オオスズメバチ  Vespa mandarinia japonica Radoszkowski, 1857


体長は女王バチ40〜45mm,働きバチ27〜40mm,オスバチ35〜40mmで,スズメバチの中で最大の種です.腹部は黄色と黒の縞模様をしており,コガタスズメバチとよく似ていますが,一般に大型であることや頭楯(とうじゅん)の形で区別ができます.北海道,本州,四国,九州,佐渡島,対馬,種子島,屋久島の平地から低山地にかけて普通に分布しています.

営巣場所は地中や樹洞などの閉鎖的な場所で,外皮は薄く底が抜けています.巣盤数は4〜10層,育房数は3,000〜6,000房になります.越冬した女王バチは5月中旬頃から営巣を開始します.働きバチは7月から羽化し,9〜10月には100〜500頭程度になります.オスバチは9〜11月に,新女王は少し遅れて10〜11月に羽化します.新女王バチの羽化数は営巣規模により異なりますが,20〜800頭です.

幼虫の餌はコガネムシやカミキリムシ,大型のガの幼虫などですが,秋口には集団で他のスズメバチやミツバチの巣を襲い,幼虫や蛹を餌にします.

本種は先に羽化したオスバチが巣の入り口付近で待機し,中から出てくる新女王バチと交尾する習性があります.そのため,新女王の羽化時期(10月中旬〜11月中旬)になると,午前中に何十頭ものオスバチが巣付近を飛び回り驚かされることがあります.

攻撃性,威嚇性ともに強く,地中や樹洞に営巣した場合,近くを通行する際の振動が巣に伝わり,そのためハチが興奮して攻撃してくることがあります.また,樹液によく飛来しますが,本種は縄張り意識が強いため,餌場においても威嚇や攻撃がみられるので注意が必要です.

地中の巣(駆除後)外皮が見える 巣穴を拡張するため土の固まりを口にくわえて外にすてる働きバチ 崖上にある切り株の下に作られた巣の入り口付近の様子 地中の巣を堀りだし中(駆除後)
幼虫の餌にアブラゼミの死骸を狩る働きバチ コナラの樹液を舐める働きバチ ヤブガラシの花で吸蜜する働きバチ アベマキの朽ち木で越冬する新女王バチ