(1) 2〜3人でチームを作る
ひとり一人勝手に作業するのでなく2〜3人単位でチームを作り、チームで作業に当たります。経験者と初めての人、親子、力のある人と非力な人などなどの組み合わせを作ります。
慣れない人の指導をする、伐る人と周囲に気を配る人、稈(幹)を倒したい方に押して倒す方向を調整する、稈を押して切り口を広げて鋸を引き易くする、疲れたら交代するなどチームプレーで行います。
また、切り倒す作業が最も達成感のある作業です。
特定の人がこの作業を独占しないで交代して実施するようにします。力のある人は太い竹を切る、非力な人は細目の竹を切り倒す等の工夫が良いでしょう。
(2) 斜面ならば下の方から伐採を始める
竹林は傾斜地が多いと思います。竹は傾斜地の下の方に向かって曲がっていることが多く、重心が傾斜地の下側の方に偏っているので、下側に向かって倒れやすくなっています。
作業も足下が低く切る竹の根元が高い位置にあると作業が楽です。
(3) 稈(幹)と枝の置き場を別々に決める
伐採した竹を利用する場合稈(幹)と枝を分けておけば便利です。また、別々に積んだ方が整理しやすく、見栄えも良くなります。
どちらも斜面に直角の方向に並べて積み重ねます(斜面の方向に積むと崩れやすくなります)。支えとして両端には生えている竹を利用してたり、しっかりとした杭を打ちます。
(4) チームとチームの作業場所を少し離す
予期せぬ方向に倒れることもあり、接近して作業をしない方が安全です。
(5) 倒す方向を見定める
少し太めの竹は枝や葉の量も多く重いので、人の力で倒れる方向をコントロールすることが難しい。普通は重心の偏っている方に倒します。
方向をコントロールしたい場合は、丈夫なロープを稈(幹)の上の部分に掛けて、2〜3名で倒したい方向に引きます。 十分な長さの(20メートル)のロープ使い、先端の部分を持って引き、倒れた竹に打たれないように注意します。
倒れ始めてから逃げるのは足下を取られ転倒するなど非常に危険です。
ロープのかけ方を説明しますと、ローブの端を竹に回してゆるい輪を作ります。
この輪を竹竿(細目の竹を伐って)の先端で押し上げます。十分な高さまで上がったら、ロープを引き張力を加えます。ロープを緩めると輪の部分が落ちてきますので引っ張り続けます。
(6) 受け口を作り、根元(地表の近く)で水平に切る
切り株は後の作業に、竹林の散策にも邪魔になるので出来るだけ低いところで伐ります。根元は太く肉厚も厚く、窮屈な姿勢になるので上部で切りたくなりますが、後のことを考えて根元から伐って下さい。
先ず、根元に積もった腐りかけた葉っぱなどを取り除きます。次に倒す側に「受け口」を切ります。切る深さは稈(幹)の直径の1/3程度まで水平に切ります。
太い木を伐採する時の受け口は更に上がら斜めに切りますが、竹の場合は水平に切り込むだけで良い。
右利きの人を例に切り方を説明します。「受け口」を切るときは倒す方向から見て、竹の左側のやや前方に腰を落として構えて切ります。
次に「追い口」を受け口の方向に切り倒します。この時は竹の右側に構えて鋸を引きます。 途中で竹の重みで鋸がきつくなり動かなくなることがあります。手の空いている人が竹を倒す方に押すと切り口が開きます。太い竹の場合ロープを掛けて引くことにより大きな力が掛かり切り口が開きます。
切り進んで倒れる前に周囲を見渡し安全を確認します。 『倒れるよ〜!』と大きな声を出して近くで作業している人に警告をします。
(7) 一本切り倒したら始末してから次を伐る
前項にも書きましたが、切り倒す作業は気持ちよいものです。 一方枝を払い、玉切りにして運び、置き場所に整然と積む作業は地味で時間が掛かる作業なので、どちらかといえば敬遠されがちです。
このため、次々と切り倒してしまいがちになります。この結果、倒した竹が重なり合い絡まって、枝払いなどの作業がやり難くなります。
派手で楽しい作業を進めてしまい、後で残した地味な仕事をするのは、誰にとっても気持ちの良いことでありません。
また、足場が悪くなり安全性も低くなり、作業がやり難くもなります。
これを防ぐには1本切り倒したら、枝を払い、所定の長さに玉切りをして、置き場所に運び整然と積むまでを一連の作業にします。
必要なら少し休憩を入れて達成感を味わってから、次の竹を切り倒します。
(8) 玉切り、枝の払い方と始末の方法
@ 作業し易い場所に移動する
倒した場所が足場が悪い場合には、作業しやすい場所まで引き出します。
大抵は根元を抱えて2人で引けば移動できます。他の竹に引っかかり倒れない場合には根元にロープを掛けて引き出して倒します。
チームの人の力だけでは足りないときは、リーダーに連絡して他のチームの力を借ります。
A 玉切り
所定の長さに稈(幹)を切りそろえます。目分量で切ると不揃いとなり、後の作業が綺麗に出来なく、竹の利用も出来難くなります。
先ず、用意した尺棒で長さを決め切る個所に鋸で目印を付けます。枝の付いた場所は枝を払ってからにします。
次に枝のある場所に近い目印の場所を切り、枝のある部分を切り離します。
いよいよ根元の側から目印に沿って切ります。切る場所の近くに枕をすれば切り口が詰まらずに鋸を引くことが出来ます。
また、不慣れな人は一人が竹を押さえ、もう1人が鋸を挽くと安全で容易に切れます。 時々押さえる人と切る人は交代して下さい。
一本の竹を二個所同時に切る作業をすると竹が予期せぬ動きをして危険ですから、同時には切らないで下さい。 二人(二個所)同時にやりたいときは、真ん中付近の目印で切り離し2本に分けてから切って下さい。
B 枝払い
枝の外し方 |
次は枝払いです。鋸での枝払いの方法を右図で説明します。
☆ 枝の付け根の部分に斜めに(45度)鋸を当て 赤い線の様に枝の付け根部分の半分ほど切ります。
☆ 次に枝を持って根元の方に強く引きます。
鋸を入れた部分から折れ、枝が取れます。 稈(幹)側も枝側ともに折れ口が鋭角でなく、 ささくれもなく、美しく枝が払えます。
折るのに多少力が必要ですが安全で仕上がりが美しい枝払いが出来るのです。 鋸だけで枝を切り離そうとすれば稈(幹)を傷つけてしまいます。
稈(幹)の枝払いの傷りが小さく、皮も剥がれませんので竹細工などの材料に適し、竹炭に焼いても綺麗に仕上がります。
また、枝の始末の際もささくれで手を切るなどの危険がなくなり、好都合です。
竹が倒れている状態で枝払いをしますので、上側になっている枝を全部払います。 次に全体を返して、残りの枝を上向きにして払います。
C 枝の始末
枝は切り口を一方に揃えて、紐で括り置き場所に揃えて積みます。 稲わらの縄やシュロ縄など植物繊維のものは枝と共に分解され、土になるので最適です。価格も高く入手が難しいならばプラスチックの紐で代用します。
D 枝の付いていた稈(幹)の玉切り
A項の玉切りの要領で切揃えて置き場に運び、揃えて積みます。
これで、切り倒し、後始末の一連の作業が終わりました。 足下が少し広くなり、梢が明るくなったり、空いた透き間から日光が差し込んできたり、空が少し見えたりしてきました。
一つの達成感を味わい、次の竹の切り倒しの作業に取りかかります。 伐る人も交代です。
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