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2002年10月6日号

市町村合併

何でこんなに騒ぐの?市に困ったことでもあるの?

9月議会

市助役「『合併で地方交付税が保障される』論には根拠がない」と認める

 

合併問題での財政的なメリット・デメリット論があります。それは、合併すると、「毎年減額されている地方交付税が10年間保障され、財政基盤が安定する」、合併しないと「財政基盤が確実に弱体化し、行政サービスの維持は難しい」というものです。

 

しかし、これは間違いです。9月議会で市助役は砂田議員の質問に答えて、そのことを認めました。

これには、三つの誤解があります。

 

誤解1

 地方交付税が毎年減額されているということは事実ではありません。

国が地方自治体の財政力の違いを補い、地方財源を保障するために交付している地方交付税制度について、誤解、もしくは意図的なごまかしがあります。

小矢部市の地方交付税の推移

1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度
地方交付税 3,837,741 4,206,350 4,654,809 4,729,859 4,469,114
臨時財政対策債 176,000
実質の交付税額 4,645,114

決算ベース 単位千円

国が全国に配る地方交付税で不足する額については、2000年度までは国の交付税特別会計が借金をして地方自治体に配分していましたが、2001年度からその一部を地方自治体自身に借金をさせ(これを臨時財政対策債という)、後年度にその元利返済額を全額地方交付税で面倒を見る制度に変えました。実質的な地方交付税額はこれらの合計額になります。

2001年度に地方交付税の「見直し」による若干の減額が現れていますが、直ちに行政サービスを切り下げなければならないような深刻な問題ではありません。その証拠に、小矢部市は固定資産税の税率引き下げを実行しましたが、これまでの行政サービスの水準(たとえば介護サービスの独自上乗せ措置など)を引き下げていません。

誤解2

 合併すると地方交付税が制度上激減します。

合併したら「地方交付税が10年間保障される」という意味は、激変緩和措置として、合併しなかった場合の交付税額を10年間保障するにすぎないのです。

1999年度に、砺波地方12市町村に交付されている地方交付税(普通地方交付税のみ)は合わせて240億円、ところがひとつの市になれば現行制度のままでも195億円へと激減すると推測されます。(人口10万人以下の市町村には、地方交付税が1市町村あたり5億円程度、割り増し交付されています。合併して10万人を超える一つの市になると、その割増分がなくなります。砺波地方12市町村の担当課長らでつくっていた合併問題研究会は、その割増分を全体で45億円と試算しています。)

国は合併に伴う特例措置として、10年間は合併しない場合に12市町村へ配分されるはずの地方交付税額を保証し、その後5年間かけて195億円に減らします。結局15年後には合併した新しい市では大リストラを強行しなければやっていけません。

合併でリストラを懸念されるのが、保育所、幼稚園、学校

 合併による行政サービス低下が一番心配される分野に保育所、幼稚園、学校があります。
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誤解3

 今後、地方交付税制度の見直しによって地方交付税の削減が行われた場合には、合併しても合併しなくても同じように削減されます。合併したら10年間保障されるという交付税額も同様に削減されます。



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