赤旗読者通信のページ
2001年12月30日号
狂牛病問題 木島日出夫衆院議員が酪農家、焼肉店を訪問
日本共産党の木島日出夫衆院議員は12月20日、狂牛病問題で酪農家、焼肉店を調査に訪れました。上田弘党呉西地区副委員長、砂田喜昭市議も同行しました。
「責任をとろうとしない政府はだめ」 家畜商
福野町の家畜商Mさん(69歳)は「狂牛病問題で政府は誰一人責任を取ろうとしていない」「自民党はもうだめだ」と怒りをあらわにしました。
Mさんは、北海道から妊娠牛を仕入れ、県内の酪農家に販売し、老廃牛(乳の出なくなった乳牛)を屠場へ売る仕事をしています。老廃牛は枝肉などに利用されます。その老廃牛が狂牛病の影響で価格が暴落し、売れなくなっているのです。枝肉1キロ当たり400円から450円で取引されていたものが(牛一頭17、8万円)、11月19日にはキロ200円から250円に値崩れし、12月3日にはキロ単価がつかず、1頭1万円から2万円で頼んで引き取ってもらったといいます(写真参照)。乳牛のえさ代は1頭一日800円で月2万4千円にもなります。売れなければえさ代が赤字となり、牛より酪農家のほうが参ってしまいます。
「老廃牛の買い上げを政府の責任で」 酪農家
小矢部市の酪農家Sさん(63歳)は「狂牛病の危険が指摘されていた肉骨粉の輸入を見逃していた政府に責任があるのだから、老廃牛を政府が買い上げてほしい。1年間やればこの問題は解決する」「共済に入っているが5万円くらいの涙金ではどうにもならない」と訴えます。「自民党独裁ではよくならない。野党がもっと力を付けないと」と注文を付けます。
Sさんは酪農家の困難な現状について次のように語りました。「12月に3頭の老廃牛を売りたかったが、1頭しか出なかった。老廃牛がさばけないと、新しい妊娠牛を入れることができず、来年の牛乳の生産計画を立てることもできない」と深刻な影響を語ります。生産農家では飼料に肉骨粉が入っているかどうかはわからないといいます。「そもそも草食動物に肉骨粉を使うのが問題だが、もとは大豆かすでたんぱく質を食べさせていたが、それが魚粉になった。しかし魚粉がキロ7、80円するのに対して肉骨粉は3、40円であり、いつの間にか肉骨粉に変わっていても農家ではわからない。政府が通達を出しただけで、検査もしていない状況では防ぎようがない」「こんな育て方をするから牛の質も弱く、短命になった。昔は7、8年だったものが今では3、4年だ」。
「学校給食に牛肉が使用できてこそ本当の『安全宣言』」
焼肉店主
市内の焼肉店のHさんは「1頭目の狂牛病が出てから売り上げが半分に減ってしまった。資金繰りがたいへんだ。子どもづれのお客が来なくなった。政府が安全宣言をするのだったら、学校給食で牛肉の使用を再開してほしい」と訴えます。
砂田市議の問い合わせに学校給食の担当者は「いくら国が安全宣言をしても、その後も狂牛病の牛が発見されている。疑わしいものは子どもたちに食べさせるわけに行かない。3学期は引き続き牛肉を使わない予定だ。牛肉の安全確認にはもっと抜本的な対策が必要だ」と語っています。
「野党が緊急対策法案を準備」 木島衆院議員
木島議員はこれらの訴えを真剣に受け止めるとともに、こんどの通常国会で狂牛病対策の緊急措置法案を野党4党で共同提案する準備をしていることなどを話し、「ともにがんばりましょう」と励ましました。
この法案では@感染牛やその疑いのある牛を国が買い上げ、焼却処分すること、A牛肉骨粉を国が買い上げ、焼却処分するとともにその製造、輸入、保存または使用を禁止すること、B全頭検査以前(平成13年10月18日)に解体された牛肉を国が買い上げ焼却処分すること、C牛の生産農家に対する助成措置を講ずること、D狂牛病についての正しい知識を普及することなどを提案しています。
「しんぶん赤旗」は12月26日付、12月28日付東海北陸信越版で政府交渉の内容を掲載、12月30日付には獣医師による狂牛病についての最新情報を掲載しています。