G君のおばあさん



G君が、自分のおばあさんの話しをしています。

G君のおばあさんは数年前に亡くなったのだそうですが、

高校の頃、G君の家の近所の雑貨屋さんの店先に

九官鳥が、籠に入れて、ぶら下げてあったのだそうです。

店のお客さんや、通りすがりの人達が、「おはよー」とか「ヤッホー」とか言うと、

九官鳥も「おはよー」とか「ヤッホー」などと返事をするのです。

G君のおばあさんは、それが大変気に入ったようで、

九官鳥をとても欲しがっていました。

数ヶ月後、東京で働いているG君のお兄さんが、それを聞いて、

帰省の折に九官鳥をおばあさんに買って来てくれました。

おばあさんは大変喜びましたが、「おはよう」と言っても、返事をしてくれません。

人に聞くと、やはりある程度教え込んでやらないといけないと言われ、

どこで聞いてきたのか、テープレコーダーで、反復して聞かせると、

早く覚えるのだと言って、G君から、カセット・レコーダーを借り、

使い方を教えてもらって、自分でテープに「おはよう・・・おはよう・・・おはよう」と録音して、

1日中九官鳥の前で鳴らし続けました。

ところが、耳の遠いおばあさんは、自分の耳に合わせて音量を調節するものですから、

すごく大きな音、というより騒音に近い音量で、日がな一日「おはよう・・・おはよう・・・」と

鳴らし続けたのだそうです。

たまにG君の友達が家に遊びに来ると、何か不気味な声が

「おはよう・・・おはよう・・・」と聞こえてくるので、

「何だ、あれは」とうす気味悪がります。

G君は、いちいち「いや、九官鳥がね・・・ばあちゃんがね・・・」と

説明しなければなりませんでした。

さて、そうやって、一日中おばあさんの「おはよう・・・おはよう」を

ボリューム一杯聞かされ続けた九官鳥はどうなったかと言うと、

ノイローゼになって、死んでしまったそうです。


  教訓

  物には度ってものがあるのよ!