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2003年2月9日号

見えてきた 合併問題の行方
経済効率だけでは住み続けられない郷土となる

 市議会合併対策委員会が1月31日開かれ、大家市長は、福岡町のみとの合併に向けた法定協議会設置費用を新年度予算案に計上したと表明しました。小矢部市をめぐる合併の動きがどうなるのか注目されており、テレビ、新聞などマスコミ各社が取材に集まりました。

市長「福岡町との合併しか現実味がない」

 砺波市は庄川町のみとの合併を選択し、砺波市との合併はなくなりました。高岡市を中心に中核市(人口30万人以上)を目指す動きは、新湊市、氷見市が参加しない見通しなので実現不可能です。福岡町が提案する高岡市、小矢部市、福岡町の2市1町の合併には、市長も議会も賛成できないとしています。
 大家市長は、「いまとなれば、福岡町との合併しか現実味がない」と述べました。
 これを受けて、一部議員は「議会が一致して、福岡町との合併を不退転の決意で」と発言し、大家市長にも「福岡町との合併を不退転の決意で迫れ」と注文をつけました。
 これに対して大家市長は「しかし、福岡町からは1対1での任意の合併協議会の立ち上げについて、『時期尚早』との回答をもらっている。福岡町も一つの自治体であり、小矢部市の主張をこれ以上相手に強要することはできない。小矢部市としては、新年度予算で福岡町との法定合併協議会立ち上げの予算を計上している」「福岡町は9月議会までに結論を出すと言っているようだが、そこまでは待てない」などと述べました。

砂田市議「合併せずに、隣人として競い合うのが住民にプラス」

 砂田市議は合併問題検討委員会で「『議会が一致して福岡町との合併を』という主張には同意できない」と言明し、「わたしが福岡町との合併懇談会で主張したように、『合併せずに、仲のよい隣人として、お互いに住民サービス向上で競い合うことが、住民にとってプラスになる』」と主張しました。

福岡町との合併 その問題点

 ここにきて小矢部市と福岡町との合併に焦点が移っていますが、いくつもの問題点が横たわっています。
 大家市長が合併にこだわるのは新幹線石動駅の建設をしたいということです。仮に福岡町と合併すれば120億円近い公共事業をできると国は説明しています。大家市長はそれで新幹線駅の建設を夢想しています。しかしそれは借金です。
 また、この合併がなったとしても、@同じ一つの市に福岡町のUホールとクロスランドおやべという、似たような二つの施設を抱えて運営できるのか。A小矢部市にはすでに総合運動公園があるのに、福岡町で計画されている総合運動公園を新たにつくる必要があるのか。B新たな市役所を、老朽化した小矢部市役所ではなく比較的新しい建物の福岡町役場におくことができるのか。C合併15年後には地方交付税が制度上、激減するのに、これらの計画を実施できるのか、などの問題があります。
 砂田市議は、「本当に合併して、財政的にやっていけるのか、合併後20年間の財政シミュレーションを試算すべきではないか」と提案しました。これに対して西川総務部長は「非常に大事なことだ。福岡町と合併した場合にどうなるか、小矢部市単独ではどうなるか、試算を出してみたい」と答えました。
 自民党・小泉内閣は「合併しないと市町村財政が持たなくなる」と脅して合併を押しつけていますが、地方財政制度上は全く反対のでたらめをいって脅しているのです。この試算を出せば、問題ははっきりします。

近くで起きた昭和の大合併による災難

 「昭和の大合併」がもたらした住民への災難は、北日本新聞が「正念場の地方自治第2部」で特集しているように、@富山市に吸収された旧水橋町の悲哀「最後の町長」(1月31日〜2月2日付)、A八尾町と合併したかつての大長谷村では「議員減」で、隣の利賀村に比較して過疎に拍車がかかったこと(2月3日付)、B氷見海岸を埋め尽くした流木騒動(平成11年9月)は岐阜県河合村の過疎化が招いた(2月4日付)などで明白です。
 財政問題を理由に「経済効率」だけの追求で、人間が住み続けられない自治体をつくってもよいのかが、問われています。
 市町村合併問題を、それぞれの街づくりについて、住民みんなで考える機会にしましょう。


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