ディベートの基本ルール

文責:倉島 1997.10.15

ディベートのルールは、主催者の考え方や目的に応じて、多少の差があります。ここでは、どのディベートにも共通するような基本的なルールを紹介します。

非礼行為は慎まなければならない

仮に議論が感情的になったとしても、ディベータは非礼行為を厳に慎まなければなりません。目に余る場合は、ジャッジにより注意が与えられます。

主張をジャッジに伝えなければならない

ディベーターは自らの主張をジャッジに伝える義務を負います。ジャッジが、ディベーターの主張を聞き取れない、聞こえない場合、その責任はディベーターにあり、その主張は述べられなかったものとジャッジされます。

時間を守らなければならない

ディベーターは与えられた時間を厳しく守らなければなりません。ただし、話している途中に時間が来た場合は、話している途中の文は最後まで言い切ってよいのが普通です。 それを越えて話した内容はジャッジによって無視されます。

主張には根拠がなければならない

ディベーターは、すべての論点において、根拠を伴って主張しなければなりません。ディベーターが、根拠を伴わない主張をしたときは、ジャッジはその主張が述べられなかったものと判断することがあります。

相手の主張に反論しなければならない

ディベーターは、相手側が述べた主張に対し、何らかの反論しなければなりません。反論がない場合は、ジャッジはそのディベーターが相手の主張を認めたものと判断します。ただし、本ルールより、『主張には根拠がなければならない』のルールが優先します。(根拠なき主張には反論しなくても認めたものと見なさない)

反論は主張の直後になされなければならない

ディベーターは相手の主張に対して、可能な限り早い段階で反論しなければなりません。これは、反論の機会の均等化を図り、公平性を維持するためと、論点をより深くまで議論するためです。具体的には反論の機会は以下に示すようになります。

上記の機会を逸した場合、第二反駁で反論しても、ジャッジはその主張は述べられなかったものとして判断します。ただし本ルールより、『主張には根拠がなければならない』のルールが優先します。(根拠なき主張には反論しなくても良い)

証拠資料は第三者が入手可能なこと

証拠資料は引用する当事者以外の第三者が入手可能なものでなければなりません。具体的には公刊された出版物です。当事者独自の調査や時間とともに入手できなくなる可能性のあるものは証拠資料としては認められません。

証拠資料は要件を満たすこと

証拠資料引用の際には、著者名,著者の肩書,文献名,発行年月日を述べ、原文のまま引用しなければなりません。これを満たさない場合は、その証拠資料がそれだけ信憑性の低いものと判断されます。

証拠を捏造してはならない

ディベータは証拠の捏造や改変をしてはなりません。証拠は原文のまま引用しなければなりません。

相手の議論を意図的に曲解してはならない

ディベーターは相手の議論を、自己の有利なように意図的に曲解してはなりません。このようなことが認められた場合、ジャッジは曲解した側の議論を無視します。

反駁で新しい議論を持ち出してはならない

論点と論拠はすべて、立論の中で出し尽くされていなければなりません。これは、反駁の機会を均等に与えるためです。反駁に入ってから、新しい議論が出てきた場合、ジャッジはその議論を無視します。

プランは論題を充当していること

肯定側のプランは、論題を充当していなければならず、その範囲を超えるものであってはなりません。プランが論題を充当していない場合は、肯定側の負けになります。

主体がプランを本当に実行するかを証明する必要はない

肯定側は、プランを実行すべきかを証明すれば良く、そのプランを主体が本当に実行に移すかを証明する必要はありません。プランを主体が実行するかどうかが議論された場合は、ジャッジはその議論を無視します。

反対尋問の内容は反駁で反映すること

反対尋問で明らかにした内容は、反駁で反映させなければなりません。反対尋問がいかに優れていても、反駁でそのことを反映していなければ、判定の対象とはなりません。

メリット/デメリットには発生過程と重要性を述べること

メリット/デメリットを述べる際には、発生過程と重要性を述べなくてはなりません。発生過程が明確に示されていない場合は、根拠がないのと同等に判断され、たとえ反論がなくてもそのメリット/デメリットは成立しないと判断されます。また、重要性が述べられていない場合は、その重要性がきわめて低いと見なされることがあります。ただし、一般常識でジャッジが判断できる場合はこの限りではありません。

否定側にはアピールする権利がある

ディベート終了後、否定側には肯定側第2反駁について、ルール違反や事実誤認に関してアピールすることができます。