文責:倉島
問題:以下の例では、一見、議論が最後まで伸びたように見えますが、実際にはあまり有効な議論がなされていません。どういう点が問題だったのでしょうか?
論題:日本は選挙の棄権に罰則を設けるべし
肯定側
メリットは政治への民意の反映です。棄権に罰則を設ければ、投票率が上がります。オーストラリアの例では59%の投票率が92%にまで上昇しました。投票率が上がれば、今まで投票へ行くよう促すためのPRに費やしていた費用を政策を訴えることに使えます。政策中心の政治になれば政治に民意が反映されます。政治に民意が反映されることはとても大事なことです。なぜなら、政治に民意が反映されて初めて、国民のための政治が可能だからです。国民のための政治が実現するということは国民が幸福になるということだからです。
否定側
投票率が上がることに何の意味もありません。投票が任意のときにのみ投票率は意味を持つのです。強制されて、いやいや投票する人が増えることに何の意味があるでしょう。したがって、罰則を設けることで投票率をあげても、メリットは発生しないことになります。
肯定側
投票率が上がることはとても重要な意味があります。投票率が上がるということは、政治への関心が高まるということです。いやいやながらでも、投票に行けば、行かないよりも政治に関心を持つようになります。
否定側
投票率が上がっても、関心が高まるとは言えません。もともと政治に関心のない人は、単に罰則を逃れるために投票所に行き、目についた人の名前を書くだけです。いやいや行っているのですから、関心が高まるはずはありません。したがって、投票率が高まることに意味はありません。
肯定側
政治に全く関心がなければ、投票所に行くだけでは関心が高まらないかも知れません。しかし、成人であれば、多かれ少なかれ政治に関心があるのが普通であり、この関心が実際の投票を通じてより高まるのです。したがって、いやいやでも投票所に行けば政治への関心は高まります。政治に関心を持つことは民主主義政治においてとっても重要なことです。
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