで、審査会でどのような審議が行われたのか、本人や家族から申し出があった場合には、審査会の議事録の本人に関わる部分を、本人や家族に公開できるように、「砺波地方介護保険組合介護保険の要介護認定等にかかる情報提供制度要綱」を改善してはどうでしょうか。このことが、審査会での審査を高齢者の生活実態に見合ったものにし、制度的にも実質的な審査を保証することになると考えます。

(エ)   認定審査会の拡充と利用者代表の参加

さらに、審査会で扱う件数が多く、こなしきれないのであれば、審査会をもっと拡充し、審査委員に介護保険サービスの利用者代表も加えてはどうでしょうか。

(オ)   アルツハイマー型痴呆に関する基本的な知識を介護保険組合の職員や調査員、認定審査員、ホームヘルパーなど関係職員に徹底すること

また、アルツハイマー型痴呆症について、基本的な知識を介護保険組合の職員や調査員、認定審査員、ホームヘルパーなど関係職員に徹底することが必要だと思います。

たとえば調査員には、アルツハイマー型痴呆症に対応したマニュアルも必要ではないでしょうか。質問項目に、今日は何日かわかりますか、というのがありますが、すると「失礼なことを聞くな」と激怒し、その日はずっと騒ぎ放しだったということも伺いました。調査員はマニュアル通りの質問をするのですが、このような場合に、どういう質問の仕方をするかとか、痴呆症への対応についても、研修してもらう必要があるのではと、思います。

アルツハイマー型痴呆症の特徴としては、@身近なものに対して攻撃的になる、A自己中心的な思考方法に陥るなどがあげられ、個人差はあるかもしれませんが、午前中は割と正常なことが多いのですが、夕方よりおかしくなって、一度言い出したら要求が通るまで言い続けるところがあるそうです。また、夜騒ぐことが多いとも聞きました。

このような状況をふまえて調査、認定、介護サービス計画の作成と提供などを行ってほしいというのが、強い希望でした。是非検討していただきたいと思います。

      在宅介護サービスへの誘導策について

次に在宅介護サービスへの誘導策について、おたずねします。住み慣れた自宅で最後まで住み続けたいというのは、誰もが願うことです。それを支える体制をつくることは、その願いに答えることでもあり、また、施設不足の解消にも、介護給付費の節減にもつながります。そこで、以下の点について、提案し、見解を伺いたいと思います。

(ア)   市町村の独自施策として堅持すること

砺波地方介護保険組合の場合、介護サービスの上乗せ、横だしについては、介護保険組合が行うのではなく、それぞれの構成市町村が自らの「甲斐性」で行うことになっています。これは、その費用を介護保険料に負担転嫁することがないので、よい制度だと私は評価しています。この制度の堅持を求めたいと思います。

(イ)   低所得者に対するホームヘルパー無料制度を堅持するとともに、在宅サービス利用料を3%に引き下げるよう推奨すること

そのことを前提に、現在構成市町村でそれぞれ独自に実施している、低所得者に対するホームヘルパー手数料の無料制度を堅持するとともに、その他の在宅サービスの利用料を10%から3%へと引き下げることを提案します。これは介護保険組合としての直接の事業ではありませんが、構成市町村に組合として積極的に推奨してほしいと思います。そのことによって在宅サービスへのシフトがすすめば、介護保険組合としては、結果として介護給付費の節減にもつながります。

(ウ)   介護保険組合として各自治体の経験を交流し、サービス向上に推進すること

構成市町村の独自施策で行うということになれば、当然ばらつきが出てきやすくなります。

たとえばホームヘルパー無料制度についても、小矢部市では、利用者が立て替え払いしなくてもすむ現物給付で対応していますが、ある町では利用者が利用料をいったん立て替えて、その分が2ヶ月後に払い戻される償還払いであり、また別の町は半年後の償還払いとまちまちになっています。

同じ介護保険組合内でのことでもあり、たとえばホームヘルパー利用料の無料制度も現物給付にするなど、組合としてもそれぞれの自治体の経験を交流し、お互いに切磋琢磨してサービス向上につながるよう推奨することを提案したいと思います。

(エ)   デイサービス、デイケア、ショートステイなど各事業者の介護報酬以外の自己負担の状況を調査、公表し、住民が事業者を選択する材料を提供すること

ある施設では介護保険の1割負担の他に、昼食材料費250円、教養娯楽費20円、日曜雑費、タオル代60円を利用者から徴収しています。このようなデイサービス、デイケア、ショートステイなど各事業者が介護報酬以外にどのような自己負担を求めているかの状況を調査、公表し、利用者がどの介護事業者を選択するか、判断材料を提供すること提案します。

      市町村合併と介護保険組合の行方について

(ア)   合併によって地方交付税が激減することが明確である。

合併による財政的なメリットは、財布が大きくなり、中心部に大型の投資ができると言うことしかなく、反対に合併によって地方交付税が激減するので、財政危機が進行することは、兵庫県篠山市の例でも明らかである。

一方、こんな勘違いもあります。合併すると「毎年減額されている地方交付税が10年間保障され、財政基盤が安定する」、合併しないと「財政基盤が確実に弱体化し、行政サービスの維持は難しい」というものです。しかし、これは間違いです。

二つの誤解があります。

地方交付税が毎年減額されているということは事実ではありません。国が地方自治体の財政力の違いを補い、地方財源を保障するために交付している地方交付税制度について、誤解、もしくは意図的なごまかしがあります。

国が全国に配る地方交付税で不足する額については、2000年度までは国の交付税特別会計が借金をして地方自治体に配分していましたが、2001年度からその一部を地方自治体自身に借金をさせ(これを臨時財政対策債という)、後年度にその元利返済額を全額地方交付税で面倒を見る制度に変えました。実質的な地方交付税額はこれらの合計額になります。全国ベースでも新年度は、その総額は1兆1700億円増えていますが、現に、小矢部市でも今年度より3500万円増えています。

第二は、合併すると地方交付税が制度上激減します。合併したら「地方交付税が10年間保障される」という意味は、激変緩和措置として、合併しなかった場合の交付税額を10年間保障するにすぎないのです。

わたしがこの問題を一般質問で取り上げるのは、昨年秋に日本共産党砺波地方議員団として自治体訪問をした際、五箇山のある村の幹部が、「これまで村として合併した経験がないので、とまどっている」とか、「合併しないといったら、砺波地方で、ゴミ処理など広域事務組合で行っている事業からはみ出されるのではないか」などの懸念を率直に語っておられたからです。せっかく共同で行っている事業が合併に加わらないことで、のけ者にされないかという心配から、不本意ながら合併へとすすむと言うことは、それぞれの村づくりにとっても、大きなマイナスであります。そこで合併しないと差別的な扱いをされるのかどうか、おたずねするわけです。

(イ)   仮に合併に加わらない自治体があっても、提供するサービスに差別を持ち込まず、現在提供しているサービスを後退させないこと

砺波地方介護保険組合では、5カ三村や井口村には、常勤ヘルパーが1名でも、介護認定事業者として特例的に認めて、約2500万円を居宅介護サービス介護給付費として負担しています。

仮にどこか一つの村が合併に加わらなかったからといって、その村に対して、国の基準通り3名の常勤ヘルパーがいないからと、この特例措置を打ち切ることはありませんね。確認をしておきます。

(ウ)   介護保険組合の解散、構成自治体の変更など、規約変更が必要な事項には、地方自治法による各自治体に拒否権があることを確認する。

地方自治法第290条で必要とされる議決は、構成自治体のすべての議会で議決されないと効力を発生しない。一つの自治体でも拒否すれば、解散、構成自治体の変更などはできない。このことも確認したい。

(エ)   このことが明らかになれば、広域圏で仲良いつきあいをしておりそれをこわすのは忍びないとか、単独で介護保険を実施しろと言われてもできないからと、渋々合併を選択する必要はなくなる。



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