この春(1999)小学生になった姪がみつけてきた、お化けタンポポ。採取場所は東京都港区。
前から話には聞いていたけど、実物を見るのは初めて。どこで見つけたのか聞きそびれたので、残念ながら生育状況は不明です。
数本の花茎が癒合したような感じになっています。「帯状奇型」というそうです。
数日して果実をむしり取ってみました(右の写真)。ますますお化けというか、お岩さんみたいな感じになっちゃいました。
4、5本分の果実が付いてる感じです。封筒に入れてとってあるので、まいてみないといけないかな。お化けの子はまたお化けになるのか、とか(また宿題)。
実はこの辺を含めて、お化けタンポポをめぐる面白い話が、
に沢山でています。おすすめ。
盛口氏は私と同業者なんだけど、とにかくエライというのかスゴイというのか。ひそかに憧れるところであります。上の本にも生徒と一緒に楽しんでいる様子が、これでもか、という感じで出ています。それこそバクテリアからけものまで。それになんたって、盛口氏自身による細密なイラスト! 他の本もすばらしい。
また、昔の雑誌ですが「採集と飼育」というのがあって、これには奇型の話がよく出てたようですね(この雑誌、なくなったのは惜しい)。こんど図書館で見てみます。
原因その他については未調査。また何かあったら書きます。
さて、このお化けタンポポですが、「セイヨウタンポポ」のようです。
帰化種 |
在来種 |
セイヨウタンポポは「西洋タンポポ」で、日本にもともとなかった種(帰化種)です。在来種と帰化種のタンポポの話の復習をしておくと、総苞片(がくみたいなやつね)が外側に反り返るのが帰化種(その他、殖え方とかいろいろ違いあり)。
ただし、すべての帰化タンポポが「セイヨウタンポポ」なのではありません。
左の写真を見てください。どちらも帰化種のたね(果実)です。
左と右で色が違います。左のような赤っぽいたねをつけるものを「アカミタンポポ」、右のオリーブ色みたいな色のたねをつけるのを「セイヨウタンポポ」と言っています。
ちなみに、私の回りではアカミの方が多く、しばらくはこの赤がセイヨウだとばかり思っていました。
なお、この写真、レタッチでゴミを消しました。いままでやったことなかったけど、便利なもんですね(クリックで拡大:22KB)。
セイヨウタンポポ: | Taraxacum officinale WEBER |
アカミタンポポ: | T. laevigatum DC. |
原色日本帰化植物図鑑(長田武正 保育社 1976 pp.1-2)には、上の学名が当てられています。
ただ、実際はそれぞれの中にもいろいろあるらしく、ヨーロッパではいくつも名前がついていて、日本にきてるものがどれかを判別するのはなかなか困難という話もあります。このへんのことは、在来種のことも含めて、とりあえず東京学芸大学の環境学習ネットワークのサイトにある「タンポポの種類」をご覧になるといいと思います。
また、帰化種と在来種の間での雑種形成があるらしいです。外見は帰化種だけど実は在来種の血が入っているやつが多数いる、とか。
帰化種は三倍体で花粉なしで子供を作るくせに、うひゃー、もう何がなんだか。
少し勉強したので、メモ「ニホンタンポポと帰化タンポポの遺伝的関係」を書いておきました。ご参考まで(1999/05/19)。
niftyserve ffieldにアカミとセイヨウの比較観察が投稿されていますので引用します(ffield #5 2559番、観察地は宇都宮)。
○冠毛の密度はセイヨウタンポポのほうが多く、花序全体がアカミ−より白っぽくみえる。
○冠毛の生えている角度はアカミ−のほうが全体として大きく立っている。
○並べて息を吹きかけると、アカミ−のほうの痩果が多く飛ぶ。
うーむ、1番目はなんとなくそんな感じしてましたが、それ以外は気づきませんでした。今度よくみてみなくちゃ。
話はアカミとセイヨウからちょっとずれますが、
上の引用をお願いしたとき、妙なタンポポの情報ということで、写真までいただきました。ありがとうございました。ここに貼っておきます。
総苞片が半開きみたいな感じになってるのが分かりますね。上の芹沢さんの本(「人里の自然」保育社エコロジーガイド)にも、この手のタンポポもあるのでうんぬん、とあったような気もするが・・・(今、手元に本がないので、今度またみてみます)。
撮影者:吉川 誠さん、撮影場所:宇都宮市
吉川さんのページ、フェノロジー栃木っていうんですね。生物季節というやつ。うわー、昔から興味はあるものの、飽きっぽい私には無理だなぁ。 ^^;