多摩川べりを散歩していたら、水際に細かなゴミが浮いていました(99/02/27)。何か面白い生き物はいないかな?、とサンプルをとってきて見たら、なかに、こんなものが。大きさは幅0.2mm,長さ0.35mmってところ。撮影は顕微鏡+デジカメ(10倍対物レンズ)。落射照明を加えてます。
こういうゴミです(まわりの丸いのはフィルムケース)。人工物もあるけど、植物遺体が多い感じ(きちんと調べるとおもしろいかもしれない)。
上の写真の正体も、何かの植物の「たね」(種子または果実)だと想像されますが、どうでしょう?
「写真で見る外来雑草」という冊子(社団法人 畜産技術協会、H.6 全国農村教育協会)に165種の種子の写真が出ていますが、それらしいものはありませんでした。
自分でまいて育ててみるとか、やってみようかな。
種子の図鑑の情報。
どちらもすごいです。前者は140科1005属2114種。後者は種子850余、芽生え512図。こういう持続力というか、粘りというか、とても真似できない(まぁワタシはワタシで行くしかないっす)。
肝心なことを忘れてました。ちょっと見たところ「これ」っていうのは見当たらず。もうすこし見当つけてじっくり見ないとだめかなぁ?
コケムシ?!
別の用で「日本の水道生物」をめくっていたら、それらしいのを発見!「ヤハズハネコケムシの休芽」(p.129) というのにぴったりでびっくり。コケムシというのは触手動物に属していて、大きさ1mm前後のムシが群体を作って生活するとか書いてありますが、こんな連中全然なじみなしで全く知りませんでした。これがほんとにコケムシなのかを含め、分かったらまた書きますが、とりあえずご報告。
99/05/24例によってWebを調べてみました。群馬県立自然史博物館のサイトに問題の「ヤハズハネコケムシ」の画像がありました。群体の写真ですが、直径数センチで藻のような感じです。
また、別種ですが、「クラゲコケムシ」の発生が1998年8月10日の京都新聞の記事で伝えられています。この種も休芽を作るそうですが、池の底で冬を越すとのこと(この種の和名は「オオマリコケムシ」が正しいようです。下記参照)。
99/05/30上のと同じらしいやつが、アメリカのMillerさん夫妻のサイトにいました。「MOSS ANIMALS INVADE LAKE COCHITUATE」というタイトルで、Pectinatella magnificaという種類です。発見記のスタイルでなかなか面白い。群体や休芽の写真、関連サイトへのリンク、専門家のコメントなどがあります。この私のページの写真についてメールで伺ったところ、やはり休芽ではないかとのご意見でした。
「たね」についての専門家コメント
専門家にうかがったところ、写真で見る限りですが、やはり「ヤハズハネコケムシ」(Plumatella emarginata)の休芽として問題ないようです(Dr. B. T. Backus, Dr. T. S. Wood, 織田秀実博士、ありがとうございました)。ただ、Dr. T. S. Wood によれば、日本のものが本当にP. emarginata なのかちょっと気になるということで、今後調べたいとのことでした。
また、休芽がコケムシの生活上どんな意味を持つのか、というのはいろいろなケースがあるようです。ヤハズハネコケムシなどでは、冬を乗り切るとかいった意味はなく、単なる散布のためのものと考えられるようです(これも Dr. T. S. Wood による)。
Pectinatella magnifica の和名は「オオマリコケムシ」上の京都新聞に出たコケムシ(Pectinatella magnifica) ですが、「オオマリコケムシ」という和名が正しい、と織田先生からご指摘いただきました。北隆館の日本動物図鑑(新編:1979)にも「オオマリコケムシ」で登場していますので、「クラゲコケムシ」は使わないほうがよいようです。
この種は北米原産のものですが、1972年に河口湖に突然あらわれ、その後日本のあちこちに出現しているとのことで、大変興味深く感じました。
マミズクラゲ他にもこの種の帰化動物がいろいろありそうですが、今回は偶然「マミズクラゲ」の帰化の様子を知りました。系統的には全く関係ないですが、ついでに紹介しておきます。こちらは戦前(1929)にも記録が一応あるのですが、まったくの「レアもの」、ところが戦後各地で発見されはじめ、現在はバス釣り愛好家の間などでもかなりポピュラーになっているようです。
くわしくは専門サイトである「まみずくらげ」をぜひごらんください。飼育情報なども豊富、掲示板システムもあります。分布調査も企画されてます(お心当たりある方、ご協力よろしく)。