ふつうの |
毛? |
先端が開く? |
「オオジュイネラ属はLemaneaまたはBatrachospermumの幼体と酷似している」とあるのですが、他の種類の発育段階にすぎないとして、属として認めない考えもあるようなのです。ちなみに、「シャントランシア」(Chantransia)というのはAudouinellaの別名(旧名?)のようで、「藻類多様性の生物学」にはAudouinellaおよびChantransiaは出ていません(認めているかいないかは不明)。
(Batrachospermum=カワモヅク)
Audouinella属について、その後の情報。
うーん、いまいち分からない・・・
「Audouinellaすべてが消失したんじゃあないけど、淡水のやつ(Audouinella chalybeaなど)はカワモヅクの幼体である」っていうこと?
北海道大学の吉田忠生先生からコメントいただき、上に書いたような疑問点が解決しました。興味ある方もいらっしゃると思いますので、以下に要点を示します。
(一般論として)
- 独立の種として記載され、その後ほかの種の生活史の世代であると分かったものには色々ある
- アマノリ Porphyra --- Conchocelis
- カギノリ Bonnemaisonia --- タマノイト Trailliella
- カギケノリ Asparagopsis --- Falkenbergia ・・・など
(Audouinella 属について)
- Chantransia は現行の属名ではなく、現在は Audouinella を使う
- かつてAudouinella (Chantransia)属とされていた植物のいくつかは、現在では、カワモズクなどの生活史の一段階であることが分かっている
- しかし、これらのすべてがそうしたものではなく、独立生活をすることが明らか、または推定されるものも多くあり、これらをAcrochaetiaceae(アクロカエティウム科)に含めている。
- この科の中にAudouinella 属などいくつかの属を認めているが、属レベルの分類基準についてはいろいろな意見があり、完全に一致してはいない (詳しくは「新日本海藻誌」p.454 以下を参照)
(このページの「黒髭藻」について)
- 紅藻の仲間に違いないようである
- 単胞子嚢をつけている様子もよくわかる
- これがカワモズクの生活史の一時期ではない、という確認はできない
- もし独立のものであるとすれば、 Audouinella 属であろう。ただし、葉緑体(色素体)の形態など不明確な点はある
- 日本のものか移入されたものか不明なので、確実なことは言えないが、日本淡水藻図鑑の2種のうちでは、A. chalybea に当たるであろう
- 「毛?」はバクテリアが付着したものであろう
- 「先が開く?」は、単胞子が放出された後、胞子嚢壁が残り、そこに再度胞子嚢ができているもの。これは紅藻のいくつかのグループではしばしば見られる現象である
(付:「Chantransia 期」という名称について)
- Chantransia は、カワモズクなどの生活史の一部をなすものについてのみ残している名である
- この理由から、現行の属であるAudouinella 状とする研究者もいる
- この段階は単胞子で繁殖するが、単胞子は減数分裂なしにできるため、厳密な意味で「胞子体」と呼ぶのは不都合な点がある
文中にある「新日本海藻誌」というのは、吉田先生のご著書で、ものすごい本です。そんな大先生が私ごときの質問にていねいに答えていただき、なんだか恐れ多いというか、本当にありがとうございました。
「藻類についての知識普及をよろしくお願いします」なんてお言葉。もっといろいろやらなくちゃね(!)。